Living in Peace理事長退任のお知らせ

2007年10月28日に「経済開発勉強会」という怪しい名前の勉強会を始めた。ジェフリー・サックスの「貧困の終焉」を読んで「何かしたいけど何をしたらいいのか分からないので、まずは勉強会をしよう」と思ったからだ。そして、半年強経ったあとに団体名をLiving in Peaceとした。憲法と人権を教えてくれた恩師がとても大切にしていた「平和のうちに生きる権利」が名前の由来。

それから10年はあっという間で、Living in Peaceは日本初のマイクロファイナンスファンドをつくり、認定NPOにもなり、児童施設の建替え支援をして、社会的養護出身者に奨学金を出すようになった。いまや正会員(活動メンバー)は100人以上。メンバー間で結婚した人も多い。2枚目の名刺を持つというライフスタイルも大して珍しくなくなった。そして、LIPをきっかけとして公的セクターに転職していく人も増えていった。

この10年間やってきて、社会課題に関わる人に必要な資質が分かった気がする。一度決めたら継続する熱意と、他人に共感する心と、自分の頭で考えられる力さえあれば、他には何もいらない。序盤は迷惑をかけるかもしれないけど、この三つを備えている人は軌道修正をしながら前進して、世の中を多少なりとも良い場所に変えていくことができる。そして、LIPはそういう人が集まる場になった。

そんななか、僕は2014年に起業して、あまり日本にいられなくなった。でも、すでに組織は大きく強くなっていたので、僕が日本にいなくても事業が粛々と回るようになった。僕が全く関わらなくても、大口の法人寄付が多数集まるようにもなり、皆が自律的に新しい事業を始めるようになった。いつも定例ミーティングに参加して指導してくれている小森哲郎さんも「組織としてだいぶ強くなった」と太鼓判を押してくれた。


10年目の今日を潮時と言わずになんと言おう。というわけで、Living in Peaceの理事長を今期で退任します。任期終了は2018年3月末。

代表理事にはキョウと中里の二人がなり、引続き団体の成長を牽引していきます。二人とも人間的な優しさと賢さと素直さと熱意を持っているので、この団体を僕以上にうまく成長させてくれるはず。

僕は今後も正会員としてLIPへの関わりを続けます。組織全体の方針には意見せず、自分にできること&してくれと言われたことをする予定。現場で手を動かして課題解決をすることに時間を費やせたらよいのだけど。

これまで一緒に活動してくださった皆様、寄付者の皆様、その他様々な形で関わってくれたステークホルダーの皆様、これまで応援してくださり、本当に有難うございました。これからも、社会人が少しずつ時間を出しながら、世界をよりフェアな場所にするために尽くしていきますので、変わらずにLiving in Peaceをご支援ください。どうぞ宜しくお願いします。


最後に告知。LIPこどもフォーラムが11月19日に開催されます。僕が「この人は」と思う専門家たちを招いて、本当に子どもにとって必要な支援は何なのかを考える場にしたいと思います。よかったらいらしてください。詳細はこちら

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