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BTS:花様年華&Art work 〜WINGS #3 STIGMA〜


この記事では『WINGS Short Film #3 STIGMA』をもとにそのストーリーとイメージから描いた絵を記事にしています。



簡単に説明すると、ショートフィルムの映像やセリフ、歌詞とともに、語られていない部分について、創作で埋めていくことをしています。

創作前になんとなくのイメージで描いた絵もあわせて掲載し、最後にちょっぴり解説する流れです。


詳しくはこちらの記事をご参照ください↓





『WINGS Short Film #3 STIGMA』はこちら↓です。

※未視聴の方はぜひ先にフィルムを観ることをお勧めいたします😊




では、始めます。








『WINGS Short Film #3 STIGMA』





It was the first fissure in the columns 
that had upheld my Childhood 
which every individual must destroy 
before he can become Himself

Such fissures and rents
Grow together again
Heal and are forgotten

But in the most secret recesses
they continue to live and bleed
それはその柱に入った最初の亀裂だった
その柱とは私の子ども時代を支えていたもので
子ども時代とはすべての一個人が破壊すべきもの
その者がその者自身となる前に…

そんな亀裂と裂け目は
ともに増殖し
癒し、忘れ去られる

しかし、最も秘密とされる奥底で
それらは生き続け、血を流し続ける







#3 STIGMA ~烙印~








夜の闇。

テヒョンはひとり、黙々と古びた建物のシャッターに落書きを刻んでいた。

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「Abraxas」

(アブラクサス)



それは幸運のお守りにも悪にもなる神の姿。

神の名前。

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あまりに夢中で刻み付けていて、取り囲まれていることに気づかなかった。


眩しい光を当てられるまで。

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驚いたように振り返る。

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あぁ、警察か…。




抵抗することもなく、テヒョンは静かに両手をあげた。

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なんだ、遅かったじゃないか。

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待ちくたびれたよ。



半ば乱暴に拘束されても、テヒョンはどこか笑みを浮かべていた。

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いつかこうなることはわかっていた。





ふいに刑事が込める腕の力が不快になり、振り払う。

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…当然ながら、放してはもらえない。



サイレンの音。


車に押し込まれ、ドアは閉じられた。

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もう、逃げることはできない、のかな。

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それとも、これで逃げることができたのだろうか。




拘置所での尋問が始まる。

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「名前は?」


「キム・テヒョン…」

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何だろう、落ち着かない。

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そりゃそうか、捕まったんだ。


これで俺も罪人…。




ほとんど光の刺さない薄汚い場所にいた。

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逃げても、逃げても、逃げられない。

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それでも俺は必死に走ったよ。

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泣いたりなんてしない。

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ただ、どうしても逃げたかった。





年齢は?

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「21歳…」




刑事の尋問は続く。

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ひどく、疲れた…。





たくさん走って、遠くまで逃げたつもりだった。

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でも奴は追いかけてきて、どこにも逃げ場なんてなかった。

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「家族構成は?」

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両親…


刑事が尋ねる。




親、か…。

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親って、なんだっけ?





僕に両親はいるのかな?

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いた、のかな?




まただ、また殴られている。

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何度も何度も、繰り返し。





いつも心の中で叫んだよ。


会えるはずもない人のこと。

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「お母さん…」




僕は、ひとりだ…。

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薄暗い底でひとり、冷たい地面にひれ伏している。




両親…。

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そんなのいません





何度も何度も殴られた。

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その度に地面を這うようにして痛みに耐えた。

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誰かに助けてほしかった。



誰か、誰か…。

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誰か、助けて。




誰かに…、

あの人に、電話を…。

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いつでも俺は無力だった。

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地面に磔にされたまま。

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耐えるしかなかった。




…寝てたのか。

それとも、気を失ってたのか。

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また酔いつぶれてる。

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お姉ちゃん、寝たの?

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お姉ちゃん?

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少しだけ、俺も眠るよ。

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あいつが、また暴れだす前に、少しだけ。

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少しだけ…。

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テヒョンは刑事が水を飲み干す姿に不快感を覚え、思わず目をそらした。

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やっぱりずっと逃げられないのかな。

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あの時なぜ俺にそうしたんだ





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I’m sorry, I'm sorry, I'm sorry my sister.
(ごめん、ごめん、ごめんね、お姉ちゃん)



犬…?

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隠しても、隠しても、消えることはない





どこから来たの?

君が俺と一緒にいてくれるの?

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So Cry…
(だから泣くんだ…)




何だ?

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Please dry my eyes... 
(どうか僕の涙を乾かして…)





空から降ってくる、鉄の塊。

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あの光が…





行かないで。

ひとりにしないで。

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あの光が…





お姉ちゃん、ごめんね。

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いつも守ってあげられなくて。




僕はあまりに無力で弱い。

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僕の罪を照らして




どんなに力を振り絞っても。

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どんなに変わろうとしても。

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さらに深く




けっきょくは何もできない。

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Baby



ただひとり。

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僕は死んだみたいだ



ただひとり、あの光に憧れている。




誰も助けてはくれない。




だから、俺は「力」を借りたんだ。

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指先の力が抜けて、テヒョンの手から銃がこぼれ落ちる。

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ガラスが砕け散る。

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そして、僕はここにいる。

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その罰を受けさせて





ひとり牢に囚われて。

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罪を許して

どうか





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ここは違う言葉を話す
違うクジラたちばかりなのに



テヒョンは意を決して口を開く。

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電話を一本だけかけさせてください




その「烙印」が力を奪い、やがて再び力を与える。





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作品






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モノクロVer.




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解説


テヒョンは、闇が一番濃くなりました。

ひどく虚ろで、今にも闇に溶け込んでしまいそうなイメージです。


筋書は『I NEED U』の時↓と似ている気がしますが、設定が微妙に異なるようですね。

この時↑は、割れたガラス瓶で父を刺し、一緒にいたのはお母さまに見えましたが、『STIGMA』ではお姉さんで、手にした凶器は銃のようです。

しかし、実際に撃つところは表現されていない、という違いもあります。


そのため、その逮捕が父を撃ったことによる逮捕か、単に夜中に落書きをしていたための逮捕か明確ではないのかな、と思います。


冒頭の落書き部分は、単に落書きかと思っていたのですが、よく見たら刻んでいる文字が「Abraxas」でした。

この後に書いていく記事でも重要なポイントになる神の名前です。


暗い薄汚れた場所でのテヒョンは実体のないものに、何度も何度も殴られています。

そのため、実際の場面ではなく、何度人生が変わっても必ず同じ状態になり、結局は牢獄の住人になるというような比喩的表現かもしれません。



テヒョンは異彩を放つ存在です。

なんとなく、別の次元、別の世界にいるような印象を受けることもあります。


烙印とは「罪人」でしょうか、それとも「アブラクサス」そのものでしょうか。



最後に、笑顔でキュートな撮影ビハインドを置いておきます↓

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