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終局世界物語~あとがき

【すべてのひとへ】

『終局世界物語』を遊んでくださった、すべてのひとへ。

佐賀屋火花です。よろしくお願いします……という挨拶を、ゲーム期間中に何度繰り返したことでしょう。それだけ沢山の方が『終局世界物語』というコンテンツに参加して下さいました。
実に参加プレイヤー108人、登録キャラ170人強という、開始当初全く予想もしていなかった人数が参加して下さったことに、感謝しかありません。
「20人ぐらい来たら大成功だよね……」と後ろ向きな目標を立てていたのが夢のようです。

『終局世界物語』は、もともとは私が大学生の頃に書いていた小説でした。当時はネット上に個人サイトを開設しており、そこで毎日更新という、今になって思えば暇を持て余し過ぎたが故の狂気としか思えない形式で原作小説を連載していたわけです。

時は流れ、私も(何故か)体験型イベントを主催する立場となりました。
主としてLARP(Live Action Roll Playing)を企画・運営していく中で、私はとある目標を立てました。
「新規のお客さん増やそう!」
今までLARPなんて聞いたこともない、聞いたことはあるけどどこで何をしているのかわからない、参加したいけど方法がわからない……そういった人達に、LARPに気軽に参加してもらおう!

今まで会ったことのない人達と会いたい。

これこそ、『終局世界物語』が企画立案された最大の理由です。

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【バイバイ、またね】

『終局世界物語』は、非常に癖の強い話だと思います。
何せ、始まる前からエンディングが確定しているんですから。
プレイヤーがどれだけ頑張っても、どれだけ素晴らしいムーブを見せても、素晴らしいキャラクターが数多く登録されたとしても、必ずバッドエンドになるのです。
どうしたってみんな死ぬのです。
果たしてそんなコンテンツに、参加者なんて集まるんだろうか? という不安は、常に自分の中にありました。

ちょうどこの企画が本格的に動き出した頃は、私の運営する団体が活発化した時期と重なっていたため、不安を忙しさで紛らわす日々が続きました。
基本的にネガティブで後ろ向きな私は「参加者がゼロだったら、手伝ってくれた人達にどれぐらいごはんを奢ったら許されるんだろう……」という情けない皮算用を立てていたのです。

だって、自分のキャラが死ぬのってイヤじゃないですか?
私は普段CoC(TRPGのシステムの1つ。クトゥルフ神話世界の住人となり、様々な怪事件を解決したり、解決できず死んだりするゲーム)を遊んでいるのですが、キャラがロストする(=死亡する)のは辛いものです。
CoCは他のゲームにくらべて死亡率が非常に高いんですが、そんなゲームを日常的に遊んでいても、イヤなものはイヤです。育て上げ、思い入れが深くなればなるほど、死んで欲しくないと思うようになっていきます。

『終局世界物語』は、ラスボスがいるような設定ではありません。
魔王もいないし、村は山賊に襲われていないし、ゴブリンを倒すこともありません。
キャラ同士でどんどん交流して欲しい、強い思い入れを抱いて欲しい、どんどんエモ展開をぶちこんで欲しいという、人と人の関わりだけをピックアップしたゲームです。
つまり、そんな中で育てたキャラが死ぬのは辛くないわけがないんです。辛いのに最後はみんな死ねということが明言されている、無慈悲を通り越してもはや「これを考えた人は人間として何か間違ってますね……」というような代物なのです。

そこまでわかってたんなら何で全滅エンド確定の企画なんか立てたんだよと言われそうですが、それはそれとして、私はこういう世界が滅ぶ系の話が大好きなのです。
そして私は商業主義的な「自分の好き嫌いと社会のニーズは別」という割り切りをすることができない(というかやりたいことしかできない)人間なので、「こういうゲームやりたい!」ってなったら、もう他の企画なんて出てこなかったのです。

不安と混乱でグッチャグチャになりながら、それでも表面上は平静を装い連日Discord上で会議を行い、1月になっていよいよ『終局世界物語』がサービス開始となりました。

その後がどうなったかは、皆さんの方がお詳しいのではないかと思います。
私はとにかく仲間達に支えられ、世界観の補強をしながら最終日の準備をする作業に追われていたせいで、特に開始直後にチャットやタイムラインで何が起きていたのか、ほとんど把握できていません。

「あのキャラとあのキャラ、いつの間にくっついてたんだよ」という案件が幾つもあったので、全参加者中でもログ販売を最も強く希望しているのは多分私なんじゃないですかね。特に最終日! 実イベントを主催していた以上チャットの様子なんて全くわからないわけで、ほんとに最終日のログ販売楽しみ過ぎます。

バッドエンドが確定した、ある意味で非常に自由度の少ないゲームに、ここまで多くの方が関わってくださったことは、ただただ感動です。
途中「このキャラを殺したくない」「この世界に終わって欲しくない」という意見をTwitterなどで散見し、とても嬉しく思いました。そこまで没入してくれることに感動し、「そこまで言うなら絶対にこの世界滅ぼさなきゃ」という魔王みたいな決意を固めることもできました。
終わりがあるからこそ、皆さんのキャラはきっと輝くはずだと、私は確信していたからです。途中まで「実は終局を防ぐ手立てがあってもよいのでは……」とブレ始めていた自分を、皆さんが支えてくれたんです。

最終日、イベント会場で“博士”と出会い、キャラ達がどう感じ、考え、選択したのかは、感想戦チャットで共有することは可能となっております。是非、実プレイ参加者の方に、どんなことがあってどう行動したのか、聞いてみてください。これに関してはあくまでも課金コンテンツの扱いとなり、公式から補足することも、発表することもありません。皆さんの感じたことが、皆さんだけの真実です!

最終日に何が起きたのかは、まだ観測できていません。
けれど、皆さんのキャラが最後の瞬間まで輝き、そしてそれぞれの人生を生ききったことだけは、チャットを覗かなくてもわかるのです。

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【終局の先へ】

今回は本当に、信じられないぐらい沢山の人が出会い、キャラクターを投影しながら交流して下さいました。運営からイベントを起こす必要もなく、むしろ皆さんの起こすイベントを追いかけるだけでも精一杯の日々は、非常に楽しく、充実したものとなりました。

もちろん死ぬほど疲れましたが(笑)、それはそれとして……。
次回もまたこういった形式のイベントを運営できればと(懲りずに)計画できるぐらいには、運営も楽しんでいたことだけは、ここに明記しておきましょう!

LARPはまだまだマイナーな遊びです。
しかし国内を見渡しても謎解きやリアル脱出、イマーシブシアター、そして爆発的な流行を見せるマーダーミステリーなど、体験型イベントの需要は確実に増えているように思います。

ならば、その中で選択肢の一つとして「LARPを遊ぶ」というものがあってもいいと思います。
今回の『終局世界物語』が、皆さんにとって「体験型イベントにもこんな形式のものがあるんだな」という新たな発見となっていれば、これに勝る喜びはありません。

私、佐賀屋火花(さがや・ひばな)は埼玉県を中心に活動するMATH-GAMEという団体の代表です。現代を舞台にしたホラーLARPを定期的に開催していますので、もしよろしければ、どこかの機会で思い出して下さいね。
そのときに、私達のイベントで再会できれば、最高に幸せです!

最後になりますが、私を支えてくれた仲間達に深く感謝します。
√Aさんは、問い合わせ対応を一手に引き受けてくださいました。
はみこさんとやすたみさんは、それぞれNPCを動かし終局世界を深め、トラブルシューティングに奔走してくださいました。
木場さん、思考さんは私に「LARPとはこういった種類のものもあるのだ」と教えてくださいました。
MEGUMIさんは、サイト作成の全てを担い、終局世界の根幹を支えてくださいました。

そして、全ての参加者のみなさまへ。
本当に、ありがとうございました!
どこかでまたお会いしましょう!

バイバイ、

またね!

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