Twitter小話4

―ズバリ!『恋』と書いて何と読む?   小石川「 フィクション 」
#あなたは恋と書いて何と読みますか #shindanmaker
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「まだあげ初めし前髪の…」宇宙人がそんなことを言い出すから驚く。宇宙人とは雑な言い方か。地球外生命体?ともかく、ある日宇宙船でやって来た生き物は地球の中でも割とマイナーな日本への滞在を希望して「文化を調査して」いる。私は何故かその調査の助手を命じられた。けれど私の仕事はない。宇宙人(やっぱりこの言い方が一番しっくりくる)は最初から日本語を習得していて、あちこちを見学し、資料を読み、どうやら詩まで楽しむらしい。「日本語は素晴らしい。私の気持ちが表現されている」「はぁ」私とは少し姿が違うけど、楽しそうなのは分かる。でも返事のしようがない。「私のあなたへの気持ちです」「はあ?」「私が初めて地球に来た時に、あなたに会って恋しました」やはり宇宙人は日本語が少しおかしい。「いつの話ですか。それにしても、冗談まで言えるなんて。本当に日本語がお上手ですね」宇宙人はことりと首を傾げた。宇宙人も首を傾げるのか。「冗談?」真面目な資料には出てこないか。「本当ではないことを言って笑わせることです」「冗談?」日本語での会話のせいか、宇宙人が淋しそうだと分かる。いや、でも。「冗談では本当の恋ははじめましてるいそんけとぅたたた」一所懸命に話す言葉は乱れて混ざる。私は息ができない。苦しい。だから、その恋は嘘だと言ってくれ。


小石川は青色の本で何かが書かれた紙が挟まっています。魚と少年の面白い物語です。子供机の上に置かれています。栞の色は茜色。
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「弟よ、助けてくれ」魚の住まないはずの泉でチヒロに話しかけたのは虹色の魚。その鱗にある紋様はお母様が手箱にしまっている不思議な手紙と似ている。兄だという魚のヤヒロに誘われチヒロは門の泉に飛び込む。ときに天から射し込む茜色の光に助けられながら、チヒロは水の国を救うことができるのか。


小石川は「魔女の弟子」・「暖かい海」を使って創作をしろッッッ!!!
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「お師匠さま、夕飯ですよ」瓶の中に丸薬を落とすとポチャンと音が返る。ヤヒロの師匠が液体になってから季節は一巡りした。あちこちに散ってしまったのを集めても瓶の縁まではまだ足りない。簡単に自分の食事を済ませると焚き火を中心に防護の術をかけてからヤヒロは師匠の瓶を両手で包んだ。
惹き合うのか師匠の一部がどこにあるか探すのは然程難しくない。ただ、山の頂上にある沼に沈んでいたり竜の腹の中におさまっていたりするので手に入れるのは簡単ではない。「お師匠さま」ヤヒロは瓶の中にゆっくりと指を入れた。怒っているのが伝わるがあたたかく指を包む感覚にうっとりする。
液体になってしまったのは魔女としては情けないが、師匠はうっかりしたところがあった。この状態でも生きているのが凄いとも言える。師匠はあの日、自分を飲めと命じた。復活を望まずヤヒロに同化して魔力を与えようとしたのだ。「絶対に戻して差し上げます」引き上げた指をを舐めると塩辛かった。

*復活した師匠はきっと舐めた分少し欠けてる。髪か、身長が数ミリ短くなったりして。


小石川で「人が見てる時は恥ずかしくて」とかどうでしょう。
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「人が見てる時は恥ずかしくて」そんな理由でお地蔵さまは丑三つ時に歌う。年月と風雨で曖昧な石の顔と同じに声はぼんやりとしても何を歌っているかは分かる。前を通る子供や車から切れ端が流れてきた歌だ。お地蔵さまが楽しそうなので、歌っているのが観客の私、狸だと人間に思われているのは秘密だ。


小石川は「革命期の時代」・「宝石」を使って創作をしろッッッ!!!
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「王冠に輝く宝玉が砕けぬように我が国も滅びはしない」と初代王が遺したために、その何代か後の暗愚な王子が戴冠式でうっかり落とした王冠の宝玉が砕けて革命派は時は来たれりと勢いを増し、今では国は代表者による合議制となっている。
「しかし、腐敗を一掃というわけにはいかぬな」
暗愚な王子だった男が密偵からの報告を読みながら溜め息を吐く。「俺が言った通りでしょうが」「前よりは良くなっているぞ」「この仕組みが安定してくれば増えますよ。賄賂も貧乏人の苦しみも」「お前を巻き込んで悪かったとは思っている」「本当ですかね。ちゃんと宝玉に見えて落としただけで割れる偽物を作るのは大変でしたよ。割に合いやしない」「だから宝玉をやるから逃げろと言ったではないか」「宝玉なんぞ売れる訳ないでしょう!」「割って売ればよいだろう」「こんな綺麗な石を割れとか細工職人の俺に喧嘩売ってるんですか!」元王子は朗らかに笑う。ああ、これからもアンタについてくさ。