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【商業BL感想】狂い鳴くのは僕の番 楔ケリ

【旧ブログより】
2017年7月14日 (金)

“オーメーガーバーーース!!!”って必殺技みたいに連呼したくなる魔法のことば

【内容紹介】

差別されるはずの存在がエリートとして君臨――
一流企業に転職し、新天地へ希望を馳せるサラリーマンの高羽。
だが入社早々、直属の上司である烏丸の秘密“人を惑わし、劣情を煽る特異体質"を知ることに。
烏丸は自らの体を武器に、大企業のキャリアの地位におさまっていたのだった…。今宵も股を開き、サカる男たちを受け入れる姿に嫌悪感を覚える高羽だったが、からかうように、烏丸の標的は高羽へ――?
俊傑・楔ケリが描く凄艶のオメガバース!

高羽(α)×烏丸(Ω)

【感想】
私の初・オメガバース作品。
なんだか難しそうなので敬遠していたのだが、昨秋ジャケ買いの中の1冊にこの作品があり、思わぬところでのオメガバースデビューとなった。

まずそもそものオメガバースの定義が出版社やシリーズなどによって少しずつ異なるので、今でも少し混乱するところもある。

この作品のΩはイケイケの受け。イケイケというのは語弊があるかもだけれど、訳ありだけど権力者を父に持ち、自分の特性を生かして社会的に良いポジションを手に入れているたくましいΩ。

女性に例えるのは少々気が引ける部分もあるけれど、例えば政治家の愛人の子で、抜群に仕事ができる美人でヤリ〇ンの女性ってどうなんだろう?とか真面目に想像してみると、結構真剣に悩むところ。こういう人が身近にいたら“いてまえー”と応援してしまうのか、嫉妬したり哀れんだりしてしまうのか、自分でもわからない。結局のところ、オメガバースの世界でなければ成立しないというあたりまえなんだけれど、そのあたり設定がうまいなと。(実はあまりオメガバースたくさん読んでないので、こういう設定ってありがちなのかもしれないけれど)

作品の感想というか、オメガバースについて思うことなんだけれど、総じてアルファってひどくないか?
もういろいろ。ていうか、社会でもっとちゃんとオメガを保護しろよ!
能力の差とか言ってんじゃないよ!
そもそも発情期等の肉体的な障害を取り除いた場合でも能力の差ってあるわけ?
本当にアルファむかつくんですけど。

世間はアルファに甘すぎやしませんか?

それに、もうちょっとベータ頑張ってよ。多数決だと勝つんだからアルファにガツンとお灸を据えないとダメなんだよ!!存在感出していこうぜ!

話を戻すと、オメガであるという理由でアルファの父からの愛情を得られなかった烏丸はアルファを憎んでいる。そして自らの特性を受け入れ身体を使ってアルファを陥落させることでアルファへ復讐しているんだね。弱みである特性を武器にしてアルファと渡り合う烏丸は逞しく神々しくさえ見えてくる。でも、背景を知ってしまうと悲しい。

そして高羽は自分を産んだ父親(母親?)がオメガで、オメガという性(さが)を嫌悪しているアルファ。自分の性を受け入れ強かに生きている烏丸とは対照的に、自分自身のアルファという性も憎んでいるように見える。オメガを嫌悪しているようでいて、オメガ(がおかれる社会的地位)を救えない自分自身(α)を嫌悪しているのだろうな。高羽は烏丸を自分の父親と重ねて見てしまい、はじめは拒絶していたものの、惹かれていく。

いま思ったけれど、烏丸もオメガである自分が嫌いなのかな、やっぱり。だとすると烏丸と高羽は似ていることになるね。似ているから惹かれ合ったのかな。

で、結局、アルファが全部悪い!
高羽はいいアルファだけど、それ以外のアルファは全部嫌な奴!

安易に感情移入して同情とかしたくないんだけれど、オメガかわいそうだわ。

話は面白いしこの作品は好き。

でも、アルファ大嫌い!何様なの?アルファ様?!欲望を理性で抑制できないのは動物以下だからね!!オメガが下等ならアルファも同じだし。

もー!!ベータ頑張れよ!!オメガの人権守ってあげなよ!
アルファの性犯罪の重罪化とかしなさいよね!!

あと、出産した男の呼び方は母なの?父なの?

あー、バリタチのオメガが大活躍するオメガバース読みたいな~!!

求ム、大カタルシス!

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