彼女たちのコズミック・イラ Phase32:Valkyrie’s Pride

孤立したアグネスが窮地に陥ります。そして漏らします。漏らしながら戦います。たぶん実質ク○スア○ジュ。

本当はもう一つ失禁シーンを書いたのですが、こちらの恐怖失禁一つに集約しました。そのほうがおもらしに特別感が出ると思ったので。

次回はミレニアムを守るヒルダさんが窮地となるシーンです。こちらはカッコよく書いています。


「えぇっ!?後退?」
「ミレニアムに何かあったんですか?」

通信機越しにヒルダへと声を上げるシンとルナマリア。終始優勢であった戦場を放棄しろとの命令に、2人は疑問を持って抱いていた。

『こいつらはみんな囮だよ!本命はミレニアムを狙った核攻撃部隊だ!』
「核っ……!?」
「アグネス後退よっ!敵の母艦は捨ておきなさいっ!」

驚愕するシンとアグネスに通信を繋ぎ交代を促すルナマリア。しかし、敵母艦に取り付こうとしていたアグネスは、残る3機と分断される形となっていた。

『あんたたちは先に下がって補給に行きな!アグネスは私が連れ戻すから!』
「分かりました!ルナ!」
「え、ええ……!」

しかし、そうして後退とアグネスの援護に向かうとする3機に向かって、無数の敵機と砲撃が集中し始める。インパルス2機の後退を支援するのにヒルダのゲルググは手一杯となり、深入りしたアグネスの救援へと向かうことが困難となっていた。

「ちぃっ……!背中を見せた途端、随分と威勢がよくなるものだね……!」

反転攻勢に打って出てくる敵機を次々と切り捨て、ヒルダはシンとルナマリアを必死にミレニアムへと向かわせる。だが、彼女たちと敵母艦の距離はさらに離れていくのであった。

モビルアーマー形態で敵陣へと深く入り込み、旗艦空母を攻撃していたアグネスが駆るジャスティス。しかし彼女はヒルダ達と共に後退が出来ないまま、次第に敵部隊によって囲まれようとしていた。

「ふんっ……ザコが何機集まろうと私の敵なわけないでしょ!」

接近してくる敵機を切り伏せ、宇宙の塵芥へと変えていくアグネス。しかし、砲火はジャスティスの一点へと集中しており、煩わしさを感じた彼女は変形して離脱を試みようする。

「くぅっ……本当に数ばかり多くて……あぐぅっ!」

被弾か、あるいは周囲での爆発か。ジャスティスのコックピット内に衝撃が走り、アグネスは頭に血を上らせて、再度変形して迫りくる敵を相手にする。

「よくもこの私を……絶対に許さないわよっ!」

放たれるビームライフルは正確に敵機へと着弾し、戦闘能力を奪われ後退するか爆散して消滅する。しかし、いくら撃ち落とし、切り捨てようとも、それを上回る数の敵が肉薄してくるのであった。

「なんなのよこいつら!落としても落としても……本当にしつこい!」

戦意が旺盛であったアグネスの中で、次第に負の感情が芽生え始める。既に母艦からは後退命令が出ており、ルナマリアからそれを促される通信も入っていた。しかし、彼女は一人漆黒の宇宙に取り残され、救援が来る見込みがない中で戦うことを強いられていた。

「はぁ……はぁ……そうよ、こんなやつら……わたしひとりでもどうにだって……!」

“ひとり”。そう自らが放った言葉によってアグネスは我に返る。そして、自身で握り締めていた操縦席のレバーに目を向けると、そこに添えられていた手は彼女自身が信じられないほど震えているのであった。

「あっ、あぁっ……あぁぁっ!!!違う、怖くなんて……わたし、絶対怖くなんかっ……!」

自覚した感情は一瞬で全身を支配して、彼女の戦意を恐怖で塗り潰していく。それでも生に対する執着心が身体を動かし、迫りくる敵を迎撃しようとする。

「私はぁっ……わたしはぁっ!こんなところで終わる女じゃないのよぉっ!あんたたちみたいな奴らにやられてぇっ!終わるような女じゃないって言ってんのよぉっ!」

襲い来る恐怖感を振り払うように、狂ったような叫び声を上げて戦い続けるアグネス。しかし、全身に行き渡った恐怖心は身体から不必要な力を奪い、コックピットシート濡らし、その内部をアンモニア臭で満たしていくのであった。

「みんなわたしが殺してやるっ!そうよっ、わたしがみんなやっつけるんだからっ!そうすればわたしが……わたしがぁっ……!」

どう足掻こうが自分しかないという恐怖。彼女は生まれて初めて、孤独という感情を芽生えさせていた。誰かを頼ることも出来ず、自らの命さえも自身が保証しなければならない立場。目からは感情の結晶を零し、小水を垂れ流す恥辱に塗れながらも、自らの生命を繋ごうとする絶望感を味わっていた。

「い、いやっ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!助けてっ、誰かっ!誰か助けてよぉっ!ヒルダ隊長!ルナマリアっ!早く助けに来てよぉっ!このままじゃわたし……いやぁぁぁぁぁっ!!!!」

コックピット内で一人泣き叫ぶアグネス。しかし、既に通信可能な領域をどの機体も離脱したのか、彼女の叫びに応える声はなかった。それでも必死に生きようとする意志を、全身からあらゆる体液を零しながら訴える。

「死ぬのはイヤぁっ!死にたくないっ!おねがい助けてっ!シンっ、シンでもいいから早く来てっ!ヤマザルって言ったの謝るからっ!もっといっぱい酷いこと言ったのも謝るからぁっ!ねぇっ!」

死が迫りくる恐怖は、アグネスに悔恨の言葉を吐き出させていた。命を失えばそうして謝ることさえも出来ず、肉体も感情も全てが漆黒の宇宙へと放り出されるのだと。血肉や骨さえもいずれは消え去り、こうして誰かに対する感情すらも消失する。

「やめて……もうやめてっ!来ないでっ、来ないでよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

狂乱状態に陥ってもなお、アグネスが乗ったジャスティスは敵を撃ち続けていた。だが心身が共に疲弊した彼女が見せる隙は大きく、シールドでも防ぎ切れぬほどの砲火に包まれ最期を迎えようとする。

「いやっ……ウソ……ウソでしょ……!?いやっ、いやぁっ!イヤァァァァァァァァァっ!!!!!」

敵機の向けたライフルの銃口が、アグネスの目には止まっていた。先に撃つことも、シールドで防ぐことも出来なくなっていた光景。そして、一発の光弾は真っ直ぐに彼女の元へと押し寄せ、コックピットを貫こうとするのであった。

「あっ……」

死の恐怖に駆られ、狂い泣き叫びながら最期を迎えるアグネス・ギーベンラート。このまま消し飛んでしまえば、これほど無様な姿を誰かに晒すこともないだろうと、散る間際の命となって、彼女は自らの叫びが誰にも届かぬことへ安堵していたのかもしれない。

「――――っ!?」

しかし、彼女の意識はそうした最後の感情で途絶えることなく、コックピット内で体液を垂れ流す感覚に満たされ続ける。そして、ジャスティスのコックピットへ直撃するはずだった光弾は、突如して飛来したシールドによって遮られているのであった。

「えっ……?」

そして次の瞬間、ジャスティスを取り囲んでいた敵機無数の光弾が降り注ぎ、アグネスが見つめていた敵機は一機の機影が視界を遮るのと共に切り伏せられる。

『ごめんアグネス!遅くなった!』
「どうして……なんであんたがここに……!」

青と白を基調とし、背部に備わった翼が特徴的なモビルスーツ。アグネスが駆るジャスティスとは対となって作られ、自由の名を冠した機体。そこからの通信で聞こえてきたのは、彼女が偽りの思いを馳せていた男の声であった。

『なんとか無事だったみたいだね。もう、間に合わないかと思った。』

窮地に追い込まれていたジャスティスの前に舞い降りた1機のモビルスーツは、アグネスとジャスティスに銃口と刃を向ける敵に立ちはだかるのであった。

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