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dhrmaの“ビートメーカーとJ Dilla”

Table Beats Rec.がお送りするDilla Month企画“ビートメーカーとJ Dilla”
日本のビートメーカーにJ Dillaの魅力や影響を受けた部分などをアンケート形式でお答え頂きます。
第九弾は“dhrma”の登場です。


【自己紹介をお願い致します。】

dhrmaです。普段あまり喋らない分この機会に個人的見解をつらつらと。


【あなたが一番好きなDillaのアルバムは何ですか?】

「Dillatronic / J Dilla」

【このアルバムの好きポイントはどこ?】

『彼の地元デトロイトのテクノ、エレクトロニックシーンからインスピレーションを受け、その側面にフォーカスした楽曲がコンパイルされたビート集』という謳い文句の通りです。Slum Village "Raise it up"やPhat Kat "Cold Steel"のビートのようにエレクトロニックヒップホップの先駆けのようなビートは既にプロデュースワークを主にリリースされていましたが作品単位でこの音使いとなるとDillatronicかなということで選出しました。僕自身も遊びに行くクラブで流れるテクノ、エレクトロや様々なダンスミュージックに影響を受け、自分の作るビートにその解釈を注ぎ込もうとした時に改めて聴き直しディラの凄みに気付かされたビート集でした。未だに通して聴きます。また音のミキシング、バランスも好きなポイントです。Dillatronicは多々あるDillaビートの中でも立体感がより強調されている曲が多く、好みのバランスでした。(Dillaのミキシングには多大な影響を受けたので、下記別問にて回答しています。)エレクトロの電子音とサンプリングされた生音。デジタルとアナログ。僕はどうしても相反するものとして考えてしまうんですが。それらがディラ節でミニマルに纏め上げられている。自分の今のスタイルに大きな影響を与えてくれたビート集です。

※補足DillatronicはDilla自身がアルバムとして制作したものではなく彼の死後の未発表音源集の一つであるといった点がこれまでも賛否あるように、自分のベストアルバムという形で選出したものの彼本人の意向の外からリリースされたビート集には正直僕も作り手側の端くれとして素直に頷けない部分もあったりなかったり。彼の曲を新しく聴けること自体は素直に嬉しいのですが。。このお話はまた機会があれば!


【ビートメーカー目線で1番ヤバいと思うDillaのビートは?】

「Jungle love(feat. MED&Guilty Simpson) / J Dilla」

【このビートの何がヤバいですか?】

ドラムの鳴りとそれを生かすように極限まで引かれた音数です。クリップ気味な質感が強烈な印象を持たせつつも、ドラムごとのアタック自体は丸いのでしんどくならないというか、初めて聴いた時衝撃を受けた一曲です。それまでDillaのドラムはシャープな印象だったのでここまで大ぶりなブレイク使いは異質だなと思っていたところ、Kareem Rigginsが叩いたものを構築しているとのことで、それまでドラムキットを中心に1人で制作していた僕にはそれも含め新鮮でした。最近は僕もドラムブレイクのレコードを買ったりしてそこから自分用にEQかけたものを使ったりと往来のビートメイカーの手法をなぞったりもしているのですが、Jungle Loveを聴いてからその意識が芽生えたかもしれません。


【リスナー目線で1番好きなDilla関連の曲は何ですか?】

「Circus / Jay Dee」

【その曲のどこが好きですか?】

メロディーがめちゃくちゃ好きです。雪に合いそう。


【あなたがDillaのビートから影響を受けた部分はどんなところですか?】

Dillaグルーヴの代名詞としてはドラムのヨレかと思うんですが、自分は音のミキシングバランスに影響を受けました。僕がビートミュージックというものを認識したころにはLow End Theroyの熱狂もひとしお、クオンタイズを外すDillaスピリットは当時のビートシーンを中心に受け継がれている真っ最中だったと思います。僕はDilla含めそれらを聴いて制作に足を進めた一人だったので、大げさな言い方をすると"ヨレたビート"は最早自分の中ではスタンダードになっていました。なのでヨレたビートの影響ということであればDillaに限った話ではなくよりその部分にフォーカスして受け継いだ1つ次の世代のアーティストからの影響も大きいかもしれません。リズムのヨレはもちろん、音の強弱もグルーヴの大切な柱だと頭では理解しているんですが、体感を伴った強い認識は改めてDillaのビートを聴き込んだ先にありました。大きく押し出されているドラムや短いベースと凄く特徴的な音使いであるにも関わらずしっかり纏まって聴こえる気持ちよさ、その音の絶妙なバランスの取り方が上記のヨレをより心地良いものにしているなと感じます。そのバランスこそ僕が最も影響を受け続けている部分です。(サンプルチョップが中心のDonutsは環境と状況もあると思いますが、上記を踏まえた上でミニマルなDillaビートのネクストと言って然るべき傑作だなとも思っています。)


【あなたが作ったビートでDillaの影響が強いなと思うものを一つ。】


「GFTU[RSRV] / dhrma」


【この曲のどのあたりにDillaの影響が出てますか?】

自分のビート、年々無機的になっているなと感じているのですが更にそこにテクノ等ダンスミュージックのインスピレーションもあったりと、最近は整頓された音にも自分なりに新鮮さを感じています。それらが大きく出たのはこの曲かなと。ほぼ全ての音にクオンタイズをかけ、その上でのグルーヴの表現。上記の強弱やサイドチェインの浮き沈みを強めにかけてできる隙間など"ドラムの前後ではない所で何がグルーヴとなるか"を楽しみながら作った曲なんですが、これは逆説的にDillaを意識していることになっているかも。。とアンケートに答えている内に思い浮かんだのでシェアさせていただきます。ぜひご一聴ください。


【Dillaにまつわるエピソードでお気に入りを教えてください。】

エリカ・バドゥがDillaのスタジオに遊びに行った時、冷蔵庫を開けると無茶苦茶綺麗にコーラだけ並べられてあった話。

そこはクオンタイズドなんかい、と思いました。

dhrma
無機質と有機質のコントラストをテーマに掲げ
常に実験的でありながらも唯一無二の音像を構築している兵庫県加古川市出身のビートメイカー。
これまでのリリース数は膨大でbandcampにて自主作品の定期的なデジタルリリースや、エクスペリメンタルソウルバンド-WONKを擁するレーベルEPISTROPHから配信リリース等数多くのビートコレクションを世に放っている。
2022年にDJ Ch.0(チョー)主宰レーベルOnda Bubbles(オンダバブルス)より
自身初となる12inch EPをリリースした。https://ondabubbles.com

Twitter : https://twitter.com/d_h_r_m_a
Instagram : https://www.instagram.com/dhrm_a/
Bandcamp : https://dhrma.bandcamp.com/

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