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ウォールフラワーに憧れて

好きな映画のなかで自分の好きな音楽をテープに詰めて好きな人に渡すというシーンがある。

自分と今までパートナーになった人とは、音楽の趣味が合わなかったりすることが多くて、自分の本当に好きな音楽をおすすめしたりすることはほとんどと言っていいほどなかった。(お勧めしたとしても、あんまり好きになってもらえなくて、結局諦めて、自分が相手の好きな音楽を好きになる努力をしたりしていた。)

いつか、自分のパートナーと好きなものを共有したりしたいなとふわふわと想像していた。叶うかもわからない夢を心の奥底でぎゅっとしていた。

この歳になると、だいたい仲のいい友人は音楽ではないにしろ、価値観が近かったり、好きなものを共有することが多くなった。夢に近づいたなと思うようになっていた。
と、同時に、その夢はまたどんどん遠のいているような気がしていた。

「僕のプレイリスト、Apple Musicで共有してもいいですか?」

先日とある人と電話しているときに言われ、自分たちのプレイリストを何個か送ることになった。
相手は3つ、わたしは2つ。

彼のセンスはとても良くて(わたしは日本と韓国のR&Bが多いが、彼は洋楽のPOPsやR&Bが多い)、正直こんなに好きな音楽の系統が似てる人と会ったのは初めてで、胸が躍った。
気分は、ウォールフラワーのサムだった。

今日彼の送ってくれていたプレイリストに一曲増えているのに気がついた。

わたしが送ったプレイリストに入ってるものだった。

いつか好きな音楽をテープに入れて好きな人に渡す感覚はこんななのだろうか。
優しくて、ふわっと滲み出た涙。あったかいな。

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