BTS:花様年華&Art work 〜WINGS #1 BEGIN〜
この記事では『WINGS Short Film #1 BEGIN』をもとにそのストーリーとイメージから描いた絵を記事にしています。
簡単に説明すると、ショートフィルムの映像やセリフ、歌詞とともに、語られていない部分について、創作で埋めていくことをしています。
創作前になんとなくのイメージで描いた絵もあわせて掲載し、最後にちょっぴり解説する流れです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください↓
『WINGS Short Film #1 BEGIN』はこちら↓です。
※未視聴の方はぜひ先にフィルムを観ることをお勧めいたします😊
では、始めます。
『WINGS Short Film #1 BEGIN』
The realms of Day and Night
two different Worlds
coming from two opposite Poles
mingled during this time
昼と夜の領域は
二つの異なる世界である
二つの真逆の極地からやってきて
この時間帯に混ざり合う
口笛。
旋律。
何の歌だったかな…。
# BEGIN ~始まり~
ジョングクは夢にうなされていた。
ピアノが燃えている。
「誰か」にとっての大切なピアノ…。
炎の熱まで感じるような生々しい感覚。
息ができない。
熱い。
苦しい。
不協和音。
ブレーキ音。
車が鈍くぶつかる音。
ガラスが砕け散る音。
鳥の羽ばたき。
大きな瞳の先に見えたものは何だったのか。
悪夢から逃げるように、ジョングクは目覚めた。
目の前に広がるのは見慣れた殺風景な部屋だった。
悪夢から逃れた安堵のためか、その余韻を吐き出すためか、ジョングクは深く息を吐き、首を垂れた。
日が昇る前の夜明けが 一番暗いから
日が昇るまでにはまだずいぶん時間がある。
それでも同じ夢に戻りたくないから眠れない。
眠りたくない。
ジョングクはベッドの淵に腰をかけ、所在なく宙を見つめた。
ふと、どこからか歌が聞こえる。
何もない…
この歌。
この声…。
床に何かが落ちていることに気づく。
どうやら絵のようだ。
立ち上がり、その絵を拾い上げ、対峙する。
歌は続く。
15歳の僕…
この絵…。
この人…。
良く知った顔。
誰よりも会いたい顔。
何もなかった15歳の僕に「何か」をくれた人。
そんな曖昧な懐かしい感情をかき消すように、それまで背後にあったベッドが闇に飲み込まれていく。
気づけば一枚のキャンバスの前にいた。
天井からは垂れ下がった無数の絵。
焼け焦げたソファ。
角が二股に分かれた獣の頭蓋骨。
この部屋もまた覚えのある自分の部屋。
ジョングクはキャンバスの絵と対峙する。
窓の外は雷鳴が轟き、すべての音をかき消すように雨が降り出した。
絵がまだ未完成だったことを思い出したジョングクは筆をとる。
新たな色をその絵に加えようとするが、どういうわけか筆が進まない。
突如、夢で見たはずの炎が目の前に広がった。
ピアノが…、「あの人」の大切なピアノが燃えている。
あまりに突然のことで、手にしていた「あの人」の絵を落としてしまう。
気づけば、目の前の絵も燃えていた。
なすすべもなく立ち尽くす。
遠くで聞こえる水の音。
目の前の絵が穢れ、溶け出し、崩れていくのを感じる。
これは、誰だ?
目を逸らしたいのに逸らすことができない。
徐々に形を失っていく「その人」。
その目はにらみつけるようにこちらを見ている。
もう、止めてくれ…。
声にならない声が、言葉が、口の中でぐるぐると駆け回って出口を探している。
顔を背けたくても背くことができない。
ただ、立ち尽くして、向かい合うしかできずにいる。
雨音が一層激しくなり、ジョングクはようやく一言を絞り出す。
ヒョン…
すると、鳥が鳴き声とともに急に飛び去った。
ジョングクの背後から無数の鳥が飛び立っていく。
目の前の絵は、より一層激しく燃えて、もろくも崩れ去っていく。
ジョングクは飛び去った鳥を視線で追った。
それは、どこかで見た森。
「その人」は崩れゆく中、表情も変えず、黒い涙を流している。
「僕は見ている」
「君を見ているよ」
「君は僕の鏡だから」
「君」は「僕」
「僕」は「君」
次々と押し寄せる出来事に、驚きと戸惑いを隠せないジョングク。
落としてしまった絵を拾い上げる。
しかし、それは落としたはずの「あの人」ではなく、大きな羽根で羽ばたく真っ黒な鳥だった。
ジョングクはその絵を封筒に入れた。
また別の誰かのところに届くのだろう。
背後からの光がジョングクを照らし、長く大きな影になる。
翼を得て、新しい何かが「始まる」。
作品
モノクロVer.
解説
WINGSのショートフィルムシリーズは、登場人物が「目にしているもの」というのがとても重要なポイントだと思っています。
それは、意識がある場合でも、眠っている場合でも、別の人格のようなものが芽生えて別の自分が目にする場合でも同様です。
そのため、他の動画でも基本的に同じ構図で「目」を描いています。
この世界がどの時間軸のものなのかはわかりませんが、ジョングクの場合は、闇と炎が視界を遮っている印象でした。
ただ、見える方の目は澄んでいてまっすぐ前を見つめている、そんなイメージで描いています。
これまでのエピソードからいうと、燃えているピアノはユンギのもので、もしかすると部屋にあった焼け焦げたソファもユンギのものかもしれません。
それぞれの登場人物の間には特につながりの深い人物がいて、ジョングクの場合は、ユンギにあたるようです。
そのため、手にした絵も「ヒョン」と叫んだ相手もユンギを示すものに思えます。
気になるのは、最後にジョングク自身の影が鳥になっていたことですね。
手にした鳥の絵はジョングクが描いたものだと思うのですが、この鳥も他のエピソードをつなぐ重要な役割。
細かく映像を区切っていて思ったのは、夢を見ているジョングク=夢から覚めたジョングクは、果たして現実世界、もしくは「今」の時間軸のジョングクなのだろうかということ。
夢だと思っていた冒頭部分は本当に夢だったのでしょうか。
目覚める前に、車のブレーキ音や何かに衝突する音が聞こえます。
目覚めた後のジョングクのいる世界は突然部屋が入れ替わったり、絵に色を重ねたくても重ねられなかったり、突然絵が燃えたり、と非現実的です。
これまでの動画でも車の前に飛び出すジョングクがいるため、もしかしたら車の事故にあって命を落とした後に目覚めたのが、この動画の時間軸かもしれないとも思いました。
夢から覚める前、直前に鳥の影が見えるので、鳥に導かれてやってきたのかもしれません。
ジョングクが対峙する自画像らしき絵も途中で血しぶきのようなものが飛び散ります。
この自画像は目覚める前の事故にあったジョングクなのかもしれません。
そうなると、最後のジョングクの影に羽根が生え、この動画のタイトルが「BEGIN」であることも、新たな時間軸=人生の始まりともいえるような気がします。
花様年華シリーズはのめり込んでいくと、ちょっと辛くなってしまうこともあると思うので、撮影時のビハインド動画を最後にのせておきますね。
作中に出てくる絵を模写している様子もどうぞ↓
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