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137回続いたポッドキャストの企画書を振り返る

どんな記事か

「旅のラジオ」を一緒にやろう。私(Satoru)が岡田悠さんを誘ったのが2021年の春。そのとき作った企画書を読み直して、反省したり面白がったりする記事です。

途中から会員限定になります。ご容赦あれ。


3人で企画書を作った

音声配信の立ち上げに、企画書は必ずしもマストではない。旅立ちは身軽なほうが良いと言う。あえて準備は凝らさずに、走りはじめるのも一興だ。

「旅のラジオ」を発案したときは、そういうわけで、企画書を誂えることもなかった。徒手空拳で岡田さんに話をした。フラれたらそれまで、と思っていた。音声配信を一緒にやる相手として、ほかに思いつく人もいなかった。

でも幸いにして、岡田さんは私の提案を受けてくれた。デイリーポータルZ編集部(当時)の石川大樹さんも乗ってくれた。「来月からやりましょう」ということになった。ここで3人は企画書を作った。やりたいことを言語化する必要が生じたのだ。

4つの項目を立てた

Googleドキュメントの編集が終わったのは2021年4月22日。「旅のラジオ」の初回公開から約2週間前のことである。

企画書には4つの項目を立てた。

1.番組のコンセプト
2.番組の構成
3.各回のネタ案
4.技術的なToDo

あまり詰めた議論はしなかった。このくらいの骨格を定めておけば、まあ全12回(当初はそれで終える予定だった)は持つだろう、と楽観した。

爾後、「旅のラジオ」は137回も続き、今年からは「超旅ラジオ」の新名称で更新を重ねていく。この企画書の耐用年数は思いのほか高かった。

辺境自慢よりも面白アイデアを

ここからは、企画書をまるごと掲載しつつ、「副音声」的な解説を試みたい。

企画書【1/7】
「超旅ラジオ」は当初からタイトル候補だった


番組のコンセプトについては、いろいろと頭をひねったけれど、結果としてシンプルなものに落ち着いた。

「深夜ラジオのような空気で」。ときには不謹慎な放言をするかもしれないけれど、その時間帯に起きているリスナーにだけはひっそり届いて、長らく親密に記憶される。そんな番組って良いよね……という気持ちを発露した。

それでいて排他的なものにはしたくなかった。その頃は、コロナ禍の終わりも見えなくて、どちらかといえば閉塞的なムードが立ち込めていた。だから空気の流れを開放させるような、ある種の"逃し弁"として働くような発信を目指したかった。

「辺境自慢よりも面白アイデアを」。岡田さんの名著「0メートルの旅」を私なりにパラフレーズしたら、それがそのままコンセプトになった。

構成の枝ぶりは自然に変わった

こうしたコンセプトは、2024年1月の現在に至るまで、意外にもしっかりと受け継がれた。勢いあまって、第41回でイランを語るまで、(旅を冠したラジオなのに)特定の旅行先を取り上げなかったという弊害(?)もあったけれど。


番組のスタイルについては、企画書の段階から大きく変わらなかった要素もあれば、少しずつ変化した要素もあった。

変わらなかった要素は、例えば、私と岡田さんが交代でトピックを持ち寄ること。そして、「岡田さん。」「なんですか、Satoruさん。」という定型のやり取りから始めることだ。このスタイルは、私の愛聴する「匿名ラジオ」を参考にした。岡田さんや私を知らない聞き手も想定して、どの回からでも入りやすい間口にしたかったのだ。

このような企ては、あとになって、「from 雑談」というポッドキャストで好意的に取り上げていただいた。のみならず、私が素人の落語を演っていたことまで見抜かれてしまった。聞き巧者とはこのことである。私はこの回を聞きながら、身を縮めたり背筋を伸ばしたり忙しかった。

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