実録!同人初心者の第1回静岡文学マルシェ参加記録

はじめに
これは、昨年開催された第一回静岡文学マルシェで念願のサークル出展を果たしたものの、私生活が忙しすぎたために一年近く間を開けて書く羽目になってしまった参加体験記である。(今ちょうど第2回の申し込み受付が開始しているので、ある意味丁度良いかもしれない。)
ちなみにレポと言いつつ同人活動めっちゃ楽しかった!というアピールと、ドドド初心者でも同人活動できるよというアピールをするだけの文章なので長くて読みづらいです。語彙力低め。ごめんね。

0.参加のきっかけ
発端は2016年10月中旬。静岡文学マルシェなるイベントが開催するらしいとの噂を耳にし、「そもそも同人誌っていくらで作れるんだろう」と試算をしてみたのがきっかけだった。

カシャカシャチーン
あれ……この値段なら手が出るぞ……

 軽い気持ちで印刷代を計算してみた私だったが、現実的な金額にぐらっと心が揺れた。
 十数年前から同人活動に関して淡い憧れを抱いていたものの、地元のイベントは二次創作が圧倒的優位であり、同好会やサークルに所属していない私にとっては、まだまだ未知の世界だった「オフライン活動」がぐっと現実味を帯びた瞬間だった。
 ちょうど個人サイトで書いていた作品を本にしてみたいなあ、と考えていたし、Twitterのフォロワーさんや友人の声もあり、とりあえず思い出作りに参加してみよう!イェーイ!と勢いで参加申し込みをした。
この時点の私は、地元のイベントに数回一般参加した程度、売り子やサークル参加など全くやったことのない状態。正真正銘の初同人誌チャレンジ、初サークル参加チャレンジが始まった瞬間だった。

1.同人誌、作るってよ
 私が参加申し込みしたのは「第1回静岡文学マルシェ」
 静岡では初めての開催となる、創作系文学イベントである。直接出展36サークル、委託出展60アイテムと小規模なところも、参加を決めた要因の一つだ。
 
 サークル参加となれば、まず作品作り。
 とはいえ、いつもは細々と個人サイトに作品をあげるだけなので、いざ「本」を作るとなると悩むことは多かった。部数、ページ数、体裁、デザイン……四苦八苦しながらもPDF・RGB入稿が可能で、原稿制作のお助けページがある印刷所さんを見つけていたし、何よりTwitterという集合知に助けられた。ありがとうインターネット、ありがとうWord。
 部数は友人と相談しつつとりあえず20部に決定。表紙デザインも結構悩んだが、フリー素材のおかげで良いものを作れた。入稿の際、大きなトラブルもなく、多少〆切りはきつかったものの、無事オンデマンド本が2冊完成した。
 会場搬入ではなく、とりあえず家(実家)を配送先にしたので、箱を開けた瞬間がとても嬉しかったのを覚えている。自分の書いたものが本になっているというのはすごく感動するんだなあ、と思った。
 家族には同人活動はおろか小説を書いていることすら黙っていたが、意外と何とかなった。届いた荷物(同人誌)について詮索されたらどうしよう……と勝手に思い込んで、言い訳を100通りくらい用意していたが、ちょっと肩すかしを食らった気分でもあった。
 2冊もオンデマンド本ができて浮かれた私はコピー本も作り、無配のあとがき的なもの、ポスター、お品書き、名刺、フリーカットしおりまで作ってしまった。これで心配していたスペースの隙間もかなり埋まったんじゃ……?とほくそ笑みながら、ついに当日を迎えた。

2.いざ当日!~楽しいおいしい静マル~
 そして迎えた2017年2月12日。寒さに震え、搬入する荷物の重さに震え、売り子を頼んだ友人・Y(人生初売り子・初同人イベント参加)と共に会場へ到着(ちなみに家族にはフリマに行くと言い張って出てきた。似たようなもんだし……)。

 あたふたしながら受付をし、あたふたしながら見本誌を準備し、あたふたしながら設営を行った。周りのサークルさんが手際よく準備されるなか、もたつく初心者二人。レイアウトの正解ってなに?と焦りつつなんとか完了。
 挨拶する際にお菓子を沢山いただいてしまい、めちゃくちゃ焦る。そう、こちらは何も用意していなかったのである……申し訳なさにしょぼくれながらも、ついに静岡文学マルシェが始まった。

▲ちなみにこれが設営完了時の写真。レイアウト何とかならないのか。
 恐ろしいことに静マルの写真はこれしか撮ってない。何故……

 用意したのはオンデマンド本2種×20部(サイトにあった連作短編の加筆修正版と和風幻想連作短編)、コピー本1種×12部(ジャンル雑多な短編集)、それらのミニ解説のような無配、フリーカットしおり(自作イラスト)。
会場に響く開催のあいさつに感動しつつ、期待半分、不安半分でどきどきしながら友人・Yと二人で座っていた。Twitterで告知はしたものの、個人サイト以外に活動は行っていないし、肝心の同人誌の表紙は華やかなイラストを使っているものでもない。レトロが好きなので、本の中身もポスターもその要素を前面に押し出したが、もしかして地味?と不安になっていた。来てくれる他の友人以外には一冊も売れないかも、と思ってしまったが、口には出せなかった。

開始後しばらくして一般参加者の姿も増え、ポスターやお品書きを見て足を止めてくれる人も現れた。「見ても良いですか?」と見本誌を手にとってもらった時は嬉しさが頂点に達した。そして見本を手にした方が、ついに運命の一言を発した。

「これ、一冊いただけますか」

 売れた!売れたよ!!!!
 この時の感動は人生トップ3に食い込む。あまりに嬉しすぎて、「ア……人生で初めての同人誌で……買って下さってありがとうございます……フヒュ」とめっちゃ不審者になってしまった。あのときのお姉さんすみません……。
 これを皮切りに、ぽつぽつと本が売れ出した。全力で作った昭和レトロポスターが功を奏し、お褒めの言葉も沢山いただいてしまった。和綴じ本風に作った表紙も評判が良かった。良いものは良いと言ってもらえるというのも、イベントの魅力であると感じた。
 あと何故か、(隣の友人と)お二人で活動されてるんですか?と聞かれることが多く、それに対して「創作は一人ぼっちでやってます」と返すのが何か恥ずかしかった……。初の文学系イベントということで、普段同人に触れない人や取材の方が来ていたのか、創作活動について聞かれることが多く、照れながら回答した。貴重な体験だったと思います。

 落ち着いたところで友人と交代で会場を回ることに。一人で自分のブースに居る間若干淋しかったので、売り子頼んでよかったなあと実感した。その後も、静マルの目玉であるスノドカフェのマフィンを食べたり(美味しすぎて2個も食べたのに写真がない)、遠方から友人2名が買いに来てくれたり、フォロワーさんとお会いできたり、後輩と遭遇して同人バレしたり、色々あったがぽつぽつと本は売れ続けた。

 そうしてまったりとした空気の中、第一回静岡文学マルシェは幕を閉じた。
 〆の挨拶では、感謝の気持ちをこめて拍手した。私に同人誌を出すきっかけを与えてくれてありがとう、こんなに楽しいイベントを準備してくれてありがとう、と思いながら。

3.参加を終えて~反省的な何か~
 おかげさまで、人生初同人誌製作・人生初サークル参加を果たした第1回静岡文学マルシェを幸福のうちに終えることができた。家に帰って部数を確認してみた結果、どれも10部以上出ていたのが衝撃だった。ビギナーズラックかもしれない。ともかく買ってくれた人、本当にありがとうございました。
 一般参加したことのある静コミと比べるとアットホームで、雰囲気が優しく、参加している人の年齢が幅広い。事前にメディアに情報が出ていたこともあって、とりあえず来てみたよ、という人もいてとても良かった。
 あと外せないのは、スノドカフェブース。会場の近くにあるカフェが出張しているのだが、これがめちゃくちゃ美味しい。美味しすぎて別件で近くに行った時にもマフィン買いに行った。
だが、初参加ゆえに色々と反省点もあるので、今後のためにも列挙してみる。

・誤字チェックはちゃんとする
 後々になって、1冊がめちゃくちゃ誤字だらけなことに気付いて悶絶した(突発的に作ったものだったので、校正が甘かった)。もう開き直ってしまったけど、買ってくれた人に申し訳ないなあと思ってしまうので、本気で気をつけます。

・少部数でも会場搬入の方が楽
 これは真理。今回は一番確実な直接搬入にしたが、少部数(100p前後×20部×2種とその他諸々)でも肩がもげるかと思ったので、今度は会場搬入にしたい。というか、キャリーバッグとか用意した方がいい。

・ご挨拶のときにお菓子があると焦らない
 隣接するサークルの方にご挨拶をしたときに、お菓子を沢山いただいてしまい、恐縮しっぱなしだった。長らくぼっちでやってるとこういうところに気が使えなくなるんだな……と反省。サークル紹介の名刺を同封している方もいたので、そういう意味でも良いと思った。

・レイアウトはちゃんとシミュレーションする
 一応事前にやったつもりだったけど、いざ設置してみるとあれ……?って感じになるので、サイズも考慮しつつ配置を考えておいた方が良い。初参加だと色々焦ってばたばたするので、そういう意味でも準備は大事だなと思い知った。

おわりに
 私生活に追われながらこの体験記を書いている。そして、私生活に追われながら6月に開催される第2回に申し込んだ(色々めどが立たないので告知は後でします)。これからも私生活に追われながら本を作り、イベントに参加するのだろうな、と思うとちょっと嬉しくなる。
 自分の書いたものをかたちにする喜びと、それを買ってくれる人がいることを教えてくれた静岡文学マルシェおよび主催者さまとスタッフさんには感謝してもしきれない。本当にありがとうございます。
 Twitterで本の感想を寄せてくれる方もいて、忙しい中でも時々喜びを嚙みしめている。最近は創作活動をする時間があまり確保できていないけれど、これからもまったりやっていきたいなあと思う。

(了)

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