烏丸御池

「烏丸御池」の存在を知ったのは中学生の時だった。
修学旅行の行程を組む時に「とりまる」だと思ったそれは「からすま」と読むことを知った。中学生ながらに、京都には難読地名がありまくるのだろうな…とその時は思った。まさかその時は20代で1年に3回京都に行くことになるなんて思っていないし、「太秦」「蹴上」「雲母坂」で躓くことになるとも思っていない。ただ、これから京都の地名が読めなくても知ったかぶりをしないでちゃんと調べよう…と、誰も京都の地名を知らない教室で、修学旅行の班長の大澤くん(野球部のキャプテンか何かで割とこわい)と話しながら(疎ましく思われながらが正解)思った。

烏丸御池駅の構内には、志津屋というパン屋のイートインがあって、何年か前にそこでひとりでビールを飲んだ記憶がある。しかもそれ以上のことをあまり覚えていない。

他のことといえば乗り換えの記憶しかないから近くの四条烏丸の交差点を烏丸御池に含めることにする。

私が東京でかなり好きな場所が新宿三丁目の交差点なのだが、四条烏丸の交差点はそこと似た雰囲気があると思っている(関西の友人には否定され、関東の友人にはわかると言われた)。
道幅が広めで、一生かかっても入れなさそうな高級ブティックが入ったデパートがある一方で庶民派の飲食店もあり、いつも賑わってはいるが混みすぎているというわけでもない、という点が類似している気がする。
何故好きなのかと問われてもよくわからない。何かができるわけでもなく、これといった思い出もなく、交差点全体を写真に撮るのも難しい場所だが、どちらもすごく気に入っていて、新宿にいながらにして気軽に行けない京都のことを想える記憶装置として、私にとっては重要な場所なのである。

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