未来のわたしへ

「パパ!VR(仮想空間)に遊びにいこう!」

我が娘が部屋へ入るなりこう言った。時は2030年、仮想空間VRの世界でリアルとほとんど同じことができる時代が来ていた。

娘はJD女子大生になり、口癖にパパくさーい!といつも言っているがなんとか家族として一緒にすごしている。

「パパはほんと変わらいよね、その姿」

娘が半分あきれたように言う。

起動したVR機器に接続したモニターに自分の分身が映し出される。そうなのだ仮想空間では姿、格好、性別まで自分好みのアバターを選べ、便利な姿になれるゲーム感覚なシステム。10年以上前からこの空間で遊んでいる私は、姿は女子高生の制服を着て髪はツインテールの美少女、それもエルフのアバターがお気に入りだ。

「いいんだよ!気に入ってるんだから。それにこの姿のほうが遊びやすいだろ」

娘ははいはいと生返事をしながら、それより遊びに行くほうが優先とヘッドセットを被りながら言った

「さ、いこっ!」

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娘が産まれたのは約10年前、予定日を過ぎたのと逆子だったので帝王切開で誕生した。今回は2回目の出産立ち会い、前回の長男出産時には興奮と感動のあまりビデオカメラが床しか映ってなかった、あの苦い失敗を繰り返さないよう望む。

産まれてきた天使はエコーで見たとおり女の子だ、パパにとって娘を育てることはとても楽しみなことである。光のなか、我が娘は眩しいのか片方の瞳だけ開けて産声をあげた。

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ログインしてまず向かった先は、今大人気のアニメ『鬼面の涙』のワールドだ。娘は確実にわたしの遺伝を引き継いでおり、大のアニメオタク、今日はこのワールドで限定グッズが購入できるらしい。こんなイベントがないと娘はデートしてくれないのだ。

VRも進化して、風や匂い、五感を刺激できるようになり、リアルと同じ感覚で遊べる。ひとつ違うのは擬似的感覚で、VRならではの高いビルから飛び降りたり、棒で殴られたりしても、身体に衝撃が加わらないよう安全対策がされていることだ。

お目当てのワールドへ飛び、限定グッズを探す娘、嬉々としてお店をめぐる。またアニメでの世界観を忠実に再現した町並みでところどころ、体感プログラムでアニメのキャラクターと同一体験ができるプログラムがあり、体験すると、限定グッズや証明書が発行され、オタク心を鷲掴みにしている。もちろん有料だが…。

我が娘はそんな時、大きな胸(おっぱい)をくっつけてきておねだりする。リアルでも母親の遺伝を受け継ぎ大きく育ったふたつの胸(おっぱい)を武器に、VRでも同じようなアバターで参加している娘。欲情はしないが、やわらかな感覚は私の身体にフィードバックされ、男であれば骨抜きにされてしまう。

「パパ!ありがとう!」

20年以上、目の中にいれても痛くないという自分の娘はこの言葉にパパとして騙されてるのかそれとも幸せなのか不思議な感覚になる。

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娘は大きな病気、怪我もなくすくすく育っていった。パパ・ママとお兄ちゃんをはじめ、祖父母、幼稚園の先生、お友達とさまざまな影響を受けて知識を吸収、思考をめぐらせ、そして自立する心を養っていく。

「パパ、いっしっにおふろはいろ!」

まだ自分で身体や頭を洗えない時はよく一緒に入ってたころ、湯船に足を伸ばして入っていると、娘はその上に身体を重ね合わせ同じ格好で乗っかり

「もう少しでパパの身長と同じになる!」

と言ってニコニコしてくる。

しっかり温まり、風呂から上がりバスタオルで身体のしずくを拭き取ってあげる。そんなとき娘はさりげなくパパの大事なところをさわろうとする

「パパのちんちん、おっきいね!」

この何でも興味がわく好奇心の塊、無邪気に笑いながら行動する幼女から少女への時間

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ひとしきり関連のあるワールドをめぐり、限定グッズも両手にいっぱい(実際は後日郵送で送られてくる)手に入れ、満足顔の我が娘。さて、あとはどうしようか?と考えてたら、空間の右端にメッセージ『invite』の表示が…

誰だろう?と空間にコンソールを表示させ、メッセージをクリックすると、海外のフレンドからお誘いのメッセージが…

フレンドからは『はーい!ターキー(私のVRでの名前である)あそぼー』

ここまでは普通でいいのだが、招待されているワールド名が『just ○』

いわゆるエッチして遊ぼう!ってお誘いなのである。

娘は感づいたのか、目を半開きにして言う

「パパ〜、また怪しいフレンドに誘われたの?」

仮想空間は世界中の人たちと話せ、遊べるコミュニティーツールだ。ましてや翻訳機能も完全に互換しており、問題なのは世界の反対側(12時間の時差)でも会うことができるので、向こうではいい時間でもこちらはお天道様がまだ明るかったりする。

もちろん、娘にはバレている夜の行為、長年家族として一緒に暮らしていて、年齢的にも立派な女性な我が娘、わからないほうが不思議である。

「わたしはかまわないからいいよ」

とパパの個人的趣味に寛容なのも、複雑なパパ心。

「なんのことかな〜はははっ。大丈夫、急ぎの用事じゃないから…」

と、取り繕ってみたが、苦笑いしながら額の汗を拭く、やっかいなのはリアルで汗をかくとVRの世界でも汗をかいてしまうのだ。

ふ〜ん

娘はクスクス笑いながら、親をからかうのが楽しそうだ。

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~プロローグ~

はい、ターキーといいます。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。この度、はれのそらさんに誘われて初めて物書きしてみました。中途半端な稚拙な文章になり、ごめんなさい。

現在、文章のとおり、長男、長女の二児のパパをしております。二人とも中学生になり、だいぶ手がかからないとても良い子に育っているのが自分でも不思議なくらい親をやっているのかな、と思っています。

二人の子どもたちを見ていると、自分が子供の頃感じた遊び方や勉強の仕方、友達との付き合い、様々なことに共通していることがあったり、反対に親と違い個性があったりと、成長していく姿を見ると感心します。

親も人間だから仕事や私生活等ストレスがたまり、子どもたちにあたってしまうこともあるけれど、言い方が悪かった時は

「さっきは言いすぎてごめんね」

と子供の心のケアも忘れずに行うことが大事なことだと思ってます。

さて自分の家庭の理想、あり方を述べてしまいましたが、こうするのが正しい家族というのはないとも思っています。

10年後、娘と仲良くしているか、はたまた口を聞いてくれない家族になっいるか、未来は誰にもわからないものです。












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