ブロックチェーンビジネスサミット レポート

Microsoft主催のブロックチェーンビジネスサミットに参加してきたので、簡単にご報告。
ブロックチェーンに対するエンタープライズ側の視点が聞けたの興味深かった。

セッション内容:
セッション1:2018年のブロックチェーンビジネスを振り返る
セッション2:ブロックチェーン、何が向いていて何が向いていないのか
特別セッション「各国のPoC開発ケーススタディ、傾向と分析」
セッション3:ブロックチェーンのユーザーエクスペリエンスを考える
セッション4: Next Use Case

登壇者(敬称略):
セッション2: HashHub東、Chaintope正田、カレンシーポート杉井
特別セッション:Not For Sale代表 James Kim(韓国)
セッション3: Alis安、Yenom宇佐美、VALU小川、キヨスイ(dappsブロガー)
セッション4: OmiseGo柿澤、LayerX福島、HashHub平野

ブロックチェーンの現状と課題:
-課題はトランザクションスピード、UX、エコシステム。
-ブロックチェーン(以下BC)はユーザー数、技術も20年前のインターネットと同じ黎明期。
-現時点でのユーザビリティ、トランザクションのスピードではエンタープライズ向けのビジネスはそもそも難しい。
-20年前webのプロトコル(TCP/IP等)を作り込んでいた様に今はファーストレイヤーのプロトコルを作り込むのが最重要。
-現状の業務をBCで置き換える事にはまだ向かない。既存サービスに比べて高速化にもコスト削減にもならない。
-BCは部分最適ではなく、全体最適。課題ドリブンではなく、テクノロジードリブン。
-圧倒的に現状はUXにアップデートが必要。一般ユーザーがシームレスにBC技術を使ったサービスを使えるレベルになって初めてブレークスルー。
-現状ウォレットの使用感でさえ一般ユーザーにはハードル高い。
-ユーザーが増えて初めて力を発揮する技術。誰しもがプラットフォーマーとしての覇権を争うべき領域ではない。企業、業界、国境を越えて知識、ユースケースのシェアを。

向いている分野:
-BCが向いている領域は
①ステークホルダーの多いBtoB、コンシューマーに広く使ってもらうなど分散型エコシステムがベースの領域→サプライチェーン、貿易、ゲームetc.
②信用の担保と可視化が重要な領域→不動産、金融etc.
-日本は既に充分に便利なシステムがある+新制度導入に対する抵抗が強い為、可能性があるのは日本よりも信用システムに空白がある新興国。
-新興国でチャレンジ、発達させてから逆輸入というルートが有効と考える。

直近のユースケース:
-海外のPoC (Proof of Concept) 8分野
1. IOTのアクセス権 ex.ポルシェの事例
2. 認証(Authentication)
3. 海外送金
4. デジタル署名
5. サプライチェーンの透明性管理 ex. Walmartの事例
6. ロイヤリティ: ポイントカードへの応用 ex.Singapore Airの事例
7. 資産所有権のトークン化(Asset Ownership)
8. 投資 ex. Korea Movie Fundの事例
-サービスとしてリリースされている多くがエンタメ分野。ゲーム(myCryptoHeroes)、アダルト領域(spank chain)。

雑感:
ブロックチェーン技術については確実に国内よりグローバルなユースケースに目を向けた方が良い。そしてその可能性は空白が多い新興国にこそある様に感じる。
かなりパラダイムシフトが必要な領域で、今までの延長線上で各社がプラットフォームの覇権を握る為、マウンティングする為の開発では意味はないのだろう。誰かと協業やオープンソースでビジネス的メリットを手放す所から初めてブロックチェーンをハードユーズする事例が出てくる可能性がある。そもそも儲かるものではない。

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