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犬の気持ち

お姉ちゃん登場

この家のお姉ちゃん。
お姉ちゃんには、悩みがあります。
それは、お姉ちゃんが買ってくれる服を私が着ない。
てゆーか、着ないではなくて、着せられことが好きになれない。

冬のある日、お姉ちゃんが仕事から帰ってくると、勢いよくリビングのドアを開け、ピンクの服を私の前で"バァーン"と広げ、
『コロンちゃん、寒くなってきたから、コロンちゃんのセーター買ってきたよー』と言って、服を私の顔に近づいてきます。
(えぇー、また服?)
私の気持ちはお構いなし。
それを今度は私の背中に合わせるように乗せて、逃げ私を追いかけて1人で嬉しそうにはしゃいでいます。
キッチンで、夕食を作っているママに、
『お母さん、見て、見てよく似合うでしょう。』
とに同意を求めてます。
ママが手を止めて、やれやれと言った感じの声で、
『似合うけど、買ってきてもコロンちゃんは服を着るのが苦手みたいだよね。』
『んー、そうなんだよね。服を着せようとすると逃げるの。なぜ?』
と言って、買ってきた冬をテーブルに置きました。
『これ、結構似合うと思うし、それなりの値段したし、そしたら写真もたくさん撮るつもりだったのに』お姉ちゃんの目がだんだん細くなって、テンションが地獄へと落ちていきました。
(服は、嫌いじゃないけど、)
私は、首を右に深く傾けけて、お姉ちゃんを見つめてみました。
『"犬の服を着せるいい方法"なんて動画がないかなぁ。』
そう言うと、自分のスマートフォンを持ってリビングから出ていきます。
すると、キッチンからリビングに来たママが、お姉ちゃんが買ってきた服を左手に、右手に私のおやつを持って『コロンちゃん、こっちおいで』と、呼んでいます。
私も他の犬と同じく、おやつの誘いには勝てません。
ママが持ってるおやつをもらいにいきました。

30分くらい経って、家着に着替えたお姉ちゃんがリビングに戻ってきました。
『えっ❗️なに、なに。』
目を見開いて、私を見ています。
『ママが着せてくれた?えっ、
可愛い、ママすごい、コロンちゃん似合ってる。どうやって?』
もはや、支離滅裂。
そして、スマートフォンで写真を撮り始めました。そのお姉ちゃんを見ていたママが、
『あなたも小さい頃、自分が気に入らない服を着るのが嫌いな子供だった。
それを見ていたおばあちゃんが、あなたを膝の上に座らせて、後ろから服を着せたことを思い出したの。それをコロンちゃんにもしてみたの。』
お姉ちゃんは撮影をやめてママの話を聞いています。
『たったそれだけよ。』
ママがキッチンに戻っていきます。
お姉ちゃんは、私に顔を近づけて『コロンちゃんと私は似た者同士か』
そう言うと、またスマートフォンでの撮影が始まります。
さっき、地獄に落ちていったお姉ちゃんの気分が地上に戻ったみたいです。

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