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BTS:花様年華&Art work 〜WINGS #4 FIRST LOVE〜


この記事では『WINGS Short Film #4 FIRST LOVE』をもとにそのストーリーとイメージから描いた絵を記事にしています。



簡単に説明すると、ショートフィルムの映像やセリフ、歌詞とともに、語られていない部分について、創作で埋めていくことをしています。

創作前になんとなくのイメージで描いた絵もあわせて掲載し、最後にちょっぴり解説する流れです。


詳しくはこちらの記事をご参照ください↓





『WINGS Short Film #4 FIRST LOVE』はこちら↓です。

※未視聴の方はぜひ先にフィルムを観ることをお勧めいたします😊




では、始めます。







『WINGS Short Film #4 FIRST LOVE』



There are numerous ways 
in which God can make us lonely 
and lead us back to Ourselves

This was the way he dealt with me at that time
そこには数多の方法がある
それは神が我々を孤独にし
我々を我々自身に引き戻す方法のことである

これがあの時に神が私に施した方法だった






#4 FIRST LOVE  〜初恋〜







誰もが寝静まった真夜中。

古びた店の前にユンギは立っていた。



…ようやく見つけた。

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足元にあった適当な小石を広い、店のガラス戸に思いっきり投げつける。

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はやる気持ちを抑えつつ、店の中へ入っていく。

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殺風景な店に防犯のサイレンが光と音で照らしている。

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ようやく会えたな。

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指先が鍵盤に触れる。

ユンギはその瞬間吸い付くような感覚を覚え、思うままにメロディを奏でた。

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そうだ、この音だ。

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この感触に触れたかった。

この音に会いたかった。

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この音に…

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ユンギはここまでの道程を思い出し、首を垂れる。

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お前に出会えたとしても、あいつはもう…。



ふいにどこからか口笛が聞こえた。

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この口笛。

この曲…。



振り返るが、外は先程と変わらず夜の闇。

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ユンギは店を出て、導かれるように音のする方へ向かった。

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車が一台も通っていない暗い車道。

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一歩ずつゆっくりと歩みを進めると、音は次第に大きくなる。

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音が近づくたびに妙な胸騒ぎを覚える。

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こんなに近くに感じるのに、口笛を吹いている「あいつ」の姿はない。

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もしかしたら、どんなに追いかけても追いつけないのかもしれない。


知っている。

この絶望感。


しかし、また口笛が大きくなる。

後ろから聞こえる。

通り過ぎたか?


ユンギはほんの少しの期待を胸に、踵を返し店の方向へ戻ることにした。

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幻聴かもしれない。

けれど確かに聞こえる。



大切なものはいつでも俺から遠ざかる。

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手にしたければ、こちらから近づくしかない。



ふいに後方からライトが照らされ、振り返る。

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闇の中から、一台の車が走ってくる。

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車はクラクションを鳴らしたまま、あっという間に近づき、まっすぐユンギに向かってくるように見えた。

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ぶつかる!

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そう思ったが黒い車はすんでのところでユンギの脇を通りすぎ、走り去っていった。

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なんだよ、あの車…。

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それにしてもスピードがおかしくないか。



天地が逆さまになるように、ユンギは全身が凍り付くのを感じた。

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おい、嘘だろ。

やめてくれ。

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もう、やめてくれ。

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これ以上、俺から何も奪わないでくれ。


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俺は変わったのか
他の道を選んだなら
立ち止まって振り返ったなら




ブレーキ音。

車が鈍くぶつかる音。

ガラスが砕け散る音。


かつて一台の車があいつを俺から奪った。

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今でも覚えている。

地面に広がる黒い血の塊。



ユンギは車が立ち去った店の方へ駆け出した。

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まただ…。


ユンギは必死で走った。

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また、俺から奪うのか。

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どれだけ俺から奪えば気が済む?



溢れ出た水は、溢れてしまったら決してもとには戻れない。

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店の前にたどり着くと、先程の車はガラス窓を割り、店の中までめり込み煙を吐いていた。

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無事、か?

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いや、無事じゃない。

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燃え盛る炎に立ち尽くしていると、また口笛が聞こえる。

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しかし、やがて口笛も消え去り、ただ大切なものが目の前で燃えているのをユンギは立ち尽くして見ていた。

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その思いは紛れもなく「初恋」だった。





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作品







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モノクロVer.





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解説


ユンギの場合はやはり炎です。

すべてが焼き尽くされているのですが、赤だけでなく、白、黄色、オレンジ、そして青など、様々な炎が様々な温度で炎心を広げ、逃げることはできないイメージ。

そして、逃げることをどこかで諦めているようなイメージです。



何となく、自身のピアノが事情により手元から離れ、サビれた街のサビれた店に置かれて、ずっと探していたユンギがようやく見つけたのが冒頭のような気がしました。

しかし、ようやく見つけたけれど、その音色を聴かせたい人はもういない。

その人を奪ったのは一台の車で、車が店に衝突したことでようやく見つけたピアノも再び失う。

しかも、永遠に。


奪われてばかりの結末。


ユンギ自身が弾いて流れるメロディは『FIRST LOVE』ですが、聞こえてくる口笛は『BEGIN』です。

そして、ユンギの真横を通り過ぎた車。

上からの映像には血痕らしきものが見えます。

過去の映像からすると、かつて事故にあってユンギが失ったのはジョングクである可能性もあります。


思わず店を飛び出て探したのは、聴こえた口笛がジョングクのものだと思ったからかもしれません。



そして、タイトルの『FIRST LOVE』とは誰、または何に対する初恋でしょうか。

映像の中には出てこないのですが、『FIRST LOVE』の歌詞から考えても、その対象はピアノに当たるのかな、と思います。

初恋=初めて夢中になったものと解釈できるかもしれません。

ひいては、ピアノは音楽そのものにも思えます。


日本語訳はあみにさんの動画をお借りしています↓


SUGAというひとりのアーティストを好きだと思う理由がこの曲にも深く深く刻み込まれています。


最後に、ピアニストユンギを観ることができる貴重な撮影ビハインド動画をどうぞ↓

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