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【修理】電池式尺時計

 昨年4月にこんなものをお迎えしました。

梱包を剝がして出てきたのはコチラ

 堀田時計店製が記念品として復刻し販売していたクォーツ式尺時計です。
 通常のクォーツ時計に尺時計用のモジュールを追加して時刻を表示する仕組みです。
 購入元の話では、当時のお菓子の卸の人しか手に入れられない品だったようで、出回った数は多くないとか?

 未使用品とのことで、約半世紀の間動いていなかったようですね。(当時の未使用電池も入っておりました)
 分かってはいましてが、新品電池を入れても動きませんでした。
 ただ完全に動いてないと言う訳ではなく、ローター(磁石が付いたギア)が僅かに動いているのが確認できました。(音も少しだけ聞こえます)

 と言う訳で、修理しましょう。


原因追及

分解

裏のビスを外して心臓部のカバーを外していきます。

写真中央の円盤が秒針です。

インデックス部→電池ボックス(※半田ごてでケーブルを外します)駆動ユニット一式の順番で外していきます。

 写真を見ていただければ分かりますが、チェーンに剣が3つ付いており、1つ12時間、チェーン1周36時間かけて、時刻を表示します。

 チェーン連動ユニットを外すとこんな感じです。
 まあよく見るクォーツ時計です。ココはこれと言って特殊な点はないです。

ネジを外して一通りバラします。
基板が思ったより、適当な設置(ムーブメントの空きスペースに差し込んでるだけ)なので、コイルの線を切りそうでヒヤヒヤします。(後ほどに1回切りました…)

キズミで歯車や軸受けを一つ一つ確認します。

原因

 キズミで確認してる最中に見つけたものがコチラ

写真中央に注目

 キズミ越しに撮影したものですが、軸についている黒っぽいものが分かりますでしょうか?
 コレが原因でした、軸についてる潤滑油が固まったもので、これが摩擦を生んでローターが上手く力を伝達できずに止まっていたようです。
 時計のローターのトルクは強くないので、こういった状態でも簡単に時計は止まってしまいます。

修理

洗浄

 アルコールで歯車一つ一つと軸受けを洗います。
 仮組して、グリスを塗ります。

動作テスト

しかし、上手く動きませんね。

この後、4番車の軸を磨いて、グリスの量を調整しました。

その際にプチッ

切っちゃいました…
上手いこと、先端のエナメルを剥がして基板に再度くっつけました。

 余談ですが、オークション等で他の出品物を見ていると、どれも基板がしっかり設置されていました。
 と言う事は、私のは初期ロット?
 そう思うと、ギア周りのケースなんかも如何にも改造しました!と言わんばかりに切った後のようなものがあるんですよ。
 そういえば、他のはその辺りもしっかりしてたような。
 まあ、動けばいいんですよ!

組み立て

分解と順番の手順で組み立てていきます。

本当に基板差し込むだけなんです…

チェーンの組付けが難しいですね、下手すると、剣の方向が変わってしまうので、適当に付けるわけにもいきません。

チェーン調整

 チェーンの張り具合を調整します。
 先ほども申し上げた通り、時計の心臓部のトルクは強くないです。
 なので、このチェーン部分も見栄えを重視しすぎて張り過ぎちゃうと動かなくなります。(まあ当然ですよね…)
 逆に緩めすぎると、それはそれで見栄えが悪くなるので、理想から若干妥協した張り具合がベストのようです。
 調整は駆動部とは別の下にあるスプロケットのフレームをタガネとハンマーで行います。

最終組み立て

 インデックス板と心臓部のカバーを取り付けてビス止めして、完了です。

まとめ

 さて何とか稼働状態までもっていくことはできましたが、正直治るとは思っていませんでした。

 クォーツとはいえ、良い時計ですね。希少品でお値段はそれなりにしましたが迎え入れて正解でしたし、良い経験になりました。

 こうなってくると、機械式版も欲しいところですね,,,まあ当時品は今回の30倍とかになるので、やるとすれば今回の堀田時計店のように、市販品を改造するとかパーツ全て自作するとかになりそうですね。

 まあその辺りは、機械式クロックに詳しい方がいますので、その方に聞きつつ、この話題はいつかの機会にと言う事で。

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