津風呂湖百景6「池田克己詩碑 小野十三郎書」
「池田克己詩碑
小野十三郎書
疲れた駅からの五十丁
月の木橋の上でようやく満月
役場前の急坂で眞正面の満月
火の見櫓も
一本杉も
まぶしくかすむ
雪の満月
池田克己」
吉野・津風呂湖畔の、静かで寂しすぎる吉野運動公園。そこで思いがけず遭遇した詩碑。小野十三郎書とあるではないか。小野十三郎氏は、大阪文学学校初代校長である。
池田克己は、1927年吉野工業学校建築科卒。詩人として精力的に活動し、詩誌『豚』『現代詩精神』『上海文学』『亜細亜』などを創刊。
また戦後は、小野十三郎らを編集に加えて『日本未来派』を創刊し、自ら編集人となる。
このような池田だから、小野十三郎書による詩碑が、吉野に建てられたのだと理解した。
それにしても、この詩碑の周辺の木々や草むらの暗さはどうだ。これではほとんどの人は見向きもせぬ。もっと明るく顕彰してほしいと思った。(何か理由があるのかもしれないが。)
2024.5.5