丁寧語の裏にあるもの
丁寧語を使って柔らかい物腰で話す人がいます。
一見、賢そうな、正しいような、こちらがとても敵わないような言い方をする相手。最近見かける陰謀論やスピリチュアル系のトップに君臨するような人達はこういう物言いをします。私は、丁寧すぎると感じるくらい丁寧な言葉遣いをする人は、裏に壮大な上から目線の心理を抱えていると思っています。上からすぎると逆に丁寧になるという言葉のマジック。日本語は難しすぎます。
相手を自分の思うようにコントロールしたい時、相手に自分を信じ込ませたい時にこのテクニックは使えます。特にお年寄りは自分に優しくしてくれる人に弱い(体力、精神力が弱っていると誰しもそうなるかもしれません)ですから、健康食品のマルチなんかでこぞって集まって色々購入してしまうのです。こういうところのスタッフは通常の店と違って過剰に優しくしてくれますからね。
ビジネスのテクニックとして使えると言えば使えますが『そこに愛はあるんか?』と思ってしまいます。
お年寄りではなくても、丁寧な言葉遣いをしている人って賢く冷静に見える分、勝ち目がないと、純粋で謙虚な人ほど思ってしまうと思います。そこに落とし穴があります。
私の職場にこういうタイプの人がいました。丁寧な言葉遣いをすることで極めて冷静な自分を装い、自分の言い分を徹底的に通すというやり方をどこかで学んだのでしょう。案の定、全て自分の意のままになっています。ある日、こっそり予約を自分の都合の良いように勝手に動かし、私に不利益が出るようになっていることがわかりました。当然、抗議をするわけです。
『自分が得するように、予約を操作してない?おかしいよね?どう考えても』と言いました。これに対して、なんとちょっと半笑いで『何故私に疑いをかけるんですか?証拠はどこにあるんですか?』と言います。怒られているのに笑う。怒りが通用していないのです。その後も淡々と疑いをかけてくる私に証拠を求めてきます。論点はそこじゃないのに。
『予約を操作していないか?』と聞いているのに、証拠を聞いてくる。動かしたかどうかについてまず答え、次に悪意はないことを説明すればいいと思うのですが、こうやってみんな論破され続けているんだろうなと思いました。
『私は疑いをかけられて悲しい』という主張を繰り返す。これを鵜呑みにすると、証拠もないのに疑った私が圧倒的に不利になるわけですが、ここで折れない体力&気力が私にはありました。ちょうど暇だった、というのもあります。
『疑いをかけられるようなことをしているあなたが悪い。それが嫌なら頑張って挽回してください。得してる人が誰かを見たら一目瞭然だからね』と言ったら反論できなくなり、後日『もうあの人と一緒に働きたくない』と上司に告げ口され逃げられてしまいました。でもこれで『口先だけでは通用しない相手がいる』と学んだと思います。
やけに丁寧で冷静に話してくる相手は話の論点をズラしてくることが上手ですから、あくまで自分の問いに対する答えが出たかどうかで判断するといいと思います。
見極めが本当に難しいところですが、上から目線の丁寧語を使う人というのは自分が不利になると今度は被害者に回ります。これがセットです。単純に丁寧な言葉を使う人ではないので、最終手段としてやたら一生懸命喋り『私はむしろこんなに誠意を表しているのにあの人が疑うのです』と言って相手を加害者にしてしまいます。丁寧語が武器だから仕方ないですね。
私はこういう人を見ると『みんなが砂浜で水着でビーチサンダルを履いてくつろいでいるところへ、一人だけ甲冑を着て現れる状況』だと思っています。丁寧語という甲冑を纏い、自分の身だけを過剰に守ろうとしている。敵などどこにもいないのに。
丁寧な言葉を使えばいいってものじゃないんです。日本には『慇懃無礼』という言葉があって、丁寧すぎは逆に失礼だったり、相手を下に見ていることがあります。ドラゴンボールのフリーザがいい例で、部下に向かって敬語を使って接する割には、別に自分のためならば命を落としてもなんら構わないというスタンスです。言葉使いが丁寧でも、大切に思っているわけではないんです。
丁寧語、尊敬語、謙譲語、日本語はとても難しいですが、くれぐれも丁寧すぎる言葉を使う人にはご注意を🔥
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