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ひぐらし亭 夕方公演(20年11月8日)

■演目
一、 おしゃべり(たけ平・萬橘)
一、 姫かたり (萬橘)
~仲入り~
一、 ねずみ穴(たけ平)

■所感
日曜夕方、緩やかな時間が流れる中で程々の入場者数。
16時になると散策ついでの御夫婦連れが少し落ち着くのか、常連と近隣の方に件の御夫婦連れという構成。
空間が豊か過ぎず、かと言って窮屈でも無くという(観客としては)比較的過ごし易い環境。

11月の「おしゃべり」は、にっぽり館の将来を憂いた、たけ平師から始まる連想ゲーム。毎回どちらかが忘れていたり、悪戯けしていたりするので何度見ても面白い。たけ平師が高座に座り、萬橘師がビクつくと『キタゾッ!』となったり、お決まりの流れも出来てきて楽しい楽しい。

萬橘師匠「姫かたり」。
年末感溢れる噺。
滑らかに流れる前半から、畳み掛けられる後半。ぼんやりした噺がパキッと輪郭がはっきりして、悪が悪を成敗する姿に胸がすく。
振り返ってみると大分と杜撰な計画だが、勢いで乗り切ってしまう疾走感が心地良い。共侍から女中に話が振られた時の不穏さ、続く展開への期待感が煽られる感じが好き。

たけ平師匠「ねずみ穴」。
こちらも冬の噺。
静かに、着実に、積み上げられた噺の中で、登場人物達の感情がガッと昂る場面があり息を呑む。積み上げた功績が一瞬で崩れ、下り坂を転げ落ちるかの如く身を持ち崩していく様子に、呆然としながら唯々眺めるばかり。
アッと顔を背けた後に訪れる空気に身を委ねつつ、“どこまでが?”に油断出来ないため最後まで楽しめた。
以上

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