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ぼくの旅路 #20

【大学生活に戻り】


当時のわたし:20〜21歳/大学生 in TOKYO

 さあ、帰国。街は、あたり一面ピンク色。桜の季節、一年で一番の大好きな季節。新しい一年の始まり。街中が希望に満ちている。電車のホームに並ぶ、新入生、新社会人、その姿が初々しい(そんな姿に触れられるのは都会ならではだなと、今の山暮らしと比較して思う。村に一同に並ぶ老女たちの顔を思い、当時の初々しい姿を思って見たり。ぼくは、自分のおばあちゃんの若い頃のお話を聞くのが大好き。おばあちゃんが「女学生時代はね…」と語り出す時、その響きに色々な気持ちが込められていることを感じる。当時を語るおばあちゃんのキャッキャッとした声のトーンと笑顔に、祖母の少女の姿を見る。軽やかなトーンから一転して、一言一言を選び語るおばあちゃんの眉間のしわに、時代の痛みを受け取る)。

 LONDON二ヶ月の大冒険から帰ってきて、間髪入れずに始まった大学生活・二年目。LONDONでの高揚感と細胞の覚醒は、まだここにある。いつもと同じ通学路が、目新しい。こころが開いている。いままでと同じ景色の中に、新たな発見をしている。日本の日常を否定していたぼくだか、こんなにもワクワクと発見している。意欲的な活力に満ちている。旅の効用とは、こういうものか(今回は旅というより留学でしたが、便宜上「旅」としておきますね)。まさに、高揚の効用。旅から受け取った処方箋、見事にこころが回復している、希望に満ちている。ぼくは、あの子からギフトしてもらった「旅」という物語に興奮している。「世界中を旅して周るぞ!」という希望に満ちている。明確な目標ができている。

 旅の効用とは。

 一つ目に、日常を離れることにあるだろう。一歩外に出て、「ふ〜、は〜」と大きく深呼吸。力んでいた力が抜けていく。日常は非日常になる。客観性がもたらされる。ふとした瞬間、当たり前と思っていたことを懐かしむ。そこに、大きな感謝が沸き起こる。20歳のぼくに湧いてきた感謝は、「家族」のありがたさだった。家族への初めての大きな感謝の気持ちだった。お父さんお母さん、いつもぼくを支えてくれてありがとう。お婆ちゃん、いつもニコニコ大きな愛をありがとう。近すぎて見えなかったありがたさを、遠く離れて感じるいじらしさ。後々の旅では、「日本の文化」のありがたさをひしひしと感じた。ぼくは、どんどんと自分のルーツをに誇りを持てるようになっていく。その感謝の気持ちを持って、再び日常と呼んでいた場所に戻る時、その関係性は更新されている。世界が新しい。

 二つ目に、旅先で新しい価値観に触れて、新しいメガネを手に入れること。「こんなメガネかけていた事すら、今まで全く気づかなかったよ!」と驚きながら、日常メガネを外す。旅先で出会った人々に「こんな見え方もあるよ」と勧められ、試しにメガネをかけてみると、あら不思議、「わー、これ楽しいね!こんな見え方もあったんだねー!なんか、こっちのメガネの方が焦点があって楽かも!」と開眼。細胞までも開き、沸き立っていく。このメガネは、飛行機持ち込みOK。ぼくは、退屈極まりないと思っていた大学生活に持ち帰ってきて、試してみることにした。 

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