成功に導く、最強の引き寄せ力~【不器用リッチ 50の法則】③あぶらとり紙のその先に

~28歳で創業し、49歳で会社を売却、52歳でコロナ禍のなかロンドンで新たな挑戦をする女性起業家の行動〜

【まかないこすめ】を始める以前

金箔の副産物である“あぶらとり紙”しかなかった私は、乾いたスポンジをまだ絞り切るように知恵を出して、たくさんのあぶらとり紙のシリーズをつくっていきましたが、私にはもう一つ商品になる可能性のある素材があることに気づきました。

それは…、金沢の実家でたくさん目にしていた金箔そのもの。

私の実家の金箔屋では、過去に金閣寺の外壁に貼る金箔としても採用されたことがあるほどの信用がありました。

ただ私の実家の金箔屋がつくっていたのは
工芸品や仏具になるような材料としての金箔だけ。工芸品を自らつくるノウハウもなければ、自分で作る技術もありませんでした。

そこで考えたのは、金箔そのものを消費者に直接買っていただくこと。

一般の方にほとんど馴染みのない金箔をどうやって手に取っていただくか…。その当時の私は24時間金箔と消費者の接点を見つけることばかり考えていました。

そこで考えついた打開策は…、

お正月のお雑煮やおせち料理に使っていただくための使い切り用のほんの少しの金箔を500円未満で手軽に買っていただくアイデアでした。
一般の方々にとって金箔は高級でなかなか手に入らないし、手に入ったとしてもそんなに使い道がないと思っている方が多い。そこで私は、逆にほんの少ししか入ってなくても手が出しやすい価格帯で、ご自宅でのお祝いの料理が簡単に華やかになるのであれば、きっとニーズがあるのではないかと思ったのです。
 
けれども金箔を少ない量で販売することなら、他の金箔屋さんでもすぐにできます。他社ができないことを考えなければ大手にすぐに真似されます。

そこでさらに考えたのが、大手にはできなくて小さい工房だからこそできること。

それは金箔の取り扱いの難しさを逆に利用することでした。

金箔は10円玉が畳一畳分の大きさまで広がるぐらいの薄さ、1万分の1ミリです。そして金属のなかでももっとも柔らかいのです。手で触るとすぐに手にくっついて、それを取ろうとすると柔らかくて粉々になって消えていきます。塗り箸やスプーンでつまもうとしたら、今度は箸やスプーンにくっついて取れません。

だから、金箔に馴染みがない人が触ると、ほとんどの金箔がダメになって、使える量がほとんどなくなってしまうのです。

そんな扱いが難しい金箔を、

素人の方でも少しも無駄にすることなく、簡単に使える方法…。

小さい時、顆粒の薬をまとめて飲むときにオブラートに包んで飲んでいたことを思い出し、金箔が包み紙から透けて見え、かつ溶けない紙としてハトロン紙を採用し、金箔がつぶれないようなマチつきの小さな紙コップのような折り紙をつくりました。

今の時代、お薬もお菓子も個包装に入っていてもそれらはすべて機械でに作られています。

1回使い切り量の金箔を0.002㎎ずつ細かく分けて、それらひとつひとつを折り紙の紙コップ状のものをつくってその中に入れていく、そんな気が遠くなるような作業は他の企業はばかばかしくて手をださないだろうと考え、この細かな作業をすることに腹をくくって商品化することにしました。

その結果、販路は…。

年末年始の定番商品として、全国の高級スーパー、大手スーパーや酒屋さんに黒豆や栗きんとんなどと並んで導入されていき、ライバルが追随することなく、いまだに私たち1社のみの状態で毎年恒例の季節商品として生き続けています。

【不器用リッチ 50の法則】
③マイナスな条件を逆にプラスに活かして、他社ができないレベルまで徹底的にお客様のニーズに応えることで絶対的なチャンスが広がります。


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