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第4問 他の株主に対する招集手続の瑕疵と決議取消しの訴え


 XはY会株式会社の株主である。Y社はR4年4月4日に臨時株主総会を開催し、取締役Xを解任することなどについて決議した。しかし、この総会を招集するにあたってY社は、Y社株主のAらに対する招集通知をしなかった。なお、Xに対する招集通知は適法になされていた。
 そこで、Xは、Aらに招集通知がされていないことは、招集手続の法令違反に当たり、上記決議は取り消されるべきものであると主張して、Y社に対して、決議取消しの訴えを提起した。

[設問]
 Xが上記訴えについての原告適格を有するかを検討しなさい。

解答例
 他の株主に対する招集手続の瑕疵があった場合に株主がそれを理由として株主総会決議の取消しの訴えを提起し得るかが問題となる。
株主が会社に対して、法令・定款を遵守した運営を求めるという株主総会決議取消訴訟の基本的な性格からすると、株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵がある場合には、決議取消しの訴えを提起することができると解すべきである。
 本問では、 Xに対する招集手続は適法になされているものの、Y社株主のAらに対する招集通知がなされていない。
 よって、Xは、Aらに対する招集通知の欠如を理由とした本問における総会決議取消訴訟を提起するための原告適格を有するといえる。

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