日銀のしていることに同意できない3つの理由
黒田総裁は本当に聡明なすごい人だと思うのだけど、僕は日銀がいまやっている円安誘導にはどうしても賛成できない。というか、間違っていると思う。まあ、こんなのすでに誰かがどこかで話している内容なのだろうけれども、ちょっと書いておこう。
(追記 2014年11月7日午前8時43分:立場を明確にしておくと、僕はこと金融市場に関しては市場メカニズムの信奉者であり、政府の役割は最小に抑えるべきと思っています。どんなに賢い人間・人間の数百人の集団であっても、人類全体より賢く市場を運営することはできないはずです)
第一に、これは市場システムを歪め、結果としてフェアな財の配分が阻害される可能性が高い。政府やその関係機関のやるべきことというのは、市場メカニズムがきちんと回るための仕組み(インサイダー取引を撲滅することだったり、市場参加者に多様性が担保されることだったり、皆の意見が変な方向に流されないようきちんと全ての人に情報が回るようにすることだったり)をつくることであって、変なバイアスをかけることではないはずだ(もちろん、日銀の介入程度によって、市場メカニズムが崩れるなんてことは無いかもしれないが)。
第二に、日銀にファンドマネジャーをしてもらいたくない。自分で運用者を選べるのならまだしも、ある日突然自分のお金を「私が運用します」といわれるのなんて嫌だ。今回の介入で大損した場合に、お金を負担するのは税金を払っている僕たちだ。
第三に、この円安誘導がもたらす富の移転を主導する権限が日銀にあるはずがないからだ。当然ながら、円安で得をする会社がある一方で、損をする会社もある。為替変動が自然な値動きによるものでなくて、日銀が主導するというのは、片方から税金をとって、もう片方にそのお金で補助金を出すこととある意味同じことだが、日銀にそんな権限があるはずはないと思う。
(なお、僕の会社は円安でとても困っていますので、バイアスがかかっている可能性があることをここに書いておきます)
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