昭和の私の履歴書

もう2年位前か、たまたま大前研一さんの講演を聞いていた。大前さんはこういう内容のことを言った。

「いまの若い人には古い時代の私の履歴書を読んでほしい。最近のものは自慢話が多すぎてつまらないが、昔の経済人たちが、戦後の荒廃の中でどのような気持ちで事業を興していき、世界に出て行ったのかを、昔の私の履歴書から感じ取ることができる」

なるほどそうか、と思い、早速Amazonで買い揃えた。古い私の履歴書をまとめたものは二種類ある。「私の履歴書 --- 経済人」か「私の履歴書 --- 昭和の経営者群像」の二つ。前者が網羅版、後者がダイジェスト版(とはいえ、全10巻50人分)で、とりあえず後者を買い揃えた。こういう絶版書を買い揃えようとするとき、本当にAmazonは有難い。

買い揃えるのに合計2万円くらいかかったのだけど、この全集にはそれだけの価値がある。今自分が直面している色んなドタバタや悩みなんて、空襲で工場が全部焼けてしまったりすることに比べたら、何てことはない。この人達は、戦争直後の灰燼の中で、いたって真剣に世界でたたかうことを考えていて、その文章はバイタリティに溢れている(もちろん例外もいるが)。

松下幸之助や本田宗一郎のような超有名人だけでなく、この時代には本当に立派な人たちが沢山いた。戦後の高度成長を単にアメリカの庇護や朝鮮戦争だけに帰するのは大間違いで、国の成長の背景にはそれを支える人々がいる。読むと背筋が伸びて、頑張ろうという気分になる。


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