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【マイルCS】スワンS“カツジ”の激走を見抜いた元調教助手の視点。

天皇賞秋以来のnote更新!

相も変わらずコロナが猛威を奮っておりますが、読者の皆様におかれましては元気にお過ごしのことと存じます。

前走のスワンSでは、穴と名指ししたカツジが私の斜め上をいく「逃げ」という戦法でもって勝ち切ってしまい(笑)、外からぶっ飛んでくるという予言は見事幻と散ったわけですが、結果的に10人気1着と馬券をとられた方からすれば、お財布もいくらか膨らんだのではないでしょうか。

このnoteのおすすめロジックに、予想のあたりはずれまで管理している機能があるとは思えませんが、お陰様でスワンSの予想記事がアクセス右肩上がりとなっており、今週のマイルCSにはそのカツジ君も名実ともに池添親子での出走とこれまためでたい展開になっていることから、久々に調教診断の記事を更新したいと思います。

YouTubeやこのnoteでも、調教系の予想者さんが多数いらっしゃいますので、正直な話差別化できる要素としては、実際追い切りやってたよという原体験くらいかなと思いますが、調教内容を言語化するうえで、馬に乗ったことがない方でも理解できるよう言葉を選んだつもりです。

競馬予想って、一度この馬!と閃いたら、多分にバイアスがかかるので、木を見て森を見ずの状態に陥りがちですが、そもそも調教ってそういう所見てるのかーレベルで共感いただけると嬉しく思います。

今回はより個々の良し悪しを判断できるよう、箇条書きで上段には良い点、下段には気になった点を明文化しています。

それでは、前置きも早々にマイルCS最終追い切りの診断結果をとくとご覧ください。

ベステンダンク(牡8)
栗東/坂路
・左手前1本で登板したあたり、右回りコースを得意とする戦績も頷けるもので、画面越しに馬体の張り艶の良さが一発で分かるレベル。この馬なりに順調にきている。
・スピードが乗るごとに、推進力が右へ右へ流れてしまっており、騎乗者がハミを掛けなおしていくらか軌道修正している点。

レシステンシア(牝3)
栗東/坂路
・重厚感のある馬体に反して、動きそのものは非常に軽い。無駄な力を使うことなく、ごくごく自然体で綺麗なラップを刻んでおり秋華賞回避の影響は微塵も感じられない。
・NHKマイルC2着の実績があるとはいえ、この馬も本来左手前1本で登板するタイプで、そういう意味では重箱の隅をつくレベルになるが、序盤は右手前で疾走し、3F地点で左手前にスイッチした点。

ケイアイノーテック(牡5)
栗東/坂路
・騎乗者の手を煩わせるような無駄な仕草が一切なく、終い重点の指示どおりのラップを刻めている点。
・終盤にかけてラップを詰めているわりに、躍動感に乏しく、察するに前捌きの鋭さが足りない。この状態では常識的に考えて厳しいかと。

グランアレグリア(牝4)
美浦/芝
・一週前追い切りでは4角で我慢させた際に、口を割るシーンがあり折り合い面をいくらか心配したが、今週の追い切りは騎乗者と息の合った走りでこの馬の真骨頂といえる一糸乱れぬフォームで駆け抜けた。相変わらず回転数の利いた走りで、状態面に不安なし。
・懸念材料なし。

メイケイダイハード(牡5)
栗東/坂路
・褒められる箇所なし
・手前を問わず、内にササリ気味での登板で走りのバランスが悪すぎる。厳しい。

ラウダシオン(牡3)
栗東/CW
・3頭併せの最内に進路をとった分、ほぼ僚馬の四角となり動きそのものを捉えることはできなかったが、武豊騎手が騎乗した1週前追い切りに比べれば、いくらか前進といえる軽さが感じられた点。
・直線走路に入るや否や早々に左手前にスイッチしており、見た目以上に余裕がなかったとも考えられる。

アドマイヤマーズ(牡4)
栗東/CW
・鞍上の川田騎手が手綱はおろか、ピクリとも重心移動を伴わないハイブリッド式の最終追い切りで操縦性の高さを感じる。
・一方で、単走だったこともあり、L1地点で右手前にスイッチし、再度左手前に戻すといったこの馬にしては集中力を欠く走りが目に付いた。

インディチャンプ(牡5)
栗東/坂路
・この馬らしく左手前1本で時計を詰めてきたあたり、スプリターズS回避の影響は感じられない。ピッチ走法の分、前捌きも鋭くみえるのは当然で、それでいてストライドもほどよく伸びており、安田記念出走時よりいいと思えるほど。
・懸念材料なし

カツジ(牡5)
栗東/CW
・贔屓目抜きに、追い切りの動きだけなら前走より良い。久々の勝利で馬も自信をつけたのか、外ラチ一杯を回り、躍動感溢れる走り。
・これを言ったらキリがないのだが、やはりGI馬を相手にすることを念頭に置くと、馬体のスケール感が物足りなく映る。

ブラックムーン(牡8)
栗東/CW
・高齢馬にしては時計を出しているが、ストライドが伸びておらずフットワークの小さい走りになっている点は相応に割引かざるを得ない。

スカーレットカラー(牝5)
栗東/CW
・天皇賞秋で一発あると思えるほど調教は抜群に動いていたが、当日パドックにデブデブの姿で登場して激おこした記憶あり。今回もそれなりに時計を出しているが、首をほとんど使っておらず脚先だけでバタバタ走っており、これまで見てきた中で一番評価できない。

アウィルアウェイ(牝4)
栗東/坂路
・はち切れんばかりのボディ。肌艶良好とはこのことで状態の良さは馬体でもって感じ取れる。
・騎乗者の手の位置が終始宙に浮いておりハミ受けの悪さを露骨に感じさせる追い切り。テンから気合をつけようものならぶっ飛んでいってしまいそうで、終いに懸ける競馬でどこまで・・・・

タイセイビジョン(牡3)
栗東/CW
・これまでとは一転、前走後は4本いずれもCWコースにおける追い切り。動きそのものでいえば、特段目に付くような内容なし。
・GIに臨むにあたって、調整パターンを180度変えてくるケースは経験上不発に終わる公算が高い

サウンドキアラ(牝5)
栗東/坂路
・主戦の松山騎手が騎乗していたこともあるが、ノーステッキかつ重心による扶助のみで楽に時計を詰めており、左手前1本で登板しきったことからも状態面について前走以上は確実とみていい。
・今回に限らず、登板時に左方向へ推進力が流れる傾向があり、序盤に比べ、ゴール地点ではやはりかなり左側に位置していた点。

ペルシアンナイト(牡6)
栗東/CW
・このレースとは相性が良いといっても、さすがにピークを過ぎたと馬鹿にしていたが、なかなかどうして追い切りの動きは決して悪くない。
・ただし、実戦面においては全盛期ほどのキレ味、ひいては俊敏性を感じさせなくなった分、今となってはマイルは忙しい印象は拭い切れない。

ヴァンドギャルド(牡4)
栗東/芝
・藤原英厩舎お得意の必殺芝コース仕上げ。L1地点ギリギリまで逆手前となる右手前で走らせ、ひとたび左手前にスイッチするや否や矢のような伸び。前走以上は確実とみており、ハマればこわい。
・懸念材料なし。

サリオス(牡3)
美浦/CW
・濃霧で視界不良のなかではあったが、サリオスの身上ともいえる首を低く前に押し出し、それでいて前駆も目一杯前に伸ばし、すぐさま掻き込み胴長の馬体を収縮させ、トモの推進力に活かすという一連の動きがまさにチーターを彷彿とさせるそれ。
・不安材料としてはテン乗りのデムーロ騎手があげられるくらいで、サリオスには何ら不安らしい不安はない。

以上、マイルCSの最終追い切り映像を受けての、所感となります。

ご覧いただいた皆さんにとって、少しでも参考になる記述があれば幸いです。

3日間開催初日から楽しみましょう^^

マイルCS当日のGI展望もぜひお楽しみに~☆

いつもありがとうございます。感謝。