私家版Ingressスタートガイド

 はじめまして、土屋つかさ(@t_tutiya)と申します。ライトノベル作家兼デジタルゲームデザイナー兼アナログゲームデザイナーです。

 このテキストは「Ingressというゲームの話を最近聞くけど、それがどういうゲームかわからない」という人のために作ったIngressスタートガイドです。「ゲームの雰囲気を伝える」系のテキストがあまり無いなと思いまして(かつ、今日オフだったので)ざっくり書いてみました。

 土屋自身がiOS版リリースからの参加(これを書いている時点でL4)なので、設定の勘違いやルール説明の間違いなどあるかと思いますが、ご容赦頂ければと思います。正確な設定、ルールについては、ベテランの方が書いている記事を参照して下さい。

 それでは始めましょう。Ingressの世界へようこそ!

■Ingressってなに?

Ingress - It's Time To Move (日本語字幕をONにしてどうぞ)
https://www.youtube.com/watch?v=Ss-Z-QjFUio

 Ingressは「2つの勢力に分かれて戦う全世界規模陣取りゲーム」だ。Google社内の謎組織Niantic Labs.が開発している。ゲーム本体だけでなく保守運営や定期的なニュース動画の製作など、結構な予算をかけている筈だけど今の所は無料だ。課金システムも無い(プロジェクト自体がGoogle Mapをゲームに活用する社会実験なのかな?)。

 「全世界」と書いたが、これは2つの意味で文字通りだ。1つは「『全世界』のユーザーがゲームに参加している」という点、もう1つは「現実の『全世界』がゲーム舞台となっている」という点だ。

 IngressはGPSを使った位置情報ゲームで、必要な陣地を獲得する為には実際にそこに移動しなければならない(この「実際に移動する」というのがIngressの大きな魅力の1つだ)。獲得した陣地は目には見えないけど、スマホに表示されている地図には確かに描かれている。こういうゲームをARG(拡張現実ゲーム、あるいは代替現実ゲーム)と言う。

 ちなみに「Ingress」とは「入ること、進入」という意味だ。

■どういう物語なの?

The world around you is not what it seems.
――あなたの周りの世界は、見たままとは限らない。

 Ingressの概要を知りたいなら、下記の動画が分かりやすい。実はこれを見れば世界感と操作方法が一通り分かる。

The Beginner's Guide | AGENT INTEL (日本語字幕をONにしてどうぞ)
https://www.youtube.com/watch?v=HgvHV155gvo

 スイスのCERN研究所を通じて、「エキゾチック物質(eXotic Matter. 通称XM)」という謎のエネルギーが発見される。このXMは世界中に存在するモニュメントや歴史的建造物から湧き出している。別の次元と繋がっていて、XMを生み出すこれらの建物を「ポータル(Potal)」と呼ぶ。

 XMやポータルは「シェイパー(Shapers. 形成者)」という未知の存在が我々の世界に影響を及ぼすために利用していると考えられているが良く分かっていない。

 このXMをどう取り扱うかについて、「エンライテンド(ENLIGHTENED)」と「レジスタンス(RESISTANCE)」という2つの組織が対立し、世界中で人知れず戦いを繰り広げている。どちらが勝つかによって、この世界がどちらに進むのかが変わる筈だ。

レジスタンス(抵抗勢力):「シェイパー」やXMは信用すべきでないと考え、人類を防衛するために活動している。チームカラーは青。

エンライテンド(覚醒者):「シェイパー」と彼らが与える潜在的な先進性を受け入れる為に活動している。チームカラーは緑。

 あなたはこのどちらかのチームに属し、エージェント(Agent. 諜報員)としてもう片方のチームと戦う。頼りになる道具はあなたが持っているスマホ(と、Ingressのアプリ)だ。目に見えないXMやポータル、そしてチームの勢力範囲を可視化する装置であるそれを、Ingressでは「スキャナー(Scanner)」と呼んでいる。

■どうやって遊ぶの?

・インストール

 まずはアプリのインストールだ。Andoroid版とiOS版があり(Andoroid版は2013/11/05、iOS版は2014/07/14に正式リリースされた。ベータテストはもう少し前)、どちらで遊ぶにせよgmailアカウントが必要だ。導入の流れについては以下のサイトが詳しいので参照の事。

Ingress(イングレス)を始めたい女性のための安全な開始方法
http://shumaiblog.com/ingress-starting-guide-for-women/

※注意:エージェント名は本人を特定できない物にしよう!

 あまり意識しないかもしれないが、「位置情報」というのは相当プライバシー性の高い個人情報だ。Ingressでは各エージェントが取った行動がある程度の時間地図上またはログに残る。あなたが自宅と勤め先を中心にIngressをプレイしていた場合、ログを通じてあなたの自宅と勤め先が第3者に突き止められてしまう可能性がある。

 その為、エージェント名は特定されない物にするのが望ましい。既に本名を使ってしまった場合、ここから修正申請が出来る(ただ、かなり時間がかかると思われるのでgmailアカウントを取り直した方がいいかもしれない)。twitterのIDとも別にした方がいいかもしれない。gmailをプライベートでも活用している人は、上記のサイトの通り新規アカウントを取るのがより安全だろう。

・レベルを上げよう(HACK/DEPROY/LINK)

 ゲームを開始してからの当面の行動はレベル上げになる(ただし、それは単なる作業ではなく、確かに全世界規模陣取りゲームの一部となっている)。レベルが上がると行動可能性が広がる。レベルを上げるためにはアクセスポイント(Access Points)、通称APを貯めなければならない。APはXMとは違うポイントなので注意

 APを獲得するのに必要なのは「ハック(HACK)」「デプロイ(DEPLOY)」「リンク(LINK)」だ。

1/HACK:ポータルにハック(侵入)する。

 スキャナー上に存在するポータルの近くに行ってHACKを行うと、そのポータルからアイテムを取得出来る。取得したアイテムはインベントリ(Inventory. 一覧表のこと)に格納される。敵ポータルをHACKした場合には、APを獲得出来る。

 一度HACKしたポータルは加熱(hot)状態になり、5分間はアイテムを再取得できない。また、5分置きに4回取得すると、次はオーバーヒート(burned out)して4時間待機になる。

※注意1:SMS認証しないとL3になれない&アイテムが100個までしか持てない! ささっと認証してしまおう! 認証されるとアイテムの所持限界個数が2000個まで増えるぞ!

※注意2:高速移動中にHACKをすると「Hack acquired no items.」と表示されることがある。これはチート対策のようだ。iOS版では、移動していなくてもこの表示が出てゲームが進行できなくなることがあるようだ(土屋も起きた)。その際は「一度アプリをiPhone上から削除して、iPhoneから直接Ingressをダウンロードしインストールしなおす」という方法が有効のようだ。

2/DEPLOY:レゾネーターをデプロイ(配置)する。

 自陣営のポータルには、アイテムとして獲得した「レゾネータ(Resonator. 字義は共鳴装置)」を配置できる(もちろん、ポータルの近くに移動しなければならない)。配置するだけでAPが入る。レゾネーターは1ポータルに付き8個まで配置可能で、8個配置するとポータル同士のリンクが可能になる。

3/LINK:ポータル同士をリンク(接続)する。

 ポータルAとポータルBの間にリンクを張る場合、以下の3つの条件を満たす必要がある。

 条件1:ポータルAの側に移動している。
 条件2:ポータルBのポータルキー(Potal key.)を所持している。
 条件3:ポータルA/Bともにレゾネータが8個配置されている。

 リンクを貼るとAPが手に入る。また、3つのポータルを頂点とした3角形のリンクを作ると、その空間が自陣営のコントロールフィールド(Control Field. 通称CF)となる。このCFの合計面積(範囲内の人口を加味してMU(Mind Units)という単位で表す)を全世界で競い合っているわけだ。

 1つのCFを作ると1250APも貰えるので、小さなCFを沢山作ってレベルを上げよう!

■みんなと一緒に遊ぶには?

 Ingressは散歩やサイクリングに付加価値を与えるゲームという側面もある。家や職場の近くに、今まで存在も知らなかったモニュメントがあることに気づき、そこに足を運ばせるパワーを持っている。サイクリングコースにバリエーションをもたらすこともあるだろう。

 そして、その行動範囲は他のIngressユーザーとの交流を通じて更に広がる可能性がある。ゲーム内のCOMMを使って物理的に近隣にいるユーザーと交流することができるし、インターネット上にも多数のコミュニティがある。

 Googleが提供するゲームだけあって、Google+のコミュニティでの活動が盛んだ。以下の2つの他にも、地域別や外部非公開コミュニティがある。探してみて欲しい。

Ingress Enlightened Japan
https://plus.google.com/u/0/communities/102679274805476700403
Ingress Resistance Japan
https://plus.google.com/u/0/communities/108771899006033613792

 iOSリリースに合わせて、Facebook上にもコミュニティが出来た。

イングレスFacebookポータル
https://www.facebook.com/groups/762781577121322/

 さあ、もう旅立つ準備は充分すぎる程だ。スキャナーを片手に外に出よう。音声ガイドは慣れると面白いのでイヤフォン推奨。モバイルバッテリーがあるとプレイが捗るぞ。日本の夏はひたすら蒸して暑いので、日中のプレイ時は日除けと水分補給に充分留意するように!

 ではあらためて、Ingressの世界へようこそ!

■このテキストで説明してないことは?

 実はいっぱいある。レゾネーターとポータルキー以外のアイテムの説明をしてないし、敵陣営ポータルを攻撃する方法も省略した。XM減衰率の話もリチャージの話もアップグレードの話もグリフハック(このミニゲームは面白いので重要!)の話もしていない。インテリジェンスマップはURLすら書いてない。ポータル申請はiOS版ではまだ実装されていないから僕自身がどんな機能なのかを理解していない。

 と、これだけでも「まだまだいろんなルールがある」ということが分かると思う。ちょっと端折りすぎたかなとも思うけど、既にかなりの文章量になっているのでここまでにしておこう。慣れて来たらWebを漁って(あるいはベテランから聞いて)理解していけばいい。

 まずは家や会社の周辺を散策して、ポータルをHACKしてみる所から始めるといいと思う。運が良ければDEPLOYやLINKも出来て、あわよくばCFの形成に成功するだろう。それで「Ingress面白いかも!」と思ったら、残りのルールを覚えれば良いと思う。以下のサイトの解説が大変丁寧でスキャナーの画面も入っていて分かりやすい。

Ingressクイックリファレンス
http://www.geocities.jp/remote_isles_zing/ingress/start.html

■オマケ

 海外のIngress勢のスケールのでかさを示す動画の紹介。アメリカ-フランス-ブラジルの海岸にあるポータルをリンクして、大西洋上に巨大なCFを作る「メガドロン作戦」のドキュメンタリ。日本語字幕付きで、実写にCGをレイヤードしている映像もカッコイイので是非。

Ingress Obsessed 3 - Epic Operation Megalodon
https://www.youtube.com/watch?v=RhRPoGTM1u0

 また、土屋がゲームを開始するさいにとても参考になった日本語のサイトを2つ紹介しておく。

【MMMMORPG】Ingress初心者まとめ【廃人無双】
http://matome.naver.jp/odai/2136175651593897701
【MMMMORPG】Ingress攻略(Wiki風味)【大規模社会実験】
http://ingressjp.blogspot.jp/

■終わりに

 このエントリを作る為に、多くの日本語のサイトを参考にさせてもらいました。まだ日本語のサポートがほとんど無かったであろう時代からIngressをプレイしてきた方々に感謝と尊敬の念を捧げます。まだまだひよっこですが、これからもどうぞよろしくお願いします。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。もしよろしければ投げ銭をお願いします(投げ銭によって追加で読めるテキストはありませんので注意)。このエントリ経由で受け取った分については、Ingressのプレイ環境の改善費用(モバイルバッテリー、ランニングシューズ、活動量計、自転車のパーツ、虫除けスプレー、通信費など)及び友達のIngress勧誘活動費に充てさせて頂きます。

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