線路脇

鎌倉行きの江ノ電が走る線路脇に、ヘルメットをかぶったおじさまが10人ばかり待機していた。
腕章をつけている1人から「あと15センチうんたらかんたらー」と声がかかり、一同は2本の線路の内側に2列に並んで、ピッケルを線路に引っかける。途端に軽快な掛け声と金属音が辺りに響く。キンッ。「よおっ」。神輿を思わせる小気味よさ。見惚れてしまった。
電車が来るからとぞろぞろ定位置に戻っていく背中は、すっかり年相応のやさしい丸みを帯びており、皆で運転手に挨拶を送るその左手も三者三様でまた良かった。

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