団子

「つまり?」
「彼らも僕たちも、大体は同じもので出来てるってこと。」
落ちた群青の宙を泳ぎながら、マヌとその友達はそういったような話をしていた。
「へー。そんなに水で出来てるのに、水の中では生きられないの。」
ぼこぼこと泡を吐きながら答える。
「水って言っても、彼らの中に流れてるのはこういう透明なものじゃなくて...。赤かったり、黄色だったりするんだ。」虚空を指す。
「透明じゃない水なんて、水じゃないよ。」振り返って言う。その視線の先に、動くものが見えた。
「僕も、よくわかんないけど。この水も、彼らの中に流れる水も...。見えなくなるぐらいまで分解したら、同じものらしいんだよ」
必死に説明しようとするマヌの先に、今度ははっきりと魚影が現れた。その動きと形を捉えると、瞳孔が細くなる。
「赤かったり、ねばねばしたりするのは、いろんなものが混じってるからなんだよ、でも」

水流が辺りを切った。

マヌの言葉が彼から離れる頃には、岩ぶちにいる友の周りに、鈍い赤色がけぶっていた。
もうこうなってはどんな音も、言葉も、彼にはとどかない。諦めたようすで、「...それだよ。赤いのは、血っていうんだ。」と小さくもらした。
返事はない。ただその赤だけが広がるばかりだった。

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