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今だからこそ学びたい。上級者向け『EVERYDAY ! SUNNYDAY ! 』解説

アイプラをこよなく愛する皆様、ごきげんよう。
瑠璃(♂)と申します。

突然ですが、あなたは私のことを知っていますか?

あなたはここにいるのだから、私について『アイプラが好き』『記事を書く人』という認識はあるでしょう。
まあ、別にそれ以上知ってほしいこともありませんから、その認識で構いません。

さて、では逆に。

私はあなたのことをどれくらい理解しているでしょうか。
実は、あなたの私への理解と、差異ありません。

どこの馬の骨ともわからない輩の書いた『考察&解説』を読みに来たあなたは、かなりのアイプラオタクでしょう。

それだけで十分です。

あなたがアイプラを好きだと言うのなら、それはあなたが「EVERYDAY ! SUNNYDAY !」を好きだと言う証明になります。
この曲のMVで泣いた、という方も多いのではないでしょうか?

『アイプラオタクならば、絶対と言っていいほどに好きで、もはや解説など必要ないくらい、みんなに愛されている楽曲』
それが通称『えぶさに』『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』です

しかし。
実は知っていることを繰り返し噛み砕いてみるというのもまた、人生においては大切なこと。

というわけで前置きは長くなりましたが。

東京編が完結を迎え、二度目の単独ライブも控える、どんどんとIDOLY PRIDEが進んでいっている『今だからこそ』語りたい。『今だからこそ』知ってほしい。

『アイプラオタクのアイプラオタクによるアイプラオタクのためのEVERYDAY ! SUNNYDAY !解説』

始めて行きたいと思います

(※ 注意点

本記事には『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』のMV説明、歌詞が多分に含まれています。
いないとは思いますが、『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』のMVを視聴していない方は、一度視聴してから読むことを推奨します。

また本記事にはアニメの大ネタバレ。
ネタバレと言っていいのかすら微妙な、星見編のネタバレが含まれています。
アニメを見ていない方はいないと思いますし、星見編の方も気にしなくていいレベルですが、それでもネタバレを嫌う方はブラウザバックしてください。

最後に
この記事は筆者がテンションで書いているので解り難いかもしれませんが、あなたのアイプラ力を駆使して読み解いてあげてください)



0.この曲が歌われた背景を知ろう


初めに。
本章を『0章』と銘打ったのは、本章で語る内容はタイトルの通りEVERYDAY ! SUNNYDAY !が歌われるまでのストーリーの解説であり、ストーリーガチ勢のみなさまにとっては退屈な話になると思ったからです。

なので、ストーリーは完璧、という方は1章に進んでいただいて構いません。

ただ、ちょっと復習しておきたい方や、まあ聞いてやってもいいよ、という方は是非本章からお付き合いください。
では参ります。

この曲が初めて世に出てきたのは2021年3月14日放送のアニメ10話
『自分だけじゃ辿り着けない場所』
NEXT VENUS グランプリ、セミファイナル一回戦
サニーピース VS TRINITYAiLEにてサニーピースが歌唱しました。

しかし、これは表向きの話。
背景には、細かくややこしい事情があります。
そこも含めて、ストーリーをおさらいしておきましょう。

麻奈の声を持つ少女、川咲さくらは、このまま『麻奈の声』で歌い続けてはいけない、と感じます。(詳しくはアニメを見よう)

対して琴乃は、自分が歌おうと思っていた姉の遺した曲、「song for you」をさくらに歌ってほしいと思っていました。(詳しくはアニメを見よう)

さくらがどうするべきか、迷っていたとき。
彼女は自分の心臓が長瀬麻奈のものだったということを知り、麻奈との会話などを経て、結論を出しました。

麻奈の心臓を持つ自分が、しっかりと麻奈の歌を歌い遂げる。
そして、それ以降は麻奈の声を封印し、自分の歌を歌う。

彼女はその宣言通り、麻奈の歌声で見事に『song for you』を歌い上げました。
その歌唱は『麻奈の代わりに歌った』というのに加えて、『自分から麻奈へ、決別』の意味もあったんだと思います。

そんなわけで、さくらは『長瀬麻奈』という大きな支えから巣立ち、自らの力で進んでいきます。

さくらは麻奈から飛び立ち、またサニピの他の四人も、今までみたくさくら(の歌声)に頼るのではなく、自分達もちゃんとサニーピースのメンバーとしてパフォーマンスしようと、一歩前進する。

そんな『変化の時』を迎えたサニーピース。

彼女たちは自らの新たな門出に、その証として、さくらが麻奈の声を封じるセミファイナルのステージで、自ら作詞と振り付けをした曲を披露することに決めます。

これは『麻奈の作詞したsong for you』と『さくらたちの作詞した新曲』という、この二曲の対極を表していますね。

ただ、さくらの違うところは、『仲間がいること』

麻奈は一人で全てこなせてしまう超人でしたが、さくらは普通の女の子です。
麻奈という強大な支えから卒業した今、彼女は仲間達と共に進んでいきます。

後ろから支えてくれた麻奈→隣に立って、一緒に泣いて笑って歌ってくれるサニピの仲間。
とさくらを支える要素が変化しているのも、この9話→10話の特徴と言えるでしょう。

やはりここら辺のストーリーでは色々な『変化』が見られますね。

さて、話が大分脇道にそれてしまいましたが。
サニーピースにとってこの『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』という曲は、変化した、生まれ変わった自分達の象徴であり、またさくらはこの曲が『本当のデ
ビュー曲』であると言っています。

そんな、サニピが一つの完成形となったことで生まれたこの曲
『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』

この曲と、またそのMVでは、その完成形となるまでの五人の軌跡が語られているわけです。


それでは、本題に入りましょう。

本記事ではこれから『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』を
「song for youとの比較」「MV」「歌詞」「曲」の四つ側面から、とことん読み解いていきたいと思います。

EVERYDAY ! SUNNYDAY !より 兵藤雫


1. 『song for you』との対比で考える


0章でも少し語りました通り、『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』は『song for you(サニーピースver.)』と対になっている部分が多々見られます。

なのでまずは、『song for you』と比べて『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』についての理解を深めていきましょう。

早速、一つ目の対極ポイント。

① 麻奈の歌声で歌った最後の曲:自分の歌声で歌った最初の曲

やはりこれでしょう。
大事なことなので何度でも言います。

この歌声の変化が指し示すのが『song for you』が別れ、『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』が始まり、ということです。

正確に言えば『song for you』が『麻奈という支えとの別れ』
『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』が『サニピの仲間との物語の始まり』と言えます。
ここも対比ポイントになります。

② 麻奈との事を歌う曲:サニピの仲間とのことを歌う曲

さらに、歌詞などからもその対比が読み取れます。
『song for you(サニーピースver.)』は(サニーピースver.)とは言ったものですが、その歌唱はほぼ全てがさくら。

正確にはABメロがさくらの独唱、サビは他の四人がバックコーラス。
まあ結局はさくらの独唱なわけです。

対して『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』
ショートバージョン(TVsize)では、最初の歌詞は『一人きりじゃ叶えられない夢だってあるでしょ? (そう絶対)』

もう、一人完全否定態勢です。

③ さくらが『一人で歌い上げた』歌:みんなと『一緒だから大丈夫』というメッセージの歌

すごいですね、とことん対比しています。
他にも

④ 麻奈が作った歌:さくら『たち』が作った歌

と、制作の面でも対比を図りつつ、一人じゃなくてみんなとだからできるというメッセージが込められたりしているわけです。

こうして見てみると、『song for you』と『EVERYDAY ! SUNNYDA
Y !』は川咲さくらの『麻奈』としての姿と『さくら』としての姿、それぞれを凝縮した楽曲だ、というのがわかってきます。

ところで、『SUNNY PEACE HARMONY』を『麻奈の歌声のさくら』と『自分の歌声のさくら』の2パターンで解釈するとなかなか面白いことになるのですが、それはまた別の機会にいたしましょう。

さて、これにて『song for you』との対比による『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』解釈を終わりましょう。

『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』は生まれ変わった後のサニーピースの曲であり、生まれ変わる前の曲、song for youとは美しいほどまでの対比があることがわかりましたね。

では

その『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』は何を歌っているのか?
一口に『サニピの仲間との始まり』とは言っても、一体何を指しているのか?
次はそれを語るとしましょう。

EVERYDAY ! SUNNYDAY !より 白石千紗

2. MVから読み解く『誰に向けた曲?』
 (受け取り手視点)


前述の通り『EVERYDAY ! SUNNYDY !』は
さくらにとっては『真のデビュー曲』であり、またサニピの他のメンバーにとっても『さくらに頼ってばかりじゃなくて、自分が輝くんだ』という意志の込められた曲です。

ではその意味とはなんでしょう。
意味、ようはこの曲のストーリーですね。
それを読み解くには『歌詞』と『MV』に注目するのがいいでしょう。

この曲、さらりと聴くと
『まさに太陽であるサニーピースが、聴く人みんなに向けて歌った、聴く人みんなを照らして元気付ける曲』のように感じ取れます。

まあ、それでも間違ってもいません。
しかし、この楽曲が真に言葉を伝えようとしているのは、不特定多数の聞き手ではないと思われます。

この章の命題『誰に向けた曲?』
その答えはズバリ。

『過去の自分達に対する応援と宣誓』
これだと思います。

ゆっくり紐解いて行きましょう。

まず最初に。
このMV、二番が終わるまでさくらが出てきません。
何ということでしょうか。センターなのに。主人公なのに。

しかし、それこそがこのMVの美学です。
今度このMVを見るときは、「さくら出てこないな〜」と思いながら見てみてください。
「さくらが出て来て欲しい」その期待が大きければ大きいほど、このMVで得られる感動が大きくなる仕掛けになっています。

ではまずはMV冒頭の0サビと言われる部分から解説して行きましょう。
当時、アニメで【1.2.3GO!】から始まるこの曲を聴いていた私は、この0サビに随分と驚かされたのを覚えています。

と、そんな話はさておき。
ここでは5人のピースで作られた星が写って、そのピースがそれぞれ消えていく、という描写になっています。

【MV】EVERYDAY ! SUNNYDAY ! (動画名以下略)より

この五つのピースを重ねるという行為はサニーピースの円陣であり、また『SUNNY PEACE HARMONY』の【五つのピース重ねれば星になるんだ】の振り付けにもありますね。

この円陣もまた興味深くてですね。
『星=長瀬麻奈』に、五人だったらなれる、ということを表しているわけです。
この曲。というよりサニーピースのテーマである『一人で、じゃなくてみんなで』に合った円陣ですよね。

MVに戻ります。
0サビでは、そんな合わせられた五つのピースが順番に消えていくところが描かれたところで、楽曲は【1.2.3GO!】と中トロ(0サビ〜1A間の間奏のこと)が始まります。

この円陣が消える、という描写が示していることは何か、という話ですが。

五人合わさって星になったサニーピースのメンバーが、まだ一人だった時の話がこれから始まる。
五人が集まる前に戻る。
というのを示唆しているのだと思われます。

今は五つのピースを重ねて星となり、輝いているサニーピース。
『これは太陽の欠けらである彼女たちが、まだ一人でいたときの物語』みたいなことです。

まさにこのMVで語られるのは、輝き始める前の彼女たちですから。
このMVは、AメロBメロで過去の話をして、サビではアイドルになった後の五人が描かれます。

過去のそれぞれの内容に入る前に、こちらをご覧ください

【MV】EVERYDAY ! SUNNYDAY ! (動画名以下略)より

これはさくらの過去の描写ですが。
画面両端に小さく英語が書かれているのが見えるでしょうか。
この二つの英語は、さくらだけでなく全員の過去描写に書かれています。

では、なんと書かれているのか。
小さくて読みにくいのですが、左端には「-the shade-」右端には「-bad weather-」と書かれています。

日本語に訳すと「影(日陰)」「悪天候」といったところでしょうか。
すなわち、太陽になる前の、毎日が晴れの日になる前の彼女たちは、日陰の存在であり、それは決して『SUNNYDAY』と呼べるものではなかった、ということを意味するのでしょう。

では、さっそくその、彼女たちが日向に出てくる前のお話に、目を向けていきましょう。

MV一番で語られるのは『遙子&怜』

佐伯遙子はソロアイドルとして活動していましたが、なかなか売れず。事務所のもう一人のアイドルである麻奈はどんどんと躍進していきました。


ソロじゃダメなのか? けれど同じくソロで活動している麻奈はものすごい人気を誇っている。
そんな遙子の葛藤が見えますね。
歌詞もまさしく【一人きりじゃ叶えられない夢だってあるでしょ?】に重なっています。

次に一ノ瀬怜です。
彼女はダンス大会で優勝もしているのに、親に認めてもらえず。
ただ純真な憧れだったダンスのパフォーマンスは、いつしか彼女の中で『勝つためのもの』『認めさせるためのもの』に変わっていました。

そんな思いでやっても親には認めてもらえないし、当然楽しくなんてありません。
彼女は『自分一人』の力ではどうしようもない状況に陥ってしまいました。

けれど、それでも少女は戦います。
【何度だって諦めたくない気持ちってあるでしょ】という歌詞の通りですね。

さてBメロ。

ここは是非MVを見て確認してほしいのですが、真の思いを心の奥に閉じ込めた二人の絵、その中心に
【今日まで頑張ってきたでしょ?】
の文字が浮かび上がります。
これ、まじで鳥肌立ちますから。

そして、二人が手を繋ぐ描写が描かれます。
孤独に戦っていた彼女たちは、ついに仲間を見つけることができたんですね。

手を繋ぐ描写の後は瞑っていた目を開ける描写です。
ちなみに、その時に真ん中に小さく「アイドルやってみない?」と文字が映るのはご存知でしょうか?

【MV】EVERYDAY ! SUNNYDAY !(動画名以下略)より

この言葉は、遙子にとっては三枝さんで、怜にとっては牧野でしょうか。もしくは、遙子さんをサニピに誘ったということを考えると、両方牧野のセリフと考えてもいいかもしれません。

何にせよ、『サニーピース』という道を示されたことで、二人の目は開く。
この目を開けるという行為は、蕾が開花する様子を感じさせられます。

そしてサビ。

サビに関して語ることは特にありません。
サニピの衣装を着て笑顔でいる二人。
サビの歌詞には後々触れますので、今は置いておきましょう。


二番に移ります。

さて二番に入りました。
ここでは雫と千紗について描かれています。
まずは雫。

麻奈始め、沢山のアイドルに憧れていたドルオタの彼女は、自分もアイドルをやってみたいと考えます。

しかし、暗くて、無口で、笑顔が苦手な自分にアイドルなんて出来ない。もっと誰にでも愛されるような笑顔の素敵な人じゃないとアイドルにはなれない、と諦めてしまいます。

けれど、そんな彼女にこの曲は歌っていますね
【他の誰かじゃなくて私たちの歌声で】

次に千紗です。
千紗はお姉ちゃんと一緒がいいから、という理由と、あとは幼少期からの憧れ、さらに自分を変えたいから、という目標を持ってアイドルを志しました。

しかし、自分の支えだった姉、沙季とグループが分かれることになり、どうすればいいかわからなくなります。

どんどんと離れていってしまう姉。
彼女は、自分の中にあった支えを失ってしまった訳です。

(ここ、本当に作り込まれてて。沙季が離れていくシーンでは【離れてたって君のところまで】
千紗が手を伸ばすシーンでは【届くかな?】と歌詞に重ねてきています)

笑顔を練習する雫、うつむく千紗。
そこに先ほどと同じように真ん中に強調されて映し出された
【ため息もメロディに変えていこう】

いい、凄く良い。

手を繋ぐ二人。瞑っていた目が開きます。
そのときに表示される文字は「一緒に頑張ろう」

【MV】EVERYDAY ! SUNNYDAY !(動画名以下略)より

これはアニメ5話、『同じ気持ち、別の光』にて沙季と別れてしまって一人でやっていけるかどうか不安に思っていた千紗に、さくらが掛けた言葉です。
この一言に、千紗は救われたことでしょう。

そして、サビがやってきます。
一番と同じく、サニピの衣装を着て笑顔でいる千紗と雫。
歌詞も本当にこの状況に合っています。

そうして二番も終了。


一番では一人で戦って苦しんでいる二人を、二番では立ち上がることができずに、ただ隅で震えていた二人を描きました。

この四人は、サニーピースというチームのイメージとは少し違う性格をしていますよね。
元気はつらつで何事にも前向き、というわけではなく。
むしろ落ち着いた子達です。

これは菅野真衣さんも言っていたことですね。

また麻奈もこんなことを言っています。
さくらと琴乃を別チームに分けることを決めて、サニピのメンバー(その時点ではサニピとは明言されていない)を集めている牧野に、麻奈が言った言葉です

『もともと、さくらちゃんが近くにいると琴乃の輝きに気付けないから、分けるんでしょ? だったら探すのはさくらちゃんに負けない子じゃなく、さくらちゃんがいることで、輝ける子じゃない?』

ゲーム『IDOLY PRIDE』メインストーリー星見編 1章14話より


つまり彼女たちは、『川咲さくら』という太陽の輝きを受けて、自分達も輝ける存在な訳です。
ではその全て輝きの根源である『川咲さくら』

彼女は最初から太陽のように輝いていた存在なのでしょうか?

いいえ。決してそうではありません。
川咲さくらはとても弱い女の子です。
ひとまずMVの続きを見てみましょう。

そう、二番終了までの3分30秒間登場していなかったさくらが、ようやく登場します。


心臓の手術を直前(もしくは終えた直後)に、不安になるさくら。
元気になれるか不安な中、なんとか前向きに(多分半分は虚勢を張って)明るく生きようとします。

リハビリをする彼女が描かれ(これはアニメ9話のsong for youからの引用と思われます)最後に出てくる「やりたいこと、いーっぱいあるから!」の文字。

戦ってもどうしようもなかった遙子と怜。
立ち上がることすらできず塞ぎ込んでしまった雫と千紗。

対して、病気のせいで、立ち上がりたくても立ち上がれずに。戦いたくてもその舞台にすら上がれなかったのがさくらです。

ただ普通に生きる、それすらもが夢だった。
そんな少女に大きな変化が訪れます。

それが心臓の移植手術。
彼女はこの一件にて命を繋ぐことはできました、が。

肉体的な面ではリハビリを要され、精神面では、自分がまるで自分じゃないように感じるという、辛い時期を過ごします。

それでも彼女がなんとかして前を向いたのは
『やりたいこといーっぱいあるから!』でしょう。

サニーピースのさくら以外の四人は、さくらと出会えたから前を向けた。
では、さくらはなぜみんなと出会う前に前を向けたのか?

それは、今までも何回も言ってきています。
さくらが『仲間』と歩み出すまで、彼女を支え続けた『アイドル』がいたから。

そう、長瀬麻奈ですね。

しかし、こちらの話を広げてしまったらそれはもはや『song for you』解説になってしまいますから、今はやめておきましょう。


さて、MVはさくらのリハビリのシーンまできましたね。
ここで間奏が開けます。

やってきたCメロ。

そこには桜舞う中、心臓に手を当て、目を瞑っている少女。高校の制服に身を包んでいるので、退院後のさくらでしょう。

ひとまずは健康になって、普通の少女としての日常を歩み始めたさくらです。

【始まり】という歌詞と重なることから、アニメ1話終盤、もしくは2話冒頭のシーンと同日と捉えても面白いかもです。

高二の春、桜舞う中校門を出ると、胸がものすごく高鳴った。
少女は目を瞑り、胸に手を当て、その心臓の高鳴りのままに、歩き出した→→星見事務所前で琴乃とぶつかる、とかだったら、エモいな〜なんて勝手に思ってます。

と、そんなことはさておき、桜が舞う中に少女は立っています。
これはアニメOPや9話のsong for youにも出てくる、桜が舞う中胸に手を当てるさくらのオマージュと思われます。

ここの歌詞はとても深い意味がありそうなので、それについては次章で語りましょう。

一人、心身ともに苦しんでいったさくらは、麻奈のおかげで前を向き、健康な日々を歩み出しました。
そして彼女はまた麻奈のおかげで星見プロダクションに引き寄せられ、ついに仲間に出逢います。

MVでも、一番二番と同じようにサビ前に目が開く描写がありますね。
さくらは目を開く、またそれは花の開花のようにも見えます。

このMVの中で初めてさくらが描かれるシーンということも相まって、見ている側の興奮はもう最高潮です。

そして、大サビがやってきました。
そこには、サニーピースの衣装を着て笑顔でいる五人。

さくらはこちらに手を伸ばしています。
『こっちにおいでよ』なんて言っていそうですね。

全員が全員、それぞれの悩み苦しみの中で、それぞれの形で戦ってきた。
それでも『一人では』どうしても届かないところがあり、できないことがあった。

けれど、仲間と出会えた。
だから花開いて、今こうして輝いている。

このMVが、そしてこの楽曲が歌っていることにおいて最も重要なのはこれですね。

そして、サビが終わった後の後奏。
ここでは重ねた五つのピースが上に掲げられた、円陣の姿が描かれています。
最初に円陣のセットから始まり、最後が円陣を上げた後で終わる。

こうしてみると、このようにも捉えられます

円陣でピースを重ね合わせたとき、五人がそれぞれ過去の自分のことを思い出し、そしてそんな自分に『今の自分はこうして輝けている。だから君も大丈夫だよ』とエールを送って、円陣を終える。

その一場面を切り取ったのが、このMVなのではないでしょうか?

そして、もう一度、章のタイトルの質問に答えておきましょう。

『誰に向けた曲?』

この曲は『過去の自分達に向けたエール
この『過去の自分達に向けたエール』というのは次章でも大切になっていくので、よく覚えておきましょう。

ということで、これにてMVの考察&解説を終えたいと思います。

一人では無理だったけど、お互いがお互いに出会って強くなれたサニーピース。
このMVではそんな彼女たちの『過去の目線』からこの楽曲について紐解かれました。

過去の自分達、それはつまりこの曲の『受け取り手』です。
と、これを言えば察しのいいアイプラオタクの皆様は次に何があるかわかるでしょう。

そう。次は『歌い手』の視点でこの楽曲のストーリーを読み解いて行きます。

MVが『受け取り手』となると、当然『歌い手』を描いているのは『歌詞』です。
なんせ、自分達で作詞した曲ですからね。

では、行きましょう。

本章では、MVの解説の補完として歌詞を用いてきましたが、ここからは逆に歌詞の解説を主軸とし、それをMVで補完してみたいと思います。

EVERYDAY ! SUNNYDAY !より 一ノ瀬怜

3. 歌詞から読み解く 『誰に向けた曲?』
 (歌い手視点)


やって来ました第3章。
遂に楽曲における中軸『歌詞』に触れていきますよ。

何度も言いますが、この曲を作詞したのはサニーピースのメンバーです。(作品内では)

つまり、この曲の歌詞はサニーピースの。
正確には『今のサニーピース』のメッセージそのまま、と捉えることができます。

そして2章で解った通り、この曲は『今のサニーピース』が『カケラ、単品だった自分たち』に向けて歌った曲です。

なるほど、『歌詞』を見ればいいんですね。
はい、その通りです。

この歌詞こそが、『過去の自分達』へ向けられた言葉、ということになります。
そして加えて『今の自分達』へ向けられた歌詞にもなっているのです。

などと、つべこべ言っていてもわからないので、早速見ていきましょう。

まずは0サビ、と行きたいところなのですが。
0サビに関しては次章、4章にて解説いたしますので、今は保留としてください。

というわけで一番Aメロから始めていきたいと思います。

【1人きりじゃ叶えられない夢だってあるでしょ?(そう、絶対)】

のっけからこの曲が『伝えたいこと』が前面に押し出された歌詞ですね。

一章で語った通り、この歌詞はさくらの独唱であったsong for youとの対比を測っている歌詞であり、また一人ではどうしようもなかった、戦っても戦果を得られなかった過去の自分達へのメッセージでもあります。

ちなみに
【1人きりじゃ】を歌っているのはさくらのみですが、【叶えられない夢だってあるでしょ】は五人で歌っています。

【1人きりじゃ叶えられない夢だってある】
じゃあどうすれば叶えられるのか。

【一緒だったらきっと叶う! 目指そう! ナンバーワン!】

もはや言うまでもありませんね。
『一人じゃなくてみんなで』というメッセージです。

【何度だってあきらめたくない 気持ちってあるでしょ?(そう絶対)】

ここの歌詞もいいですね。
確かに一人では壁を越えられなかったのは事実ですが。
もっと早くに諦めてしまっては出会うことすらなかったんです。

成功しない、それでも抗い続けたから、彼女たちは出会うことができた。
そして

【乗り越えてく勇気をみんなからもらえたよ】

という歌詞に繋がるわけですね。
これはもちろん五人全員に当てはまりますが。

さくらとして見ると、面白いことになります。
というのも一章の対比の話なのですが。

【あなたに貰った勇気を抱きしめて】

引用 サニーピース Song for you(サニーピースver.) 作詞 PA-NON

と、song for youでは言葉通り、麻奈から貰った勇気を抱きしめているわけですが、この曲では

【乗り越えてく勇気をみんなからもらえたよ】

さくらを支えている要素が『麻奈』から『サニピの仲間』に変わっているという演出がここにも見られましたね。
この二曲は本当に、対極を狙っています。

Bメロです。

【君が笑えばそれが嬉しくって明日はもっと出来る】

この【君】とは誰のことでしょうか。
歌詞に【もっと出来る】と入っていることから、私たち=サニーピースの行動(歌やダンス?)によって、君を笑わせられたようです。

ということは普通に考えればファン。

ですが、この曲においてはサニーピースの他のメンバーのことを指していると思われます。
互いが互いのために、というのも彼女たちらしいですよね。

【今日までがんばって来たでしょ?】

出ましたこの歌詞。
MVで強調した描かれ方をする歌詞です。
本当に、この歌詞はいい歌詞だ。

これこそが『過去の自分達』に向けた一言ですね。

【大丈夫 胸張って進もう!】

そう、立ち止まらなくていいんです。
けれどどうしても立ち止まってしまう。そんな時に一歩進める勇気を、仲間が与えてくれる。

そうして勇気をもらって、進めたからこそ。
彼女たちには『晴れの日』【Sunnyday 】が訪れたわけですね。

さあ、サビです。

【Everyday 繋がる笑顔が Sunnyday 晴れ渡るから】

彼女たちは最高の仲間に出会えた。
そうして笑顔がつながって、その世界は晴れ渡った。

【みんなで良かった そう思えるよね】

「うん。本当にそう思える」以外の返答が思い浮かびませんね(笑)

【大好きが今日も止まらない!】

【今日も】と言っているということは今日だけではないんですね。
きっと【Everyday】なのでしょう。

【Everyday そんなスペシャルが Sunnyday 重なり合って
 生まれたこの瞬間 大切にしようよ】

語ることはないです。
出会えたから、重なり合ったからこの瞬間が生まれた。

さて、感動のあまり語彙力を失ってないで、ちゃんと解説しましょう。

この曲のいいところは『語りかける構文』がたびたび登場するところにあると思っています。

『よ』『でしょ』などですね。
それこそが、この曲が明確に伝えたい誰かがいることの証明にもなっています。

では、歌詞に戻りまして。

【最高のハーモニー 奏でるから】

『ハーモニー』とは日本語で言うところの『和声』
まあみんなで合わせて歌うことですね。

そう。ハーモニーとは複数人で歌唱することです。
どんなに歌がうまくても、みんなで声を合わせないと『ハーモニー』を出すことができません。

【一人きりじゃ】不可能ということですね。

あと、デビュー曲『SUNNY PEACE HARMONY』のタイトルをここで回収してくるのもエモエモポイントです。

これにて、一番が終了します。


一人で戦っていた少女たちは、自分自身に言いました。
【胸張って進もう】
また【乗り越えてく勇気】もあります。
全ては『出会えたから』です。

そして出会えて、踏み出すことができたから、今が『晴れの日』【Sunnyday】になっているわけですね。

いい曲。もうこの時点でいい曲。まだ一番なのにいい曲。
さーてさて、どんどん行きましょう。二番です。

【立ち止まって 泣きたくなって そんな日もあるけど (大丈夫)】

MVで彼女たちの過去の苦労を知っているからこそ、この歌詞がまあ刺さるし、【大丈夫】と言われると、本当に大丈夫な気がして来ます。

【他の誰かじゃなくて 私たちの歌声で】

これは、自分じゃダメなのかな、私には出来ないのかな、と思っていた過去の自分へのエールですね。
主役は自分達なんだ、というメッセージです。

【どこにいたって 離れてたって 君のところまで
 気持ちをギュッと込めて歌うから届くかな?】

一番にも出て来ました【君】
離れてたって、と言っていることから、これは『過去の自分達』に向けているのでしょうか。

それとも、一番では『自分たち』だけにしか向いていなかったメッセージは、『不特定多数の大勢』まで伝わるようになった、というサニピの進化を示しているのでしょうか。

お好きな方で捉えてください
Bメロ行きます。

【誰かがそっと 口ずさんだ声に 重ねる こんなハーモニー】

一人の力は小さくてもいい。ただ、その小さなサインを受け取って、一緒に大きなものを作り上げる。ハーモニーを奏でる。

『一人では輝けないけど、みんながいるから輝ける』
この曲の全てはこれを歌っていますね。いいメッセージです。

【ため息もメロディに変えていこう】

これもまた、MV内で強く強調された歌詞ですね。

マイナスなことも、みんなでプラスに変えていこう。
大丈夫。だって私たちがいるんだから。
そんなところでしょうか。

【もうすぐだから待ってて】

これは完全に過去の自分に向けた言葉ですね。
もう少し頑張って。そしたらやってくるから。

やってくる……何がやってくるのでしょうか?
それはもちろん『晴れの日』です

【Everyday いつもいつまでも Sunnyday 一緒に歌おう】

【いつもいつまでも】はそのまま『毎日』という意味でしょうね。
【一緒に歌おう】は『ハーモニー』です。

【みんなでよかった そう思えるから】

ここ、ここね。注目ポイント!

一番では【みんなでよかった そう思えるよね】と、【みんなでよかった】ということを互いに確認しあっているような、同意を求めるような【よね】になっていますが。

二番では【から】と自発的な発言に変わっています。
ほんの小さな違いですが、これ重要ですから。覚えておきましょう。

【大切が今日も止まらない!】

雫!!
雫!!!
そう。雫なんです。
ここの【止まらない】は雫なんです

1番と3番はさくらですから、唯一のさくら以外の【止まらない!】が雫なわけです。
いい人選ですね。

雫は内気で、あまり思いを前に出さない節があります。
それこそ、サニピのみんなと出会って徐々に変化していますが。
そんな雫が【大切が今日も止まらない!】

さくらが【大好き】で雫が【大切】という二人の語彙の違いが妙に解釈一致なのは、私だけでしょうか?

と、ここの【止まらない!】が雫であることの良さを語っています。が。

筆者、この曲、曲だけ聞いててもこの【止まらない!】が雫なのか怜なのか解らなかったんですよね(汗)

何回聞いても、雫と思えば雫に聞こえるし、怜と思えば怜と聞こえてしまって。
二番はダンスシーンもありませんから、見て判断することもできず。
MVからも判別できず。

結局、筆者がここを歌ってるのが雫だと知ったのは、2022年02月19日に中野サンプラザで行われた『IDOLY PRIDE VENUS STAGE 2022 "奇跡”』だったりします。

この曲の披露を見てて「あ、しゅきな(兵藤雫役 首藤志奈)が歌ってる」なんて思った記憶があります(笑)

と、そんな筆者のキャラ歌声識別能力の低さの話はこれくらいにして。

【Everyday 普通の毎日 Sunnyday 変わらなくても
 特別な笑顔 唇に歌を 心には太陽】

この歌詞もねえ、また色々詰まってるんだよねえ。
一つずつ見ていきますか。

【普通の毎日】と聞いてみなさんこう思ったんじゃないでしょうか?

「え、一番で【そんなスペシャルが】って言ってるんだし。毎日が特別な日=毎日が晴れの日なんじゃないの? 毎日普通なの? 嘘じゃん!!」

その意見、ごもっともです。
しかし、こう捉えてみてはどうでしょうか?

五人は一緒にいることが、すでに【普通】と化している。
そして五人で一緒にいるから、何気ない【普通の毎日】にも【特別な笑顔】があり、歌を口ずさみ、心には太陽を秘めている。

うん。綺麗に筋が通りますね。

これが一つ目の解釈。

もう一つ解釈があります。といっても、こちらはさくら限定の解釈ですが。

川咲さくらは病気のため、満足な日々を送れませんでした。
一問一答では「普通に生活してるだけでも幸せだったと思うので」と答えています。

そんな彼女にとっては【普通の毎日】こそが【特別な日々】なのではないでしょうか?

普通の日々の中で【特別な笑顔】を咲かせ(今まで出来なかったことが出来たから特別) 何気なく歌い、【心には太陽】を秘めている。

心……心臓?
心臓には太陽?
さくらが太陽になる前に、太陽のように輝いていた、星降る奇跡……考えすぎでしょうか?

いえ、考えすぎて暴論に近いことを謳う、それこそが考察という遊びの真髄ですから。
ここでは【心には太陽】はそういう意味だと受け取っておきましょう。

さくらは過去に自分を照らしていてくれた太陽を胸に秘めて、今日は自分が太陽のように輝いているんですね。

【忘れないから】

順当に行けば初心を忘れない。【特別な笑顔】 【唇に歌を】【心には太陽】を【忘れない】という意味でしょう。

しかし、上のさくらの心臓の説の方で見るならば。
【忘れないから】は

もう頼ることはない。けど、あなたのことは【忘れない】
いつまでも、この感謝を【忘れないから】
そんなふうに見えませんか?

今まで、この曲はsong for youとの対比であり、麻奈から巣立ったことの『象徴』『証』の曲だよ〜、と語って来ましたが。

それは必ずしも麻奈のことを忘れて、無かったことにして歩んで行くという意味ではなく。

むしろ、さくらは麻奈という大切な存在を、それこそ胸の奥に仕舞い込んだのではないでしょうか。

それが麻奈から巣立ったことの『象徴』たるこの曲で語られるのは、なんとも感慨深いものです。

ちなみに、同じように『琴乃』が麻奈から巣立ったことを『象徴』する楽曲『The One and Only』にも、琴乃は麻奈の存在を忘れたのではなく、胸の奥に大切にしまい込んでいるように受け取れる部分があるのですが、そちらはまた気が向いた時に書くであろう『The One and Only考察』の記事でも待つか、自分で考えてもらって。

何にせよ、2番サビ後半ではさくらの現在の心情と、そして麻奈への感謝(?)と取れそうな歌詞が登場しました。

いいですよね、これ。

さんざん『サニピの仲間と出会えたから、みんなに支えられているから、こうして輝けている』というのを歌っておいて、それでもしっかりと先代の心の支えのことも歌っている。

この歌詞を書いたのはさくら(たち)ですから。

麻奈が琴乃へ想いを込めた歌詞を書いたように、さくらも大切な人(サニピの仲間)に想いを込めて歌詞を書き、その大切な人の中に『長瀬麻奈』が含まれていて、彼女への感謝も伝えようとしていても何ら不思議ではありません。

というわけで二番が終わりました。

二番は過去の自分達へ、という要素が強く。
またサビの後半では麻奈へ向けていると取れなくもない歌詞に、考察(妄想)が捗りましたね。

さて、この曲の一番伝えたいであろうメッセージは、最初から何度も何度も語られて来ました。

しかし、Cメロもなかなか考察のしがいのある内容になっていますので、最後までお楽しみください。

それでは行きましょう。
間奏が明けましたよ。

【始まりのあの夜に見つけた小さい花】

Cメロではこの【花】について、全力で考えていきたいと思います。

何度も何度も言いますが、この曲は作詞がサニピのみんな。
つまり、サニピのみんなのそのままの想いを歌っている曲です。

では、彼女たちにとっての【見つけた小さい花】とはなんでしょうか。

それはやはり『ネモフィラ』だと思います。
歌詞の中でも【空の青さに似てた】と明言されていますし、MVの中でもネモフィラらしき花が映ります。

また、セミファイナルで着用した衣装の胸元にも、ネモフィラを模したと思われるアクセサリがついていますよね。

じゃあ見つけた小さい花は、ネモフィラということで解決!!
……ともなりません。

最初から明記されています。
【始まりのあの夜に見つけた小さい花】
夜……夜…………夜?

そう。アニメ5話でさくらがネモフィラを発見して、サニピのみんなと花壇前で会話していたのは夕方です。
決して夜なんて呼べる時間帯ではありません。

ではこの【小さい花】がネモフィラだという推測は間違っているのでしょうか?

いえ、そんなことはないと思います。
むしろ、間違っているのは『ネモフィラ』ではなく『夜』ではないでしょうか。

正確にいうと、この場合の夜が差しているのは、『時間帯の夜』ではない、ということです。
つまり『夜』とは比喩である、という考えですね。

詳しく解説しましょう。

『夜』とは言い換えれば太陽の出ていない時間。
そして『太陽が出る時間(朝)の前の時間』です。

サニーピースのデビューは、アニメでいうと6話。
丁度このネモフィラ回の次話に当たります。
そしてサニーピースとはまさしく太陽であり、ということはサニーピースのデビューとは『太陽が輝き始めた』ということ。

つまり、この場合の【始まりのあの夜】が差しているのは『太陽が輝き始める(朝)がくる直前』すなわち『サニーピースがデビューする直前』なのではないでしょうか。

そうすると、【始まりのあの夜に見つけた小さい花】に筋の通った意味がつけられますよね。

この一節は「デビューする少し前(夜)の、サニピの『絆』が始まったきっかけになった、小さい花(ネモフィラ)」だと、私は捉えています。

そして【空の青さに似てた】はネモフィラの鮮やかな色。

ではCメロ最後の歌詞に行きましょう。

【君にも見せたいな いつかは】

【見せたい】ものは【始まり〜〜小さい花】=ネモフィラでしょう。

しかし【いつかは】と言っているということは、『君』はまだ、その花を見ていない、ということになります。

あれ? もう五人はネモフィラの花をデビューより先に見ていますよね。

そうつまり。この歌詞も『過去の自分達』に向けて歌った歌詞だと推測されるわけです。

私たちの『絆』=『サニーピース』が始まった時の。
この【空の青さに似てた】【始まりのあの夜に見つけた小さい花】を【君にも見せたい】ということです。

こうしてみると、Cメロもまた、なかなかに感慨深い、考察のしがいのある歌詞でしたね。

そして、もはやお決まりとなった【1.2.3GO!】から、大サビへと入っていきます。

大サビは一番サビと歌詞が変わらないので、特に解説は致しません。
もう一度味わいたいという方は、自分で歌詞カードを見てください。

本当に、本っっっっ当に良い歌詞なので!!!
いや、僕に言われずとも解ってますよね。

本当にいい歌詞ですよね(´;ω;`)

というわけで、これにて歌詞から読み解く『誰に向けた曲?』(歌い手視点)を終わろうと思います。

今の自分、仲間、そして過去の自分。
またさくらにしてみれば麻奈へのメッセージという意味もあったのかもしれません。

そんなたくさんの。本当にたくさんの『伝えたい』が籠ったEVERYDAY ! SUNNYDAY !の歌詞。
今度からEVERYDAY ! SUNNYDAY !を聴くときは少し意識してみてください。

さーてさてさて。
何と、ここまでで15000字に到達しています。
ちょっと語りすぎましたね。

メインの考察&解説は3章に渡って、『song for youとの比較』『MV』『歌詞』と三つの側面からEVERYDAY ! SUNNYDAY !を紐解いて来ました。

これをみれば、一見してストーリーに関わる物は全て終わったように見えます、が。
まだまだ舞いますよ。

曲を構成する要素はこれだけではありません。

それでは行きましょう。
本記事も最終盤、第4章です。

EVERYDAY ! SUNNYDAY !より 佐伯遙子

4. 曲から読み解く 『いつの円陣なのか』というお話


2章のMV解説にて。
MVの冒頭で五人がピースを合わせており、最後にピースを掲げた、円陣後が描かれることから。

この曲は円陣をしている最中に、五人が五人、今までの自分の苦労などを思い出している、というシチューションなのではないか。
みたいなことを述べました。

それがその通りだとしましょう。
では。
この円陣は『いつの円陣なのか』
本章ではそのことについて、語らせていただきます。

まずそれを紐解く上で、この曲の中で起きている『転調』についてのお話をします。

『転調』
みなさんご存知でしょうか?
分かる方は以下の説明を飛ばしてもらって構いません。
わからない方のために、簡略的な説明を行います。

______

まず、現在世界では『12音階』と言われるものが使用されています(ド〜シまで)
そして、その一つ一つの音がベースとなった『キー』が存在します。

キーは
英語で言うところの「C」「F」「A#」
日本語で言うところの「ハ長調」「ト長調」「イ短調」などのことです。

キーは、合計12個ある音から『7つ』を持って一セットとします。
もっともメジャーな『ドのキー』に属するのは『ドレミファソラシド』です。ピアノの白鍵はドのキーだったんですね。

そうしてさきほど、「ハ長調」「イ短調」なんて話をしましたが。
『調』という言葉が出て来ましたね。
これが『転調』の『調』です。
転調とは『調が転じる』こと

つまり、転調とは曲中で調が変わることを指すのです。
基本的に、一楽曲は基盤となるキーが存在し、たまに転調を織り交ぜて作られます。

そうすることで、曲に刺激が生まれるので、盛り上がる部分で使われることが多いですね。

基本的にはクレヨンで書くけど、絵の具もちょびっと使う、みたいな感じでしょうか。

以上にて、転調の説明を終わります

______

さて、ではEVERYDAY ! SUNNYDAY !で転調が起きるのはどこか、と言う話ですが。
1番、2番、3番、全てのサビの前で起こっています。

【1.2.3GO】『ここで転調』【Everyday】

【E】からが転調後のキーですね。
これは二番でも三番でも同様です。

そして、サビ終わりから間奏に入る間に、転調前のキーに戻ります。

サビ初めとサビ終わりに転調している。つまり『サビだけ』が転調後のキーになっているわけです。

さて。
以降説明で『サビ以外のキー』『サビのキー』というのは面倒なので、『サビ以外のキー』を『C#』 『サビのキー』を『A』と呼称させていただきます。

この曲はサビのみ『A』で他が『C#』ということなので。
Bメロ、またはCメロからサビに入る時に、大きな変化が起こっている、と捉えることができます。

では転調する=サビに入る直前を、歌詞の面から見てみましょう。
一番、二番ではそれぞれ

【大丈夫 胸張って進もう!】
【もうすぐだから待ってて】

これは両方過去の自分に言っている言葉で、また共通のメッセージが隠されています。

【胸張って進もう】は
もう一歩進めば『晴れの日』=【Sunnyday】がやってくるから。

【もうすぐだから待ってて】は
あと少し頑張れば、仲間と出会えて『晴れの日』=【Sunnyday】がやってくるから。

そして両方次の歌詞が【1.2.3GO!】
なことから、Bメロは【1】より前=『0』ということになりますね。

この二つの歌詞はどちらも『もう晴れの日が来るよ!』というメッセージなわけです。それが0

そして数字が増えていって、転調が起こる。

【Everyday 繋がる笑顔が Sunnyday 晴れ渡るから】

見事に晴れ渡れたわけです。
つまり、この転調は「ばっ、と強い日差しが差し込んでくる」という力強い変化を表しているものと思われます。

また、三番もみてみましょう。
三番サビ直前の歌詞は

【君にも見せたいな いつかは】

3章では、これは『ネモフィラを見せたい』という意味に捉えていました、が。
この歌詞だけで独立させて、サビの歌詞とも見てみることにしましょう。

【君にも見せたいな いつかは】
そういってサビに入るわけですから、サビにその見せたい物の答えがありそうです。

大サビの歌詞も、一番と変わらず
【Everyday 繋がる笑顔が Sunnyday 晴れ渡るから】
でございます。

そして、MVの話。
一番のサビでは怜と遙子、二番のサビでは千紗と雫が描かれていたこの楽曲は三番のサビ、大サビでは遂に五人が揃うのですが。

一番と二番のサビに映る四人は準決勝衣装(胸元にネモフィラ)だったのに対し、三番は『アセンブルハーモニー』 いわゆる初期のサニピ衣装になっています。

(アセンブルは集まる、集うなどの意味。ハーモニーは先ほど言った通りです。衣装名にまでメッセージが込められてますね)

つまりこの三番の【Sunnyday】が指すのはEVERYDAY ! SUNNYDAY !を歌う、変化後の自分たちだけでなく、さくらが麻奈の声を歌っていた今までも含めた、もっと広い意味での『サニーピースとしての日々』なのではないでしょうか。

【君にも見せたいな いつかは】
とは、あなたにも早くここまで来てほしい、という意味。【見せたいな】は単に『見る』の意味に留まらず、もっと広い『やる』という意味を持つのではないでしょうか。

もしくは、言葉通りの『見る』と捉えるならば「ステージ上から見えるこの素敵な景色を、あなたにも見てほしい」なんて意味になるのかな?

なんにせよ、『早くここまで来てほしい』ということでしょう。

そして、まだステージに上がっていなかった、輝いていなかった、一人でいた『制服を着たさくら』の目が開き、サビに入って『アセンブルハーモニー』になる=一人の少女だった彼女(たち)が集って、ステージに上がって、輝く。アイドルになる。

そんなさくらの、またみんなの変化を転調で表しているのでしょう。

結局、三つの転調とも『過去の自分』→『今の自分』という変化を表していたわけです。

みなさん、転調のことに関してあまり深く考えてはいなかったと思いますが、転調とは明らかな変化ですから、きっと無意識下にそれを受け取って、考えていたと思います。

しかし、こう言う機会なので、是非覚えて帰ってください。

さて、というわけで転調のことも説明したので、これにて4章を終了……ということにもなりません。

4章の命題である『いつの円陣なのか』という話をしていませんから。

そして、それを読み解く鍵は、今までの解説に当てはまらないイレギュラーが鍵となって来ます。

というのも、サビ以外が転調前『C#』 サビが転調後『A』という話をして来ました。
また、サビに入る前は【1.2.3GO!】と転調と同じように歌詞の面でも変化を表しているとも言って来ました。

しかし、その両方に当てはまらないサビがあるのです。
それが最初のサビ、いわゆる『0サビ』です。

歌詞解説の時に保留にしていましたのは、ここで語りたかったからです。
では0サビを見ていきましょう。

まず第一に。
この曲をアニメで聴いて、その後初めてフルバージョンを聴いた時、皆さん驚いたのではないでしょうか?

筆者は驚きました。
【1.2.3GO!】と始まっているからには、そこが曲の頭とばかり思っていたのです。

しかし、実際には『0サビ』があった。
【1.2.3GO!】の前にあるから、まさしく『0』です。

その歌詞は
【Everyday いつもいつまでも Sunnyday 一緒に歌おう
 今が最高のハーモニー】

前半は二番の歌詞と同じです。
【今が最高のハーモニー】はここにしか出て来ません

2章のMVの時に話しましたが、ここは五人がピースを合わせ、円陣をしているシーンです。
そこで

【いつもいつまでも】【一緒に歌おう】
なんて言っている物ですから、この歌詞は五人の誓いみたいなものなんでしょうね。

そして【今が最高のハーモニー】
3章でハーモニーは和声という意味であり、一人きりじゃ出来ないこと、なんて言いましたが。

ハーモニーには『調和』という意味もあります。
つまり、今がちょうどいい、という意味です。

【いつまでも】【一緒に歌おう】
だって、今がちょうどいいから。今という時をもっと楽しんでいたいから。
まさしく『晴れの日』【Sunnyday】です

そして、今が最高だよね、ちょうどいいよね、と互いに確かめ合って【1.2.3GO!】と曲が始まります。
アニメではこの【1.2.3GO!】からですよね。

そう、アニメではここからなのです。
そして、MVの0サビでは円陣するが描かれている。
このサビだけ唯一『転調していないサビ』=『力強く何かをぶつけて来ているのではなく、何かの下準備のようなサビ』

確かに、このサビは速度もゆっくりですし、音色も少ないですからね。

さて、私が何を言いたいのかお分かりいただけたでしょうか?

この4章の命題
『いつの円陣なのか』

これに対する答えを私は『EVERYDAY ! SUNNYDAY !を初披露する直前の円陣』としたいと思います。

え? 何? このMVで映ってる五人の手は白い手袋じゃなくて、腕に飾りがついてるから、この衣装はアセンブルハーモニー=準決勝じゃないって?

それは気にしない方向でいきましょう。
このアセンブルハーモニーの衣装が指しているのは『サニーピースというチームにおける円陣』という意味とも捉えられますし、MVの三番でもアセンブルハーモニーを着ているのですから。

というわけで、この円陣は『EVERYDAY ! SUNNYDAY !を初披露する前の円陣』です(断言)

本章のテーマ、覚えてますか?
本章はMVでも無く、歌詞でも無く『曲から読み解く』ものです。

けどまだ『転調』の話しかしてません。
それだけじゃないんですよ。読み解く要素。

というのも、0サビなのですが。
よく聴いてください。

後ろでドラムが鳴っているの、聞こえますか?

『ドンドンッ、ドンドンッ』と言った具合に。

私にはどうも、これが『心臓の鼓動』に聞こえます。
聞こえてしまったのなら仕方がない。もうそういうことにして考えてみましょう。

この心臓の鼓動の様なドラム、【今が最高の】『ここ』【ハーモニー】で消えています。
この0サビはEVERYDAY ! SUNNYDAY !初披露直前の円陣、という話をして来ましたから。

そこでさくらの心臓の音が止まった=麻奈の歌声、麻奈という支えとの別れ。
を指しているのではないでしょうか?

①【1.2.3GO!】=アニメでの披露より、も前に存在する。
② MVで円陣が描かれている。
③ 五人で今という喜びを『静かに』噛み締めているような歌詞。
④ 唯一『C#』のサビ。
⑤ 心臓の鼓動が途中で止まる=麻奈からの卒業を表している。

分かりますか?
1章から本4章までの考察、オールスターです。
今までこの記事で語った、この曲のありとあらゆる要素がこの説の根拠たり得るんですよ。

ぶっちゃけ、この考察記事はこれが書きたかったから書いたまであります。

曲から読み解く『いつの円陣なのか』というお話

これは『EVERYDAY ! SUNNYDAY !初披露直前の円陣』です。だと思われます。

そして最後に。

【MV】EVERYDAY ! SUNNYDAY !(動画名省略)より

後奏で円陣を終えたあとの、掲げたられた五つのピースが映り、曲の終わりと同時にそこにタイトルが表示されます。【EVERYDAY ! SUNNYDAY !】

『毎日が晴れの日』

余計なことは言いません。
ただ色々な困難を乗り越えた彼女たちの、生まれ変わった瞬間とも言えるその時に、彼女たちはこの言葉を残したのです。


ということで、章のタイトルに決着をつけ、楽曲名自体の話もちょびっとしたところで、4章も終わりたいと思います。

そして、これにて書きたかったこと全てを書きました。
最後に、総括に行きましょう

EVERYDAY ! SUNNYDAY ! より 川咲さくら

5.EVERYDAY ! SUNNYDAY !が名曲である理由


今日はEVERYDAY ! SUNNYDAY !という楽曲を、多角的視点から読み解いてきました。
結局『本当にいい曲だ』それ以外、筆者には言えません。

本当に色々な要因が、【そんなスペシャルが】【重なり合って】この曲はあると思うので、一概にこの曲が『名曲である理由』は言えないのですが。

一つ、結論を出すとするならばこうでしょう。

この『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』という楽曲は。
曲そのものが『サニーピース』であり、また曲そのものが『川咲さくら』である。

というのも、我々は日々『サニーピース』を感じ取っています。

サニピのダンスを見たり、メンバーのストーリーを見たり、メッセしたり、フォトを撮ったり、ホーム画面で愛でたりなど、あなたも日常的にしていますよね。

そんなふうに何気なくサニーピースというグループに触れれば触れるだけ、あなたの中の『サニーピースへの想い』は大きいものになっていき、それが大きくなれば大きくなるほど、この曲を聴いた時の感動も膨らみます。

東京編は完結しましたが、新シリーズがあることが発表されています。
また新しい彼女たちが見られるわけです。

新しい彼女たちに触れて、サニーピースへの想いを広げて、深めて。
そうして、この曲を聞けば、また新たな感動が生まれます。

この曲で歌っている通り。
きっと彼女たちはこの先どんな壁にぶつかろうとも、みんなで支えあって、時には誰かの背中を押して、時には誰かに助けてもらって、そんなふうに五人で、いつまでもとびっきりの笑顔で輝き続けてくれると思います。

【一人きりじゃ 叶えられない夢だってある】
一人一人は強くありません。
誰もが欠片のような儚い存在。

けれど彼女たちは出会えて、五人合わさって『太陽』として輝けています。

そんな『毎日が晴れの日』な彼女たちを、これからも見守っていきたいですね。

最初は自分達に向けていたこの曲は、今ではたくさんの人に喜びと感動を与えています。
それこそ太陽のように、満遍なく、平等に。


IDOLY PRIDEという作品に触れるあなたの、ファンとしての、マネージャーとして毎日が、晴れの日になりますように願います。
この記事を通して私がそれに少しでも助力できたのなら幸いです。

そして、これからのIDOLY PRIDEというコンテンツの発展と。
サニーピースというグループの躍進を願いつつ。

登場から一年以上が経過して尚、その輝きを増し続ける。

『EVERYDAY ! SUNNYDAY !』という楽曲に盛大な祝福を。


本日は長い長い解説に、お付き合いいただきありがとうございました。
IDOLY PRIDE好きの私と、IDOLY PRIDE好きのあなた。
またどこかで出会えることを願っております。

あ、そうそう。今お時間ありますか?
もし5分だけでもある、というのなら。
コチラどうぞ。

それでは、最後に最高の楽曲を送り付けたところで、失礼いたします。

またいつか

時にEVERYDAY ! SUNNYDAY !中毒者 『瑠璃(♂)』

(本文中の著作物引用について。
本文中では作品の研究として他者が著作権を有する創作物の一部を引用させていただいております。

『』内の引用セリフと『【MV】EVERYDAY! SUNNYDAY! / サニーピース 作詞:藤村鼓乃美、北川勝利 作曲・編曲:北川勝利【IDOLY PRIDE/アイプラ】』からの引用画像はProject IDOLY PRIDEに。

【】内の歌詞。Song for youの歌詞はPA-NON氏に。
また【】すぐ下に引用が明記されていない【】内の歌詞はEVERYDAY ! SUNNYDAY !からの引用であり、北川勝利氏に。

著作権は、上記のそれぞれの権利者に帰属します)

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