長くてつらい冬が終わり、花が咲いて新芽が芽吹く春がやってくる。穏やかな陽気にうつつを抜かしている時間は束の間、5月に差し掛かるかどうかの時期には夏日がヒョイと登場し、私たちは汗をかき、夏はもっと暑いのだということを忘れかけていたのにこれでもかというくらい認識させられる。そして、夏に備えてあれやこれや……と物品を揃えているうちに、ワイのことも忘れないでくれや!!と梅雨がデーンと居座るようになる。

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春に引越しをして、常に湿度が高めの部屋に住むことになった。除湿パックを購入し、扇風機とサーキュレーター、空気清浄機を回し、クーラーの除湿機能を使っていたが、湿度はずっと70%以上を保っていた。まずい、このままではカビだらけの部屋になってしまう……と思った私は腹を括り、結構値が張る除湿機を購入した。

アレルギーがあまりにも多すぎて外に洗濯物を干すと色々吸着してしまうために基本的に部屋干しの生活をしている。部屋干しには洗濯物を乾かせるタイプの除湿機が必要なことはわかっていたが目をそらしていた。
通販で購入した除湿機を部屋に設置すると、値段に見合うように、グングン湿度を吸収した。おかげで部屋の湿度は60%台まで落ちるようになった。

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雨の話じゃなくなってしまったな。

話を雨に戻そう。


テレビなどの天気予報で雨の予報だと「あいにくの天気」とアナウンサーが声を曇らせて表現しがちだが、それを聞く度に小学校の同級生のミサキちゃんが「恵みの雨だねえ」と可愛い傘をクルクル回していたことを思い出す。小学生だったし、家の誰かの言い回しの受け売りだったのかもしれない。それでも自分の足元が濡れたり出かけるのが億劫だということを差し置いて、農家やダムのことを思い浮かべられるミサキちゃんが私は好きだった。でも、小学校を卒業してからミサキちゃんと会ったのは1度か2度だった。

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高校の中庭に貯水池があって、雨が降るとそこに大量の水が溜まり、プールのようになった。
私は軽音楽部に所属していたのだが、軽音楽部の先輩と同級生たちはとにかく遊びたいらしく、雨が降ったから遊べないとはならず、雨が降れば、どう考えても汚いその池で遊び倒していた。期間限定でしか登場しないのがよかったのだろうか。私はそれを汚いなぁ……と思いつつ、ちょっと羨ましいと思いながら眺めていた。
みんなは徒歩や自転車で帰れる距離に住んでいたが、私は電車で帰っていたこともあり、あまり汚れるわけにはいかなかった。地元の子が多い学校で、単純に育った地域と習慣がみんなと違っていたから、いつも少し寂しいと思っていたことを書いていて思い出した。

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これを書く前に干した洗濯物たちが、除湿機と扇風機の力によって少しずつ乾き始めている。部屋の湿度計の数値はまだまだ高めだが、匂いを残さず乾いてくれるだろうか。


明日から7月で、時期に梅雨が明けるらしい。
暑さに負けないで過ごせることを祈りたい。

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