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Vo.1 差別化の成功とはなにか?

昨日新国立美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 愛を描く」に行ってきました。GW初日の土曜日だったのでおびただしい数の人がいたのですが、流石に時間枠の定員を設けており、割と落ち着いて回れました。

さて今回のテーマは「差別化の成功とはなにか?」という点です。

差別化をしろ、競合他社と同じではならん!と叫ばれることは多いのですが、実際にどんなことをすれば差別化ができるのでしょうか?また差別化をした時にどんな良いことがあるのでしょうか?

というのも昨日美術館でこれはうまい具合に差別化できているなぁと感じた作品があったので、その例を取り上げるべく今日のテーマに選びました。

ルーヴル美術館展は入ると、第1章から第4章まで順番に回っていくことになります。ちゃんと順番に進むようになっているので、第2章からみるなどはできません。順番に回っていくとアモルという愛の天使を中心に描かれた絵をたくさんみることになります。

中世ヨーロッパの絵なので皆さんが想像するような絵です。

こんな絵とか。

こんな絵とか

こんな絵が並んでいます。天使がでてきたり、欲情している男女が出てきたりです。展示されている絵は以下のサイトでみることができるのでぜひみてみてください。説明も記載されているので、割と面白いです。

こうしてみると絵の特徴は以下の2つのような点がありました。

  • 描かれている対象が非現実的だが、絵のテイストは具体的

  • 描かれている対象は現実的だが、絵のテイストは抽象的

天使や神様など非現実的な絵が出てくる際には絵のテイストはかなり具体的です。表情や体の筋肉、周辺の自然まで細部が細かく描かれています。

一方で描かれている対象が、男女の様子や様式の中など具体的な時には絵のテイストは抽象的になっています。そんな2つの特徴を持った絵が最初から多く飾られています。

そんな時に歩いて進んでいると、中盤にかなりの人だかりができている絵がありました。基本的に館内は混んではいるのですが、一つの絵に人だかりはできていません。しかしその絵の前には説明文が見えないくらいに、人が集まっていました。

その絵とは以下の絵です。

イタリアの婚姻契約というタイトルの絵です。

これなんです。差別化。

この「婚姻契約」は一目見たらわかるように、かなり現実的な事象を描いていますよね。裸の男女は出てきませんし、天使も神様も出てきません。描かれているのは婚姻契約をしている男女とその事務手続きを行う人々のみ。まぎれもなく現実的な事象です。

にもかかわらず、絵のテイストはかなり具体的。ぼんやりとしたリンクはありませんし、柔らかい線美もありません。男性が履いている靴なんて見てください。ほとんど写真ではないかと思うほど、具体的です。

お伝えした通りこの絵の前にはかなりの人がいました。そしてこの絵の後にはまた元通り、さっきまでの2つのジャンルに当てはまる絵が描かれておりました。

今回のテーマ「差別化の成功」に則して言えば、この婚姻契約は意図してか、意図せずか展示会の中で圧倒的な差別化がされていました。基本的に2ジャンルに分けられた作品群の中で、異質な絵だったといえるのでしょう。

ではこの絵から読み解く、差別化とはなんなのか?という点を深掘りましょう。差別化して成功する要因としては2つあると思います。

  • 差別化できる市場を選ぶ

  • 差別化後の高いクオリティ

それぞれ見ていきましょう。

差別化できる市場を選ぶ

そもそも差別化とは「その周りにあるモノやヒトと比較をして特異な要素がある様子」です。この「比較をして」という点が大切です。先ほどの絵は2ジャンルの絵が並ぶ展示場の中で、2ジャンルにハマらないという特異な要素を持っていたため差別化に成功したわけです。他の絵と比較をされているわけです。

これがたとえば全ての絵が「現実的な事象×具体的なテイスト」の絵に囲まれた展示場だったらどうでしょう?それほど関心をえないはずです。目に留まらないこともあったかもしれません。しかしこの絵は「ルーヴル美術館展 愛を描く」という市場においては、類似した作品がなかったため、差別化を図ることができたのです。

つまり周りと比較をして、特異性がある市場を選んだという点が、まず一つ目の成功要因です。

これをパン屋で置き換えてみましょう。

パン屋にはパンが並んでいます。当たり前ですね。カレーパン、メロンパン、クロワッサンなどなど。どこもかしこもパンだらけです。

パン屋にはパンが売っている。

しかし仮にこの中に一つだけ、おにぎりが売っていたらどうでしょうか?パンの中に、おにぎりです。かなり異質でしょう。

え?なんでパン屋なのにおにぎりが売っているの?誰かが間違いで置いていったのかな?などなどきっとお客さんの頭の中は?マークで埋め尽くされるはずです。おにぎり自体の販売はきっとおにぎり屋で行うよりも販売数は伸びるはずです。

これも差別化です。パン屋という圧倒的にパンが市民権を握る市場において、おにぎりという真逆の要素が存在すること。

つまり差別化は市場の選択から始まります。何も差別化した商品を作る必要はないですし、無理にプロモーションをしなくても良いわけです。市場を選択する時点で、差別化は行えます。

明日に続きます。

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