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【ピクミン4】感想 主役はオッチンと紫ピクミンに譲るよ


ピクミン初見民によるピクミン4の感想です。

ピクミン4面白かった!任天堂ゲームの面白さや魅力がぎゅっと詰まった作品のように感じました。シリーズの既存タイトルを遊んだことがないので比較はできないため、ピクミンというゲームそのものへの感想にもなるかと思いますが、感じたことを綴っていきます。


ダンドリ…ダンドリ…


ピクミン初見ですが、このゲームの楽しみ方はチュートリアルの早い段階でも気付かされるほど明確かつ特徴的でした。それはオッチンやピクミンに指示を与えて並行作業ができること。並行作業、役割分担からくる効率化。それをピクミン4風に言うとダンドリというようなのです。

なるほど…


正直、通常マップでは言うほど美しくダンドリ良く楽しめるシーンは多くなくて。ダンドリ良く美しい作業を実現するには、事前に情報があって計画立てる時間があって準備をしている必要があるので、初見プレイではなんとなくでピクミンに作業を与えることが多かったです。また、期限が実質ないのでそこまで効率化に目くじら立てる必要もなくて。できたら気持ちいい、楽しい!くらいの感覚で、実際ダンドリ良くできなくてもクリアできる難易度です。個人的には探索好きで、期限に迫られるゲームは得意ではないので大変ありがたく探索を楽しませてもらいました一方、ピクミンというゲームとしての魅力は効率化がまるごと成果につながる期限設定があった方が発揮されやすいんだろうなというのは感じました。
作業の効率化、期限への意識、準備と計画の大切さ…これら全てが、ああつまり仕事だなと思ってしまうのも他のゲームにはない魅力でしたね。制作側は間違いなく仕事を意識して作っているなと思ったし、子どもにはそんな感想を抱かなくても純粋に楽しめて、大人にはこれってつまり仕事じゃん…と思わせながら楽しめるんじゃないかなと思います。子供向けだけど子供騙しじゃないってこういうことなのかもと、まさに任天堂らしいゲームでとても感心しました。漫然と日常で感じる「考えたことが上手くハマると気持ちいい」を体現した、もの凄いゲーム性なのです。


可愛いという感想だけでは終わらない魅力


効率化の他にも任天堂らしさの炸裂した世界観設定が面白かったと思っていて、ピクミンは見た目のファンタジックでカラフルな可愛らしさとは裏腹に結構シビアなところを見せてきます。ピクミンは従順で可愛らしいのですが、自分の指示のちょっとしたミスであっさりと死んでいきます。可愛いや楽しいに紛れ込むストレスや罪悪感のような感情の動かし方も、面白いなと思うのです。

前進には犠牲が伴う


ピクミンはただプレイヤーに従いプレイヤーのために生きているわけではなく、理知的な生命体を見つけてリーダーに仕立て上げる習性があるみたいな設定も面白くて、プレイヤーがピクミンを利用しているのではなくピクミンがプレイヤーを利用しているのかもしれない…みたいな得体の知れなさ、不気味さといった、自然のデカさを感じさせるところも良いですね。こんな感じの一筋縄ではいかない世界観もまた、ピクミンの魅力のように思います。原生生物も、デフォルメされているのに妙なリアルさが気持ち悪かったりしました。何もかも、ストレートに可愛いと言わせてくれないですよね。
動物愛好家が原生生物図鑑の解説になにがなんでも猫可愛がるような記述をしていたり、オタカラ鑑定家がわたしたちの日常にあるいろいろなアレソレにうんちくを語ったりするのも、皮肉と遊び心に溢れていたように思います。このへんの匙加減が絶妙というか…鼻につかない程度にほんのりブラックな描写がめちゃくちゃに上手かったと思うのです。


タイトル、オッチンで良くね?

カワイイ


オッチンが万能すぎて、ピクミン初見のわたしでも30分後にはタイトルオッチンで良くね?と言っちゃうくらいに優秀でした。上記の通りピクミンを働かせるには責任感と罪悪感を抱く必要があるのですが、オッチンについてはほぼペナルティなしで動かせるため、責任感を抱かずに雑に仕事を与えてしまいました。オッチンのデザインを考える際、もっとストレートに可愛らしさを前面に押し出すこともできたと思うのですけど、そんなことしなくてもオッチンの利口さ、優秀さ、振る舞いやSE全てが好感を持てるデザイン設計なので、制作の意図に乗せられてまんまと好きになってしまう自覚がありました。

オッチン…!


お風呂で泳ぎの練習をするオッチンも、嬉々として報告してくる隊長も、全てが可愛いぞ…!

このゲームの主役はオッチンでいいよ、と思っているのですが、ラスダンにおける紫ピクミンの怒涛の株上げもすごかったです。もうお前が全てを解決してくれるよ…


レジェンドの風格、オリマーモード


ピクミンってやっぱり期限ありきなゲーム性だな、わたしは探索が好きだからマイルドな4で遊べて良かった!と思っていた矢先、まさかのオリマー単身モードが実装されていてきっちり期限付きのシビアモードが用意されてたのも感動的でしたね。開発陣もこのゲームは期限ありでやるのが一番おもれーんだよ、って思ってるんだろうなと感じさせられました。オリマーモードは期限付きなだけでなく、オッチンなし、仲間なしのストイックさも魅力が光ります。オッチンがいないことでゴリ押しもできず、仲間がいないから孤独と不安の雰囲気も出ていて、ピクミンという唯一の拠り所でありながら期限のシビアさから彼らを犠牲にする覚悟がないと先は進めない難易度も揃っており、4プレイヤーにとってはオリマーの一介の運送業者にしてレジェンド感を味わうのに十分だったと思います。4主人公はオッチンという頼れる仲間が最初からいて、レスキュー隊の全力バックアップもあって、みんなと会話もできて、期限もなくのんびり探索までできて、恵まれているよなあ…!
ちなみにわたしは15日で30個のパーツ集めということで単純計算で5日で10個ほど集まるペースが必要だと理解して、5日ほどチャレンジしましたがパーツが5個しか集まらない進捗だったので諦めました。根性、ゼロなの?


善悪でなくありのままを受け止めろなシナリオ

ピクミン4のシナリオはあってないようなものなのですが、終わってみると結局いろいろあったものの、オリマーが遭難したので助けに行った話で終始していました。なんかオッチンと帰れなくなったと思ったら獣医師を探しに行くことになってルーイというヤバイ奴とラストバトルを飾ったりしたのですけど、なんのこともありません。別に諸悪の根源を見つけたり、とっちめたり、何か真相に辿り着くわけでもありません。レスキュー隊として救難信号があったから救助して、その過程で様々な生物と出会った…そんな感じです。そこに何か意味があったのだろうか?と、一応シナリオについて考察しました。
個人的にはルーイというキャラには驚いたというか…シリーズを知らないので、なんか急にサイコパスなキャラクターが出てきたと思ってびっくりしました。ルーイはゲームの中でかなり邪悪な部類に入るような印象なのですが、オリマーはことごとくルーイを擁護します。獣医師をさらったり、迷惑をかけたりと、ピクミンの世界の中でもかなり異質な、悪に近い何かのような印象を受けます。実際、ラスボスを操る存在なので実質的にラスボスの存在だと思います。しかし彼を咎める展開にはなりません。ルーイはあくまでレスキュー隊にとっての救助対象であり、彼には本当に誰に対しても悪意がなく、我々にとってただ、「理解のしがたい何か」なのです。
わたしなりの考察ですが、たぶんピクミンには悪役を作ったり、悪をとっちめたりみたいな展開は作りたくなかったんだと思います。主人公は未知の惑星で見知らぬ生物と出会い、彼らは彼らの本能と生態でただ自然の中にあって、善や悪という概念もなく存在している。たぶんピクミンの世界観はこれ以上でも以下でもなくて、でもゲームとして、特に子供向けとしてはやはり物語の区切りとしてボスを倒すのがセオリーになると思います。そこで登場するのが、悪意なき何かのルーイだったんじゃないかなと思います。ゲームとしては他キャラクターと一線を画す区切りのボスの存在でありながら、ピクミンの世界観としてはなんてことのないただの一人の生物である…。なんかそういう、プレイヤーには邪悪に思えたかもしれないけどそうではない、善悪で推し量れぬ世界観を強調したかったのかなと思いました。

この日記を初めて見たときの恐怖は忘れられない。なぜかというと、てっきりオリマーへの悪意がある人物なのかと思ったら、そうではなかったからだ。ルーイは基本的にプレイヤーの理解から遠く、だから怖いし邪悪に思えるが、その発想自体が歪だと思わされてしまった。理解できないものは果たして邪悪なのだろうか…


こんな感じで、シナリオに意味を求めて深く考えすぎた人間の末路を載せてこの記事は終わりにします。ピクミン4、実にゲームデザインと発想が任天堂らしくて面白かった。
ちなみにわたしはキャラクターでいうと、ポンコツな一面を見せつつ誠実で正義感の溢れるオッチン大好きな隊長が可愛くて気に入っています。

オッチンが大好きな隊長が可愛い
隊長の日記とか、隊長の誠実なところが垣間見えて好きだ




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