RiotForce 第2章:インセクト・ソルジャー

フィドールの次元転移魔法「エクスパルーション」によって遥か彼方に飛ばされたリルモとクレバルが目覚めた場所は、ノスウェイト山岳地帯のシム山地に位置するバグワム山の麓のあるアガルジ村だった。緑豊かな農村だが、村中では何人かの人々の失踪事件と山に急増している昆虫人間の噂で持ち切りになっていた。リルモとクレバルは村の事情を不審に思いながらも、グラインの安否を気遣いつつもひとまずレイニーラ王国へ帰る術を探し始める。だが、レイニーラ地方への道のりであるベリロ高地に通じる道が数日前の土砂崩れによって塞がれていた。途方に暮れたリルモ達は村長の元を訪れる。村長曰く、ベリロ高地への塞がれた道を復旧させたいところだが、村人の失踪事件とバグワム山に次々と発生した昆虫人間を何とかしてほしいとの事。村人の失踪は、バグワム山に住むイゼクという昆虫研究者が人間をベースとした昆虫人間の研究材料として次々と攫っていったのが原因だというのだ。突如、村の外から悲鳴が聞こえてくる。なんと、4体の昆虫人間が村の娘を攫おうとしているのだ。リルモ達が応戦しようとしたところ、突然一人の少年が剣を手に昆虫人間に斬りかかる。少年の名はアウロ。アガルジ村に住む子供達のリーダーであり、魔物達から村を守る戦士としての才能を持っている少年だった。だが4体相手では流石に分が悪く、昆虫人間の毒攻撃を受けて倒れるアウロ。リルモとクレバルの魔法によって昆虫人間を追い払う事に成功し、毒を受けたアウロは父親であり、村一番の戦士であるラルフの毒消し草によって間髪で助けられた。ひとまずラルフとアウロの家に招き入れられるリルモ達。ラルフによると、急増している昆虫人間はイゼクの手によって魔物に改造された人間の成れの果てだという。イゼクの非人道な行いに怒りを覚えたリルモは早々にイゼクの元へ向かおうとするが、無暗に突撃するのは却って危険だと言われ、ひとまずラルフの家で一晩を過ごす事になった。翌日、目を覚ますとリルモ達はアウロの姿が既になかった事に気付く。なんと、隙を見つけて家から抜け出したというのだ。アウロの事だから先走ってイゼクの元へ向かったに違いねぇと言うラルフ。リルモ達はラルフと共に、家から抜け出したアウロの後を追う。バグワム山は数多くの凶暴な昆虫の魔物と昆虫人間がウヨウヨと蠢いていた。リルモ達は昆虫の魔物を蹴散らしながらも山内を進んでいく。山の中腹地点では閑散とした集落があった。バグワム山の中間に位置するインセック集落――そこには人気のない、廃墟同然の集落と化していた。ラルフによると、もはやイゼクによって住人は皆攫われてしまったんだろう、と。その時リルモ達はある事に気付く。なんと、一人の男が倒れていたのだ。しかもまだ息がある。男によると、虫のような姿を持つ怪しい男に襲われ、攫われていたところを辛うじて逃げてきたとの事だ。更に血の跡がどこかへ通じている道標のように残されている。男は息を引き取り、リルモ達は血の跡を辿って山道を進んでいく。頂上となる場所には、怪しい研究施設が設けられていた。どうやら奴のアジトを発見したようだぜ、とラルフ。だが、アウロの姿は未だに見つけられていない。半ば嫌な予感がしつつも、研究施設内へ突入するリルモ達。施設内も多くの昆虫人間と魔物が生息しており、魔物を蹴散らしつつも奥へ進んでいくと、多くの人々が牢屋に閉じ込められているのを発見する。そう、攫われたアガルジ村の人々だったのだ。捕われた村人達を見て足を急がせ、施設の最深部へ突入する。その時リルモ達が見たものは、一人の不気味な男とボロボロに傷ついたアウロであった。そしてアウロと対峙している男は、昆虫研究者のイゼクであった。イゼクは様々な昆虫の研究に明け暮れるあまり昆虫の魅力に取りつかれ、実在する虫のみならず科学技術で複数の虫を交配や合成させて作ったオリジナルの昆虫の魔物を作り出していたのだ。そして更なる可能性を求めて旅立った途中で闇の魔術師の組織ジョーカーズと出会い、魔契約によって手に入れた闇の力で兵力となるような素材を条件に人間をベースとした昆虫人間を生み出していた。そして自らも昆虫人間へと改造し、妖虫学士イゼクと名乗る魔物と化していたのだ。イゼクの姿が醜い昆虫人間へと変化し、リルモ達に襲い掛かる。触手と粘液、毒液による攻撃を繰り出すイゼクだが、リルモとクレバル、そしてラルフの斧による連携によって倒される。だが、イゼクは奥の手を残していた。なんと、秘密兵器として多くの昆虫と人間を犠牲にして作ったというハエをモチーフとした魔物・魔虫王ベゼルブを差し出してきたのだ!だがベゼルブは極めて凶暴な魔物となっており、生みの親であるイゼクに襲い掛かり、そして殺し、その死骸を食らい尽くしてしまった。凶悪な昆虫ベゼルブに挑むリルモ達だが、ベゼルブの毒霧に苦戦を強いられるばかり。瀕死のアウロにベゼルブの牙が襲い掛かるが、寸でのところで庇ったラルフの右肩に深く食い込んだ。更に牙には猛毒が塗られており、重傷と共に猛毒に襲われるラルフ。リルモは大いなる雷の魔力を結集させ、クレバルの大地の魔法との連携でベゼルブに渾身の雷魔法を打ち込み、辛くも撃破した。だが、ラルフは既に絶命していた……。イゼクの脅威は去り、村ではラルフの葬儀が行われた。アウロは自らの無鉄砲さと浅はかさが結果的に父を死なせてしまったと自責に駆られ、自暴自棄になるばかりだったがリルモの叱咤によって我に返り、せめて何かの役に立てればと土砂崩れの復旧作業に全力を尽くす事を決意した。同時に解放された村人達も復旧作業に協力し、そしてリルモ達も力を貸し始めた。すると僅か半日で土砂崩れで塞がれていた道は復旧し、リルモ達はアウロを始めとする村人に見送られながらも旅立って行った。

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