明治伊万里 殖産興業の先覚者 高柳快堂の画業

色絵南画早春雪渓図大花瓶 
陶画:高柳快堂作 製造:香蘭社製 年代:明治十四年 サイズ:高七十㎝
有田焼の色絵の技術は十七世紀、中国明末に平戸生まれの鄭成功を介して伝わりました。
当初は景徳鎮の代替品として製造されましたが、徐々に我国独自の様式に変わっていきました。
南画も中国より伝播し、日本の池大雅や田能村竹田により新境地を生み出されていきます。
高柳快堂の画風は竹田やその子直入の系譜に連なっています。
南画の格調高い風雅な趣を陶磁器で表現するのは冒険だったと思われます。
しかし、画布に代えて陶磁の地肌に薄墨風の絵付けを施し、やわらかいキャンバスに代える
工夫をしています。
南画の代赭色(たいしゃいろ)も約束事でうまく発色させていて、
水墨画の濃淡渇潤の風趣をよく表した傑作と云えます。
生地は手造りで高い技量が問われ、今日この様な大物製造は困難です。
欧州の万国博覧会に出品され、精神性が漲ったこの花瓶は彼の地の人々の耳目をそばだてました。
十九世紀は万国博覧会の時代であり、血を流さない戦争とも云われ、列強の帝国主義に一籌も輸すまい、と東洋の理想を掲げ挑んだ先人の労苦を偲びたいものです



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