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晩夏の待ち人

 アイドルを好きでいると「結局一番は誰なの?」という冷静に考えればあまり聞かれない類の質問をされることがある。
 この一番というのがなかなか厄介だ。
 私の今の担当は小瀧くんで、そろそろ完全に担降りして半年、半かけもちみたいなときからだと一年経つ。その間ずっと小瀧くんのことが大好きだけれど、ちょうどいい加減の好きを保ているなという感覚があった。好きの熱量に振り回されることがあまりなく、時折ぎゃー!!!!となりながらもフラットにずーっと大好きだった。安心感のある好きで、WESTを担当としているとなんだかものすごく楽だ。大変ありがたいことである。
 だけど「小瀧くんが一番好きか」といわれるとまたちょっと違う気がする。
 もし現場がかぶれば間違いなく誰を差し置いても小瀧くんの現場を優先するだろうと思うので優先度という意味では一番かもしれない。
 でも他のグループの現場にいるときまで「一番」かといわれるとそれはちょっと違う。
 他のグループの現場にいるとき、とりあえず小瀧くんとWESTへの好きは一旦預かりスペースに預けているような感覚。そして終わったらそこでえた好きをまた別の箱に預けて、預けた小瀧くんとWESTへの好きを元に戻す。そんなイメージである。
 そうしなければなんとなく全力でパフォーマンスをしている相手に失礼かなと思うから私にとっての礼儀のようなものだ。
 だからその現場では「誰が一番?」と聞かれたら目の前にいるグループの中で好きな子を答えてしまうかもしれない。そう答えたとしても「担当」というくくりのWESTへの好きは揺らがない。担降りして半年の身でいうのもなんだが、小瀧くんとWESTはおおよそ実家感覚になりつつある。今まではずっとかけていた「今は好きだけど」の保険をかけなくて良くなった。そりゃもしかしたら優先度が一番じゃなくなることはあるかもしれないけど、それでも今と同じように元気に騒いでカッコつけて、結局はしゃいでなWESTをみてホッとする自分は絶対いる。そこがぶれない自信があるから今年はわりとほいほいといろんな現場へ行った。そのきっかけは間違いなくWESTへの好きだ。
 ありがとう、小瀧くんとWEST。これからもよろしくね。

 さてここまでが前提のおはなし。

 今年初めてジュニア情報局に登録をした。きっかけは前にも書いたような気がするが、安井さんとLove-tuneだった。彼らの強くてエモーショナルな世界観が好きで彼らなりの覇道をいくところを見たいなと思って登録した。好きなタレントの名前は当然安井さんを書いた。
 わたしのきっかけはそうだったが、Jrチャンネルはなんだかんだ全グループ見ていた。ただ前々から「絶対北斗くん好きだよ」といわれてたこともあり、「はまったらやばい」と思ってSixTONESだけはものすごいうっすら見ていた。謎の危機管理能力。
 それがなんのきっかけだったか忘れたが、ふと同じように薄目で見ていたジャニーズwebのS SixTONESの連載をザーッと読んだときがあって、そこで「あ、ものすごく好きかもしれない」と思った人がいた。京本大我くんである。
 詳しくはジャニウェブの4/28の京本くんの記事を読んでほしいのだけれど「俺の場合、どれだけ下積みをしても十分に助走をとれたと確信できることは決してないけど」という言葉がものすごくわたしの中の琴線にぐわんぐわん触れた。この人絶対わたしが好きなアイドルだ。そんなぼんやりした確信とともに「やだ絶対近寄らんどこ…」というこれ以上散財先を増やしたくないという低所得OL然とした感想を持った。あとメンカラピンクを好きになりすぎて「またかよ!!!」って思ったのもある。呪いは深い。
 そんな京本くんを好きだというのに認めたくない、謎の抵抗の終わりはサマパラだった。
 どのグループでもとりあえず満遍なく見る主義なので現場にいた時は間違いなくそのつもりだったのだけれど、いざ公演が終わって振り返ればまぁー見事に京本くんしか見てない。びっくりした。こんなことある!?レベルで京本くんをものすごい見てた。同じ現象を起きた人を知ってる。WESTival横アリ公演の小瀧くんである。
 歌が上手いのは知っていたけど思っているよりもずっとずっとうまかったし、ソロであるミセテクレの破壊力たるやすごかった。ああ、照明の下で軽やかに生きてほしい人だと思った。でもそれ以上に目に残っているのは樹くんと向かい合わせになった時に樹くんに何か言われて楽しそうに笑っているときの顔だった。あ、こんな顔して笑うんだ。ものすごくかわいい人だ。
 さすがにこれは認めざるをえないので謎の京本くんへの抵抗期間は終わりを迎えた。とはいえ、終わっただけで特に何も変わりはなかった。つぎSixTONESの現場に入るなら京本くんのうちわ持つんだろうな〜とぼんやりした確信があっただけだった。
 大きな転機はまた別にある。Jrチャンネルにあげられたサマパラのドキュメント動画である。そうだった、こんなのだったと思い返しながらみているうちに「SixTONESのことちゃんと箱でおしたいな」と今までになかった思いが掠めた。私は箱推しでないと推せない人間で、グループに一人すごく好きな人がいても「好きだな〜」で終わってしまう。なんだかそれで終わりたくない。ちょうど直前にきょもじゅりかわいいレポをみて「コンビならこの二人かな」とコンビ厨然としたことを思ったことも関係あるかもしれない。
 そんなぼんやりした思いとともに向かったのが少年たちだった。去年のダイジェストを見て「やばい、これはトンチキなのでは」と不安に思いながら見に行った。
 内容は多分これ今まで見てれば楽しかっただろうな(実際そのあとえびと関ジュの2012年の少年たちをみたが、そっちを見てからだとなんとなく理解できるところもあった)というものでそこそこに楽しんだ。余談だけど樹くんと渡辺くんのメクルメクに普通に卒倒した。誰だよこの二人にこれ選曲したの!と思ったら本人でまた卒倒した。強い。
 一幕が終わり休憩になってまず持った感想は「ああ、すのもすともそれぞれいいグループだなぁ」だなぁということと、もう一つ、「これ純粋にすとのオタクとしてきたらもっと楽しめたかな」「そもそも出会う順番がもし逆で、すとを先に好きになってたらもっとこの夏楽しかったかな」
 そう思った瞬間、ふつうに自分の頰をひっぱたきたくなった。選んだのは自分である以上、自分の好きだけは自分で責任を取らなくてはならない。後悔だけはしないが信条だったのに、それがどうだ。ものすごく勝手に安井さんに申し訳なくなった。
 
 この夏、ずっと悔しかった。ど新参で担当は別に置く私ですら悔しかったのだから昔から知ってる人、担当の人はもっとだろう。だからなんとなく悔しいも悲しいもちょっと出して終わった。zepp単独も横アリ単独も知らない私が言えたもんじゃない。でもそれでも強くて強いLove- tuneが勝手に否定されている気がして、かわいそうと思われるのすら癪だった。事実はなにもわからないのに事実のように語られる推測ですら腹正しかった。えびの55コンやはしパラを見て「平成最後の夏、あの子達ならどうしたかな」と想像をした。思いっきりフェスっぽくしたかな、それともがっつりアイドルらしくしたかな。どっちでも似合うよ。
 なにもわからない中でも安井さんはらじらーでできる限りメンバーの名前を出してくれた。ニート3の公開も決まった。でもじゃあ秋が終わって冬になって、その先は?わからないのはどのジュニアも同じだけれどこんなにわからないことなんて、メールが来るたびに胃の底が冷えるような思いをするなんて、私の方が冬まで耐えきれない。私の胃は他の人より随分と弱い。
 さよならを言う場は設けてくれないのは知ってる。それはデビューしてるグループでも同じだ。ジャニーズにとってのコンサートはあくまで「夢」であってさよならという現実の場ではないから、「頑張れ」をいう場であって「じゃあね」を言う場ではないから。
 でもせめて教えてほしい。「どうして」も「なんで」も挟んだままじゃ、きちんと京本くんのこともSixTONESのことも好きになれない。私はどうしたって安井さんとLove- tuneのことが大事だから。ジュニアという場所に手を引っ張ってくれたのはこの人たちなのだから。吹けば飛ぶようなジュニアでも、私にとっては楽しみを増やしてくれた恩人だ。

 ジュニア情報局の好きなタレント欄は一つしかない。名義を増やせば別だけれどその予定は少なくとも今はない。
 安井さんの名前を書いてあるそこに京本くんの名前を書きたくなる日がくるのだろうか。いや書きたいか書きたくないかでいえば今だって書きたいけど安井さんの名前を変えてしまう勇気は今はまだあんまりでない。変えてしまえば諦めてしまうような気がする。もはや意地である。
 決定打がほしい。安井さんの名前を書き続ける決意をする決定打か、あるいは京本くんの名前を書く決定打か、どっちでもいい。担降りの時も思った。わたしの悩みを飛び越して思い切り蹴飛ばしてくれるような決定打がほしい。

 できればそれが悲しいものでなければいいし、できればジュニアという船に乗っている子たちがみんな、望む方向へ向かってほしい。きっとあのギラつくような照明の下で笑える人はどこへでもいけてしまうのだろうし、その足を止める権利は誰にもない。それでもどうかステージに立ち続ける幸福がすべての苦労を洗い流せるうちは照明の下で笑って居てほしい。ほしいほしいばかりで申し訳なくなるが、ファンにできることなんてしかるべき場所に意見を伝えてお金を払って、あとは慎ましく生きる。それだけだ。
 
 話が逸れた。
 別に一番を決める必要はないし、好きを天秤にかける必要もない。安井さんへの好きと京本くんへの好きは形が全く違う。でも、ただ、小瀧くんへ向けるような「担ぎたい」という感覚に近いのは京本くんかもしれない。これは私の感覚だけれど、デビュー組を見るときとJrをみるときは何となく感覚が違う。なんというかアカウントが違う。流れる情報も感情も全く違う。だからこそ私はJrの世界の自分の看板をきっちり決めてしまいたいのだろう。なんとも面倒な性分だ。

 まぁこんなに考えてこじらせることじゃないんだけどね!うるせーよ、ばか!って一蹴してくれ。

BGM
ハローハローハロー/クラムボン 
 

 
 
 
 
 
 

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