三遊亭天どん 落語会「勝負しますよー。誰とだあー」6(20年11月9日)

■演目
一、 さんま火事(天どん)
一、 権助芝居(萬丸)
一、 誰が悪い?(天どん)
~仲入り~
一、 明烏(天どん)

■所感
会場に足を運ぶと……あれ?! 萬丸さん?
明らかに不慣れで不安そうな面持ちで配信PCの前に佇む萬丸さん。道楽亭に、こしら師匠→かしめさん→楽八さん→萬丸さんというYouTube配信 大喜利番組 a.k.a “活動実績”のラインが流れ込んでいる、その浸食度合いに静かな戦慄を覚えつつ着席。
如何にも常連の方々が脇を固める中、興味本位でポンッと参加した自分の場違い感……正確に言えば『お邪魔してスイマセン』感と共に開場。天どん師匠の常連の方々が意外と笑わない、でもアゲインストな雰囲気でも無い。普段足を運ばない演者の独演会に行くと、こういう違いや独特の雰囲気を感じられて面白い。

萬丸さん「権助芝居」。
配信初挑戦ということで配信されるも八卦、されないも八卦。若干の捨て鉢感も醸し出しながら本編。蛙茶番と思いきや、権助芝居。何処から湧いてくるか分からない権助の自信満々の姿が面白い。

天どん師匠「さんま火事」「誰が悪い?」「明烏」。
上野鈴本演芸場での11月中席夜の部 主任を宣伝、現場の熱気が足りないと煽った上で本編「さんま火事」。1.5癖ある大家さんへの相談が最早『相談』ではなく、扇子を片手に狂喜乱舞するお祭り騒ぎ。事ある毎に当時の熱気を思い出しては……の繰り返しにゲラゲラ笑った。
仲入り前は新作。『幸せって何』をテーマに、師匠“は”好きな噺「誰が悪い?」。全員が自分の欲望に正直で、他人に対して不誠実という人間臭い部分が面白い。自分の事は棚に上げて他人を責めつつ、自分の非がドガチャカになるのを待っているのが楽しい。要素が1つ繋がり、2つ繋がった時点で次への繋がりに期待が溢れ、期待が満たされる流れに胸躍る。三人目の突出した邪悪さ、悪意の無い分性質が悪い感じが面白かった。
そして最後に「明烏」。行ったことない所に足を運ぶことの意義を語る中で、何故か、オネエサンがいる店に行った思い出がポロポロ。強引な軌道修正からの本編。兎にも角にも時次郎がスッゲー馬鹿で楽しい楽しい。世間知らずを強調過ぎるがあまり、常に目を見開きキラキラさせつつ、肩を揺らす姿は間抜けで滑稽。この間抜けがどうなる?どうなる?と期待を煽られに煽られた結果……烏カーで夜が明けて……からの“爆誕”が最高だった。会場全体の熱がグググッと上がる程の爆発力と共に、NEO時次郎による格好イイとも別軸の“似非外国人”的な振る舞いに笑いに笑う。配信フレームから完全にはみ出した怒りの表現も楽しかった。
以上

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