【あったらいいな】ファンタジーと現実、魔法と科学【こんなもの】

小学校低学年の国語科で習う単元の一つに「あったらいいな、こんなもの」というのがある。
今の子どもたちもやっているかまでは知らないけれど、いま大人として大人をやっている子どもだった人たちの多くも俺と同じようにこれを学習してきたのではと思う。

ドラえもんの秘密道具を導入として、未来の世界に開発されていたらいいなと思う科学の道具を考えてみよう、そして絵や文を用いてみんなに発表してみようというものだ。

自分が考えた「あったらいいな」は何だったのかまったく覚えていないのだけれど、同級生のなかにどんな「あったらいいな」があったのか、いくつか記憶に残っているものがある。
それは医療道具として活躍する超小型ロボット(錠剤のように口から飲み込む)だとか、かけるだけでゲームの世界にいける眼鏡だとか、大人の姿に変身できるミラーだとか、寝ている時に見た夢のなかから好きなものを現実世界に持ってこれる枕だとか、そういうの。

夢のような魔法のような「あったらいいな、こんなもの」だと同時はぼんやり思っていたけれど、実際はどうだろう。10年ほど前の小学生が考えたこんなものたちの中で、もう我々が当たり前のように使える道具もいくつかあるはずだ。
例えばVR眼鏡(ゴーグルか?)なんかはもう誰もが知っているものだし、よく知らないけれど錠剤くらい小さい医療機器だってもうあるんじゃないだろうか。胃カメラとか昔より飲み込みやすくなってるって聞くし。

そういえば、一人一台コンピュータを持ち歩く時代になると10年以上前にだれか有名な人が言ってたらしい。たしかに今や当たり前のようにみんながみんなスマートフォンを持ち歩いているし、子どもだって当たり前のようにその使い方を知っている。

子どもたちが思い描く夢って、案外未来にとって当たり前のもので、それってものすごい【希望】なんじゃないかと時々思う。

この10年ほどで、夢や未来を想像することが減った。
10代くらいまではもっと想像力があって、その想像の中で自分はもう最強の存在だったように思う。向かう所敵なし!みたいな根拠のない全能感があった。どっから沸いてたんだ、その自信。

けれど魔法や科学やファンタジーを考えているのはいつだって現実世界の人間で、現実とファンタジーってもしかして、おれが思っているよりももっとうんと地続きなんじゃないの。

最近、やくならマグカップもという作品の声優オーディションを頑張っているのだけれど、三次審査進出おめでとうということで知り合いの作曲家の方がオリジナル曲をプレゼントしてくれた。その曲の最後の歌詞がとても好きで、聴くたびにじんわり沁みる。

このキラキラした魔法がずっと続けばなあ……

このたった一行で、何度空を見上げたことか。いや、基本室内で聴いているので見上げても天井しかないけれど。

私の配信を見て、どこに「キラキラした魔法」を感じとってくれたのだろう。
もしも本当に魔法が使えたら。もしも、

もしも、

そんなことを、やっとまた考えるようになった。

自分の中にまだファンタジーが生きていることに気付く。俺はまだ夢を見ていられる。夢が、魔法が、ファンタジーが現実になる未来はきっとあると薄っすら信じることだってできる気がする。もともとそんなに夢見がちな性格ではないし根がネガティブなので、自分に夢を抱くことは難しいけれど。
それでも止まっていた何かが動きだしたような実感はあって、だからこれがまた止まってしまうのが今は少し怖いな。

このキラキラした魔法がずっと続けばなあ……って、そういうこと?

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