彼女たちのコズミック・イラ Phase30:新生ヤマト隊、出撃

キラがいないんですけどね。ヒルダさんは隊長代理です。割と多めに敵が出てきましたが、ミレニアムの敵ではないと思います。

個人的にライフリやイモジャが宇宙空間で活躍する場面が見たかったなぁ……という思いを持って戦闘シーンを書いていました。

次回は戦闘パート真っ只中。楽勝で終わるような展開にはしません。


研究所の調査を中断し、ミレニアムへと帰投した2機のワークスジン。搭乗員たちは速やかに各々の搭乗機へと移乗して、ブリッジからの状況説明を受ける。

「敵の陣容は?」
『まだ敵と決まったわけではありません。とはいえ、友軍信号を発しているわけでもなければ、こちらからの通信に応答するわけでもない。限りなく黒に近いグレーという状況です。』

ヒルダからの質問に、コノエ艦長は敵対までには至っていないと報告。しかし、誰しもが戦闘は避けられない状況であると察していた。

「どうせ敵なんですから、こっちから出てさっさと叩いちゃえばいいじゃないですか。」
「そういうわけにもいかないわよ。一応コンパスは専守防衛を是とする平和維持機構なんだから。」
「あーあ……血気盛んなヤマザルはこれだから。」
「なんだとぉっ!?」

搭乗機で待機をしていても相変わらずな面々。そうしたパイロットたちに、管制官のアビー・ウィンザーが展開する艦隊の陣容を報告する。

『展開中の部隊はドレイク級10隻、ネルソン級6隻、そして旗艦と思われるアガメムノン級が1隻です。』
「空母7隻!?一体どこからそんな規模の部隊が……!」
『艦船データを照会したところ、該当の艦船は全て大西洋連邦の所属艦として扱われている。しかし登録日はほとんどが最近のものばかりであり、おそらくは宇宙軍艦隊を再編成するために地上から打ち上げられたものだろう。』

ハインライン大尉の分析が提示した情報。コンパス参加国である大西洋連邦の船籍であるため、ミレニアムが率先して敵対行為に向かうわけにはいかなかった。

しかし、本来は月の軍事基地へと配備されるはずの艦隊が、プラントから近いL4宙域に、協力関係となるコンパス所属のミレニアムに事前報告なしで現れたことに、信用出来る要素は一切ないのであった。

『ジャミング弾と思われる熱源を感知!』
『総員、第二種戦闘配置!アンチビーム爆雷発射、全砲門オールウェポンズフリー。』
『モビルスーツ隊各機発進!シン、待たせたな。』

副長アーサーによる発進許可を聞き、シンはカタパルトに接続された搭乗機の出撃を宣言する。

「シン・アスカ。コアスプレンダー……」
『違うな、間違っているぞ。お前が乗っているのはデスティニーインパルスだ。搭乗機の名前くらい正しく言えるようにしろ。』
「くぅっ……!インパルスの状態で出たことなんてないんだから、間違えるに決まってるでしょ……!」

ブリッジから聞こえるハインライン大尉の声に対し、シンは堪らず愚痴を零す。そして、改めて自らの新たな愛機の名を呼び出撃する。

「シン・アスカ。インパルス、行きますっ!」

シンが半ば自棄となりつつもカタパルトから射出され、漆黒の宇宙空間へと飛び出すデスティニーインパルス。それに続きルナマリアの駆るフォースインパルス、そしてヒルダのゲルググが出撃する。そして

『アグネス、出撃後はMA形態へと一度移行する。その後の変形に関してはパイロットであるお前の判断に任せる……が、間違えても変形時に隙を晒したりはするなよ。』
「大丈夫ですよ。あのヤマザル以上に、絶対上手く乗りこなしてみせますから……!」

ハインライン大尉の説明にも強気な口調で言葉を返すアグネス。曲りなりにも以前の願望が叶い、彼女は盛んな意気込みを見せてコールを行う。

「アグネス・ギーベンラート。ジャスティス、出ますっ!」

フェイスシフト装甲を展開することで露わとなる、彼女の髪色と同系統の赤いカラーリングが鮮やかなモビルスーツ。不滅の正義を冠した真紅の機体が、残る3機の機体と共に正体不明の艦隊へと接近する。

そして、そのミレニアムと相対していた艦隊からも、無数のモビルスーツが出撃し、ヒルダが率いる部隊と真っ向から衝突するのであった。

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