BTS:花様年華&Art work 〜WINGS #7 AWAKE〜
この記事では『WINGS Short Film #7 AWAKE』をもとにそのストーリーとイメージから描いた絵を記事にしています。
簡単に説明すると、ショートフィルムの映像やセリフ、歌詞とともに、語られていない部分について、創作で埋めていくことをしています。
創作前になんとなくのイメージで描いた絵もあわせて掲載し、最後にちょっぴり解説する流れです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください↓
『WINGS Short Film #7 AWAKE』はこちら↓です。
※未視聴の方はぜひ先にフィルムを観ることをお勧めいたします😊
では、始めます。
『WINGS Short Film #7 AWAKE』
The bird fights its way out of the egg
The egg is the world
Who would be born
must first destroy a world
The bird flies to God
That Gods name is...Abraxas
鳥は卵から抜け出ようと闘う
卵とは世界そのものである
生まれ来るものは
まず世界を破壊しなければならない
鳥は神のもとへ飛ぶ
神の名はアブラクサス
#7 AWAKE ~目覚め~
たったひとりの食卓には、白い花とリンゴ。
ソクジンはガランとした部屋の中で、長いことぼんやりと宙を見ていた。
聞こえる音も、どこか遠い。
ふと、我に返る。
そうだ、食事の時間だった。
イヤホンを外し、リンゴに手を伸ばす。
しっかりと掴み、その甘い香りを確かめる。
やっぱりリンゴは嫌いだ。
ソクジンが手放したリンゴは宙を舞い、床に落ちた。
花を撮ろう。
レンズを覗き込み、テーブルの上に飾られた白い花に焦点をあてる。
シャッターを切ると、同時に蠟燭の火が消えた。
火の消えた後には煙だけが残った。
風、かな?
扉は締まっているし、窓も締まっている。
壁の鏡には、暗くなった部屋が反射している。
生き残らなければならない
何かが変だ。
夢がなかった
リンゴが転がっていく。
果樹が答えを知っている。
ソクジンはダイニングルームを後にして、甘い香りをたどった。
部屋の前にリンゴがある。
この部屋だ。
躊躇うことなく、扉を開ける。
明るく美しい日差しに満ちた部屋だ。
互いに目をそらしている胸像。
これは誰かの部屋?
ソクジンが振り返る。
あぁ、そうか。
そうだ。
そうだった。
ここは…、僕の部屋だ。
扉の内側には無数の傷。
ベッドの端に腰掛け、オイルの切れかけた古いライターを手にしていた。
ようやく火がつく。
まだ使える。
ソクジンはその火を吹き消した。
脇に置いた白い花を優しくかき集め、手のひらにのせる。
壊さないように、そっと優しく。
そのまま立ち上がり、部屋の中心に置く。
再びライターの火をつけ、花にかざす。
青い炎が燃え上がる。
白い花が燃える。
苦しさからベッドに横たわり周りを見渡す。
世界が歪んでいる。
すべてが歪んていく。
息苦しさに天を仰ぐ。
天井も、何もかも、歪んでいる。
僕自身も。
窓の外を一羽の鳥が飛び去っていく。
「神」のもとへ飛んでいったのだろうか。
目覚めはいつでも突然だ。
ソクジンは意を決して、カーテンを開け放った。
光があふれた。
これは…。
「僕」だ。
鏡…?
そっと触れてみる。
水の音。
波紋が広がる。
「僕」が歪んでいる。
扉の開く音に振り返る。
泣いたり笑ったりもしたけれど
どれもとても美しかった
ソクジンはベッドから降りて、扉へと向かった。
扉の前に立つと、薄く開いていた扉が、ひとりでに開け放たれた。
世界はやっぱり歪んでいる。
信じるわけじゃない
ソクジンは部屋からゆっくりと出ていく。
耐えてみるんだ
もう道しるべはいらない。
できることは僕にはこれしかないから
一歩ずつだが、前を目指せる。
留まりたい
それは今までと何ら変わらないかもしれない。
もっと夢見ていたい
振り返ってみるけど、後戻りはできないんだ。
それでも離れる時がきたんだ
一枚の絵と対峙する。
Yeah, it's my truth
(そう、これが僕の真実)
黒い鳥が飛び立つ瞬間。
it's my truth
(これが僕の真実)
この鳥を知っている。
どこもかしこも傷だらけになるだろう
僕は先に進まなければならない。
But it's my fate
It's my fate
(それでも、これが僕の運命
これが僕の運命なんだ)
たとえそれが異端でも。
それでも足掻いていたい
僕には守りたいものがあるんだ。
歪んだ空間が過去に吸い込まれる。
Maybe I, I can never fly
(きっと僕は、僕は決して飛ぶことはできないだろう)
まるで、どこへ行ったとしても必ずそこへたどり着くようだ。
あの花の花びらのように
翼をつけたようにはならない
ソクジンが後にした部屋の床には、フィルムに収めた6枚のポラロイド。
Maybe I, I can't touch the sky
(きっと僕は、僕はあの空に触れることはできないだろう)
少しずつ色を帯び、形を帯び、姿を現す。
それでも手を伸ばしたい
走ってみたい もう少し
「生き残らなければならない」
母と子
リンゴ
ピアノ
黒い鳥が飛び立つ絵
傷だらけの扉
たどり着いた答えが知りたかった答えとは限らない。
たどり着いた答えが知るべき答えとは限らない。
たどり着いた答えが異端なものならば、僕は何を選択するべきか。
何を選択するべきだったのか。
それでも選択しなけければ。
「目覚め」の前に。
作品
モノクロVer.
解説
ソクジンに関しては、一番のキーパーソンなのだと思いますが、右目を隠すのは闇ではなく、光なイメージでした。
…なんとなく。
他の登場人物は、何かしらの不運や過去の出来事や境遇などが闇と化して、視界を遮っているようだったのですが、ソクジンだけはすべてがクリアに見えているはずなのに、本当に見たいものが見えない、というような印象を得ました。
この動画の中に多くの「つながる」ヒントが入っていますよね。
次に書く記事でもう少し詳しくつながりを書きますね。
カーテンのある明るい部屋はソクジンの部屋だと思いましたが、どうなんでしょう。
部屋にある彫刻の名前を調べていた時に、海外ARMYさんの考察だったでしょうか、テヒョンの部屋という方がいらっしゃったんですが、他のMVや物語にヒントがあるのかもしれません。
ちなみに右側の扉を横から見ると「LIE」と書いてあるという方もいらっしゃいましたが、まぁ確かに見えなくもないですかね。
そうなると『LIE』がタイトルでもあるジミンの部屋となるわけですが、しっくりきません。
ソクジンの部屋と思った理由は、この扉の傷を見ても驚くことなく、何となく観念したような表情だったことにあります。
ちなみに、この部屋にある二つの胸像。
左側は『Diana of Versailles』という作品であろうことはわかったのですが、右側は探索中です。(ご存知の方教えてください)
『Blood Sweat & Tears』のこの場面↓でも同じ位置で出てきます。
『Awake』では背を向けていますが、この時は向き合っている。
そんなところからもソクジンの部屋説を推したいと思います。
こういうつながり、ゾクゾクしますね。
一番腑に落ちないのは最後のポラロイド。
それぞれの写真がそれぞれの人物を表しているとしたら、ひとり足りないと思うんです。
6枚しかないのでソクジン自身を除外しているのでしょうか。
写真が浮き出る順番に、左からひとつずつ見ていきましょう。
「生き残らなければならない」→ナムジュンが記した言葉
「母と子」→ホソクを象徴するもの
「リンゴ」→ジミンが食べていたもの
「ピアノ」→ユンギの初恋
「黒い鳥が飛び立つ絵」→ジョングクが描いた(と思われる)絵
「傷だらけの扉」→ソクジンがいた部屋
そう、最後の部屋はやっぱりソクジンが直前までいた部屋で、最後に浮き彫りになったということは直前に撮ったものと推察できる気がします。
だとすると、テヒョンだけがいないですよね。
とはいえ、このフィルムにもテヒョンに関連したものはちゃんとあるんです。
ジンが花に火をつけて目覚めた後に歩く廊下。
最初に部屋へ向かう時は暗くてわからなかったのですが、目覚めた後には壁一面にアブラクサスの絵があるんです。
頭が鶏で、足が蛇、鞭と盾を持つ、異端とされた神。
それはテヒョンが『STIGMA』の冒頭で落書きしていた絵ですね。
左右逆になっていますが、ちょっと鳥肌がたちました。
ポラロイドには存在しないけれど、この場所には存在するということになります。
一部のアイテムは歪んだ部屋の中にも観ることができます。
母子の絵とピアノは右側にはっきり見えますね。
最後のポラロイドとは異なりますが、ワードローブが鎖で施錠されているのはナムジュンの電話ボックスにも重なりますし、椅子の向こうにはジョングクの自画像もあります。
ちなみに、歪みから解放された後の部屋は、歪んでいた部屋とは少し違うようです。
ピアノとクローゼットはあるけれど、椅子が違うものですね。
ジョングクの自画像はある様子。
母子の絵もある。
椅子を置き間違えたわけではないと思うのですがどうなのでしょうか。
まだまだ見落としているところがありそうですが、この辺りにして次の記事でもう少し横のつながりをみたいと思います。
お口直しに撮影時のビハインドをどうぞ。
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