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【短歌】

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【短歌】をまとめたものです。
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2022年11月の記事一覧

マグカップは飲み物の服を選ぶように今日の気分の器となって

マグカップの割れた破片を触りながら器の記憶に別れの儀式

ファンヒーターの焼ける匂いは冬休み部屋にこもって冒険してた

鼻歌をうたい始めたファンヒーター誰もが従う催促のうた

山肌の赤がどんどん抜けていき裸になって白いドレス待ち

山の先をホワイトチョコに浸しても溶けてしまう秋の太陽

3百年記憶の中でも照らしてる11月のイチョウの黄色

アスファルトに降る降る黄色見上げてはイチョウの下で終わりを浴びて

冷凍庫で食パン眠り時を待つフカフカのころに戻る夢見て

食パンが高級職にジョブチェンジ紙袋にはお店の名前

雨粒が雪に近づく冷たさで街の温度は冬に慣れてく

雨音が聞こえなくなって張りつめた空気になったら舞い降りる雪