生きるのに必要な知識

科学が発展したとしても、誰かが人間を人為的に進化させるようなことを始めない限り(もしかしてそんなことをしたとしても)、人間が直面する人間的な問題はあまり変わらないのだと思う。現在に生きる僕たちは、2000年前の人々を見てなんと昔の人たちは物事が見えていない中で生きていたのかと思うかもしれないけど、2000年後の人類(もしいたら)が僕たちに思いを馳せるときには全く同じ感想を抱くことだろう。また、多分僕たちが2000年前に住んでいたら、それはそれで世界の仕組みを分かったつもりになって生きているのだろうと思う。しかしながら、実際のところ僕たちは限られた認識能力と時間軸の中であれこれ思考をしているに過ぎない。

そんなことを考えると、人類がそのままでいる限り、その人間社会で人はどうやって生きていくべきかという問いに対する基本的な答えは変わることがないんだと思う。そして、この問いに関する答えは、もう2000年くらいにある程度の結論が出されているんだと思う。そりゃそうで、人類は全体としては相応に賢いので、文字が出来て物事を理屈立てて考えるようになってから数百年もかけて同じ問題に対する答えを考え続けてきたら、ほぼ満点に近い答えにたどりつく可能性は非常に高い。

テコの原理が2000年前の発見だとしても動かしようのない真理であると同じように、2000年くらい前に世界的に同じようなタイミングで出てきた各宗教の基本的な教義である自己の抛擲と奉仕の精神も、おそらく真理なのだろう。クルアーンだけはまだきちんと読めてないのだけど、聖書も論語もギーターも、繰り返して読むと見えてくるのは共通点の多さで、これら聖典に同じ精神を発見する度に、人が人の中で生きるのに必要な知識・知恵に対する確信は深まっていく。同時に、自分にとっての優先順位も日々明確になっていく。

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