最初に買うカメラ
昔からの友人に「ものを書く時に自分で写真を撮ることが増えたので、仕事で使うカメラを探しているんだけど、何がよいかな」と聞かれたので、ちょっと自分なりに考えていることをまとめておきたい。
1. メーカー選びは作例写真の雰囲気が好きかどうかで選ぶこと
20年前ならまだしも、このご時世でスペックとか正直いってほとんど変わらない。少なくとも僕には全く見分けがつかない。メーカー別に大きく異なるのはレンズと組み合わせたときの絵の雰囲気。もう少しいうと、色合いとか階調表現とかそういうの。これは完全に好みでしかないので、そのメーカーの作例を見て決めるのが一番だと思う。最近好きなのはフジとライカ。
2. レンズは単焦点にすること
もちろんズームができるレンズを買うのもありなのだけど、動物とかライブ会場で遠くからアーティストを撮るとかいう用途がない限りは、単焦点のレンズで良いと思っている。単焦点で距離感を歩き回りながらつかむのはいい練習にもなる。そして、何よりズームレンズで良い物を買おうとしたらものすごくお金がかかる。
3. 画角は用途次第だが、レベルアップも目指すのなら28mm
単焦点カメラとなると、売っているのはだいたい28mm、35mm、50mmとなってくる。このmmは焦点距離のことで、これが短いほど近くのものでも焦点があうということ。そして、焦点距離はそのまま画角(カメラが写真に収められる視野の角度)と物理的に直結している。28mmは75.4度、35mmは63.4度、50mmは46.8度。
28mmは広角の部類に属していて、iPhoneのカメラがほぼこの画角。風景写真はほぼ完璧に撮れるし、近くに寄れば人物だって撮れる。一方で、相当近くによらないと焦点が合っている対象とその他の間のボケが生じない。これもiPhoneで写真を撮っていたらだいたい想像がつくと思う。
50mmは人間が集中してものを見る時の視野(46度)に近いので、人が集中してものを見たときの感じになる。レンズの絞り次第でボケも良い感じに出る。一方で、風景写真を撮るのはあまり向いていない。
そして、折衷的なものが35mm。詳しいところは、英語サイトだけどこの比較が一番分かりやすい。
http://www.theinspiredeye.net/28mm-focal-length/
どれを選ぶかはその人次第だと思う。旅行に行って風景をたくさん撮る人が50mmだと難しいし、人物写真をいっぱい撮るような場合に28mmだといい雰囲気を出すのに苦労するだろう。単純に技量アップを目指すのであれば、まず28mmを買うのはとても良いと思う。「ボケに逃げられない」ので、構図を真剣に考えるようになるから。
ちなみに、28mmだとiPhoneのレベルが相当に高いので、まあまあクオリティの高いデジカメとかでないかぎり、iPhoneで良いと思う。ただ、カメラを持っているからこそたくさん撮ることができる、という利点があるのだけれども。
4. なるべくカバンの中に入るものを
最初のカメラはカバンに入るものにしたほうが絶対に良い。
というのは、写真はとにかく数を撮って自分なりに反省会をし続けないと上達しないのだけど(僕も自分が超絶下手だと日々痛感する)、カメラが大きいとカバンに入らず、ついつい持っていかないことになりかねないから。筆箱と同じぐらいのノリで常にカバンに入れられるサイズのものが良いと思う。そうすれば、何かあったときにカバンからさっとカメラを取り出して撮れるようになる。そうすれば、毎日練習ができる。
5. じゃあ何がオススメなのか
というわけで、自分が何を選ぶかといえば、今売っているものでいえば、RicohのGRか富士フィルムのX70のどちらかだと思う。GRは250gという軽さに対するレンズの描写力が桁違いに高いと昔からずっと定評があったカメラで、多くのプロが唯一使うコンデジとして知られている。僕も真面目に写真を始めたとき最初に買ったのはGRデジタルだった。そしてこの分野に最近参入してきたのがX70で、富士フィルムらしいよい絵作りをする。ただしGRより100g程度重たい。
なお、スマホのカメラの性能が極めて高くなってきているので、この価格帯以下のカメラは機能的にはスマホとほぼ違わなくなってしまっている。買うのなら5万円以上するものでないと、違いが感じられないだろう。
もちろん他にも同じようなコンデジはあるので、自分でメーカーパンフレットを見比べて決めるのが良いと思う。
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