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連雀亭 ワンコイン寄席(20年11月29日)

■演目
一、 元犬(志ら鈴)
一、 今のところ(談洲)
一、 夢の酒(萬丸)

■所感
久し振りの連雀亭。
色々な場所で色々な演者が『連雀亭の対応策は凄い』という話が出ていたが、なるほど確かに凄い。この規模、この収益性で、誰からも文句の出ないであろう対応完備。対応が素晴らしいが故に楽屋も風がビュービューという、観客に優しく、演者に厳しい環境。とは言え、高座にあがる演者が皆、その点を話せることも含めて完璧。
あと久し振りが故に、他で淘汰された/される前のアレな客も久し振り。足を運んで思い出したが、『あぁ、こういう場所だったわ』という望郷の思いが。最前列で奇声をあげる若い男性、ゴミ袋のようなフリースを常に擦ってシャリシャリ音を出している中年男性 等々。一定レベルの演者の独演会だと自然淘汰される客が誰も責任感の無い、この会場だと生存している。ガラパゴス諸島のような環境。

談洲さん「今のところ」。
開演前の諸注意でもガッツリ客を惹き込んだ剛腕で、前方のシケた空気を一掃。赤さの残った眼、若干のフワフワした感じを説明しつつ本編。場面の転換でグルッと世界が変わるのが面白い。ときメモと思わせて、〇〇と思わせて、〇〇と思わせて……からの現実にギュッリンッと引き戻される、そのG値の掛かり方にグッとくる。マウントを取られた後の一方的な殴打、殴打、容赦無い殴打は清々しさすらあり、胸が痛いと共にゲラゲラ笑う。特に『léap・er』の破壊力。「むかつく」でも登場した似非ネーティブの煽り方が楽しい楽しい。着地点のスンッとした感じ、畳み方の綺麗さも好き。

萬丸さん「夢の酒」。
萬橘師匠の前方、もしくは独演会以外で観るのは初めてで、何だか新鮮な感じ。ちょいちょい溺れがちになる枕の身辺雑記も流暢に。成長や変化が如実に見えて楽しい演者の一人。本編もメソメソ嫁、ヘラヘラ若旦那、イライラ大旦那と三者三様の使い分けが楽しく、ノイズが少なく、噺の世界を安心して楽しめた。
以上

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