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名鉄の2つのローカル終着駅へ

台風が梅雨前線を刺激して、全国的に大雨となった翌日の五月晴れ。久しぶりの鉄分接種のため、洗濯などの家事を一通り済ませると、1人旅に出ることにした。

昨夜からいろいろ思案した挙句、東京駅10時48分発ののぞみに乗ることにした。旅に出るというのに、いつもの仕事と同じ方面の電車に乗るのはどうかなとも思ったが、だからこそ、非日常感があっていい。

休日とはいえ、のぞみもこの時間帯は混んでいない。自由者にも余裕で座れる。多摩川、相模川、酒匂川、富士川と大きな川を次々と渡る。どの川も水量が多く濁っている。

名古屋で下車。ちょうど12時半なので、駅のホームにあるきしめんで昼食。買い物客が多い名古屋駅のコンコースを抜けて、地下にある名鉄の名古屋駅に下りる。ここから快速特急で知立へ。神宮前から知立まで、快速特急はどこにも止まらない。なかなかの俊足ぶりだ。

愛知周辺は未乗線区が密集している。いつかは乗りつぶさなければと思っていたが、その規模の大きさと都市部ということもあり、なかなか優先順位が低いままだった。今日はそのうちの一部、比較的山間部の路線にターゲットを絞った。

知立駅は立体交差化の工事中で、仮設通路を抜けて地上ホームに来ると、ちょうど猿投行きの2両編成の電車が入ってきた。名鉄三河線は少し不思議な路線で、この知立駅を境に海線と山線に運行系統が分離されている。海線は知立と碧南を結ぶが、かつては碧南からさらに吉良吉田まで伸びていて、蒲郡線や西尾線とつながっていた。山線も今は豊田市駅を抜けて猿投までだが、猿投から先、西中金まで続いていた。両端区間は閑散区間だったため、末期は電車ではなくディーゼルカーが導入されていたが、2004年に廃線となっている。

海線はかつて佐久島を訪れた際、帰りに乗車したことがある。反対の山線はまだ乗ったことがなかった。山線は2両で単線だが15分間隔と本数は多い。途中、複線化と思われる工事をしている区間もあった。豊田市の市内を抜けるので乗客は多い。豊田市には名古屋市営地下鉄の鶴舞線と直通運転をしている豊田線が走っており、土橋あたりから分岐する梅坪あたりまでは、都市部の路線でありながら2両の電車が乗り入れる、少しちぐはぐな感じになる。梅坪から豊田線と分岐し、再び単線に。山を登っていくと車庫のある猿投駅に到着した。車内放送で「西中金、足助方面はバス乗り換え」と案内される。

三河線(山線)の終点である猿投駅

梅坪に戻り、連絡していた反対ホームの鶴舞線直通の豊田線の電車に飛び乗り、豊田線へ。豊田線、鶴舞線も未乗だが、いかにも郊外という雰囲気で、駅は無機質だ。鶴舞線は両端で豊田線と犬山線という、どちらも名鉄の路線と直通しているが、犬山線の直通は少ない。犬山線と接続する上小田井で下車。向かいのホームに犬山方面の電車が来るが、犬山線を全区間乗車するため、一度名古屋方面に行き、名古屋本線と合流してからまた戻る。たまたま乗った電車は準急新可児行きで、何本もの路線が乗り入れる犬山で方向を変えて、広見線に入る。田植え中の田んぼの間をのんびり走り、短いトンネルで峠を越えると岐阜県。どことなく山が近くなった気がする。

JR太多線をまたいで新可児駅に到着。コの字型のホームで、向こう側に2両編成の電車が止まっている。広見線はここからさらに路線が御嵩まで続いているが、運行系統は別になっているし、IC乗車券が使えないなど、ローカル線として分離されている。進行方向もまた逆になる。

広見線の新可児駅。向こうに止まっている2両編成の御嵩行き電車は、
ICカードに対応していないローカル線

次の明智駅はやや大きな駅だが、ホームは1つしかない。かつてここからさらに八百津線という支線が別れていた。その名残だ。八百津線の廃線跡を左に眺めつつ、田舎の風景が続く。途中どの駅もホームは一つだけ、終点の御嵩駅もそうだったから、この電車が行ったり来たりするだけのダイヤだ。所要時間は片道10分少々だから、それでも30分間隔で電車が運行されていることになる。

新可児駅に戻り、改札を出ると駅前広場の脇にJR太多線の可児駅がある。こちらが本家のはずだが、新可児駅の方が大きく目立ち、可児駅はこじんまりと間借りしているかのような感じだ。

JR太多線もディーゼルカーだがそこそこ本数が多く、30分に1本は列車が設定されている。夕焼け空を眺めながら、帰りは多治見を経由して中央本線で帰ることにした。

これで名鉄三河線(山線)と豊田線、名古屋地下鉄鶴舞線、名鉄犬山線、広見線を消化した。まだまだ愛知・岐阜周辺には未乗線区が点在しているが、まずまずといったところだろう。残存距離比率は3.6%となった。

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