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ななつ星in九州の旅

2013年の秋にJR九州が「ななつ星in九州」という豪華列車を発表した。当時の新聞やテレビで話題となり、あっという間に抽選でも乗車チケットが買えないほどの人気となった。
列車完成の数年前、弊社でチャーターしていたスペインの豪華列車「エルトランス・カンタブリコ」のツアーに「ななつ星プロジェクトチーム」の面々が乗車していた。スペインの列車は車内で食事をするだけでなく、停車駅の町のレストランでも食事をするという地域貢献もプログラムされていた。ななつ星では車内に連泊せず、中間に一泊地元の宿に宿泊して食事だけでなく温泉や宿泊を楽しむプログラムを入れている。記者発表後に当時の唐池社長が来社され「グローバルには好きな日にななつ星をチャーターしてもらって結構ですよ。」とご提案いただいた。最初のチャーターは開通の1ヶ月後の11月にヴァイオリニスト天満敦子さんのツアーで実施した。乗客には宿泊する「天空の森」でのコンサートや車内での演奏をお楽しみいただいた。

由布院に停車する列車

「ななつ星in九州」は2023年で10周年を迎えた。人気 は少しも衰えず、23回目となる今年の当社のチャーターも満席でリピート参加する方もいる。
ななつ星は米コンデナスト・トラベラーのリーダーズ・チョイス・ アワードで21年・22年と連続1位を獲得し、いまでは世界中からも注目される。 私は仕事柄、欧州のオリエント急行やアフリカ のブルートレイン、 豪 州のザ・ ガンやカナダの VIA 鉄道など、これまでさまざまな国の列車に 乗車する機会があった。それぞれ特徴があり素晴らしいが、ななつ星が決定的に優る点がある。ソフトの部分、つまりサービスの品質だ。 もちろんハードの部分は水戸岡鋭治氏のデザ ンや職人技による内装など、こだわり抜いた空間は圧巻である。車内で提供される食事も地元九州が誇る名店の匠による妥協のない料理の満足度は高い。しかし私が一番感動したのはクルーの仕事ぶりだった。夕食前のスタッフのブリーフィングでは、提供されるディナーメニューの食材と産 地情報、調理方法が説明され、お薦めのワインと銘柄、特徴までが情報共有され、各自がメモ を取りながら頭に叩き込んでいた。 その1時間後にはテーブルに着席しているお客 さまを回り、笑顔でサービスしている。食後、 停車している駅に降りてみると、同じスタッフが 車掌の制服に着替えて車両連結部の確認作業を行ったり、何人かは車両を磨いていた。そのは つらつとした姿が目に焼き付いている。サービス の質は人材による。このようなマルチタスクができる人材がクルーとして活躍している列車は日本以外にはないのではないかと思う。

湯布院を走る


線路を眺めるラウンジ









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