岡崎署勾留障害者暴行死事件ー論点①

論点①
当事者が障害者手帳2級をお持ちだったこと。統合失調症、糖尿病の持病があったこと。

障害者手帳をお持ちの方は一般に、弱い立場に追い込まれやすく、守られるべき人です。そうした方に警察官は、障害特性に応じた適切な対応や配慮を行わなければならないことは言うまでもありません。

本事件は、精神障害者への偏見や差別、不当な身体拘束という問題が絡んでいます。

逮捕や勾留にかかわった警察官は認識していないと思われますが、知らないうちに精神障害者を差別しているでしょう、差別的な扱いをしていると思います。差別解消法(不当な差別的対応、合理的配慮の不提供)に違反する行動でしょう。

当事者は「勾留中に大声を出した。服を脱いだ。食事を食べない」といった行動をとったようですが、なぜそのような行動をしたのでしょうか?

これは精神障害によるもの。統合失調症による急性症状から発せられるものと考えるべきでしょう。急に逮捕され(そもそも、逮捕容疑が成立するか再考すべき)、犯罪者として蔑まれ、勾留で自由を奪われる環境に置かれたことで、持病の統合失調症が再発または悪化したと考えるべきでしょう。

当該警察官は、こうした障害特性や症状を理解できず、当事者を、秩序を乱す問題行動をする厄介者として認識していたのではないでしょうか。

統合失調症患者に不適切なかかわりや対応を繰り返したことで、統合失調症の症状が、食事ができない状態、トイレで排泄できない状態にまで悪化。コミュニケーションもとれない状態となった。

保護室の汚物を、当該警察官が清掃するなかで、なぜ俺がこんな便掃除をしないといけないのか、と当事者を蔑み、獣だとか、動物以下の認識になってしまったのではないでしょうか。その結果が、和式便所に顔をつっこみ、そのまま水を流すという、極まりない人権侵害の行動を招いたのでしょう。

急性症状のある精神障害への対応は、専門的知識や支援が不可欠で、留置係の警察官では対応が難しいでしょう。医療や福祉のプロでも難しいはずです。組織的な対応として、すぐに入院治療の対応をとるべきでした。

現に、精神障害者への不当な身体拘束、虐待、暴行傷害、致死事件が、プロであるはずの病院や福祉施設で起こっています。

神出病院事件(2019年)、ときわ病院事件(2016年)が最近の例で、今回の事件と類似するものがあると思います。


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