人間式潜水

僕らは親の顔というものをしりません。心づいたときには海を回遊し、真珠がとても美味しいものだと知っていました。周りにいるのは全て友達でした。僕らの世代はむかし、言葉を持たなかったので...思考の醸造がされにくく、共有という概念が希薄でした。
人間の知識や、歴史の力を借りて考えるに、僕らにも親がいるのだと思うのです。仮説を立てたならば、あとは検証する。いわば人間式の潜水です。この仮説の支柱は親という個体を探すこと。もとい、出産している人(魚人)を探すことで、証明されます。僕の浅薄な潜水では事実すらも捻じ曲げて捉えてしまうかもしれません。しかし、見事に神秘を解明できた暁には、あなたに少し近づけるように思うのです。
これから十日間、久しぶりに故郷へ帰ります。友、そして未来の君たちへ。
この帰郷がかがやかしい凱旋となることを祈って。

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65/Manu.Kole

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