NewsPicks雑感

アプリ主体のニュースメディアであるNewsPicksにプロピッカーとして参加した。4ヶ月(当初3ヶ月の予定だった)の間、毎月90以上の記事にコメントをつけ、かつ対談その他の特集記事を期間中に3〜6つ書くのが役割。僕の場合は、ピックアップするのは英語記事(だって、みんな本当に読まないから)で、記事は自分で執筆をする体裁になった。

第一回(自己紹介
第二回(マイクロファイナンス1
第三回(マイクロファイナンス2
第四回(社会的養護1
第五回(社会的養護2
第六回(社会的養護3
第七回(番外編のQA

いくつか雑感のメモ。

1.長い記事でもちゃんと読まれる
かなりかったるい話が長々と続くので、読みきってくれる人はほとんどいないだろうなと思っていたのだけれど、かなり多くの人が読んでいて(コメント数がとても多かった)驚いた。もちろん、こっちとしても可能な限り読みやすいように文章を書く工夫はしたのだけれど、ここまで読まれるとは思わなかった。


2.コメント欄が荒れない
もう一つは、コメント欄があまり荒れないこと。批判は批判としてあるのだけど、これまでよく経験してきた言いっぱなしの批判が相対的にとても少なかった。「NewsPicksは皆が賢そうに悪口を言う場所」という人もいるのだけど、少なくとも話がちゃんとできる。

要は、上記1と併せていうと、ユーザーのクオリティが相対的に高いということなのだろう(ただ、ユーザーが増え続けていくと、いつかそのクオリティが下がるというジレンマがあるのだろうけど)。


3.編集部がちゃんとしている
一番書きたかったのは、(僕の担当編集者さんがそうなだけかもしれないけど)編集部がとても手間をかけていい記事を作ろうとしていること。

今回の連載でマイクロファイナンスと社会的養護について取り上げようと提案してみたものの、こういった社会問題はあまり読まれないことも多いので、敬遠されることが多いので、違うテーマを提示されるかなあとか思っていた。でも、今回は「いいですね、やりましょう」ということであっさりとOKになった。そして、その後のメールスレッド内のやりとり数が50を越えたところで、連載記事が掲載された。

この手間のかけかたは紙雑誌でもあまり見ないレベルだ。こんなにやって現時点で採算がとれているのかはよく分からない。でも、逆説的にはなるものの、これからの時代にメディアで採算をとるためには、お金を払ってでもそれを読もうとする人を得ることが何より大切なので、こうやって気合を入れて記事を作り続けることは本当に大切だと思う。

結果として、日本語の経済ウェブメディアの中で、NewsPicks編集部の作る記事のクオリティの高さは際立っている。単に内容がきちんとしているというだけではなくて、読ませるためのグラフィックの工夫などもこらされている。


とはいえ、若干リンゴとオレンジの比較にはなるけれど、大きな意味で課金型の経済メディアとしてくくった場合、まだ僕の中ではEconomistとFTの優位は揺るがない。新興メディアが対向するには大きすぎる相手であるけど、いつかこれ以上のクオリティのものを作って欲しいなあと思う。

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