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男性型脱毛症に対するスピロノラクトンの効果と安全性

<メモ>
外用/内服スピロノラクトンの効果と安全性を評価したレビュー論文です。
スピロノラクトンは、元々は血圧を下げる薬ですが、男性型脱毛症の原因であるアンドロゲンが受容体へ結合するのを防ぐ作用があり、女性の男性型脱毛症治療に使われることがあります
このレビューでは7つの研究がまとめられており、スピロノラクトンの内服はすべて女性を対象としていますが、外用については男性も対象としています。
外用については、スピロノラクトン外用剤を、スピロノラクトンとミノキシジルとの合剤またはミノキシジル単剤と効果を比較しています。結果は、スピロノラクトン+ミノキシジル>ミノキシジル>スピロノラクトンでした。
つまり、スピロノラクトンだけを塗っても効果はあるが、ミノキシジルと併用するとより効果が高いということでした。
外用の主な副作用はかぶれが20%に起こっていますが、ミノキシジル製剤とスピロノラクトンのどちらにかぶれたのかは分からないそうです。

なお、スピロノラクトン内服を男性に使用しない理由として、女性化乳房や性欲減退、高エストロゲン血症による勃起不全といった副作用がみられることが挙げられます。

<コメント>
スピロノラクトンは、その副作用から、内服は女性に使われることがほとんどですが、外用に関しては男性に対しても可能性があります
今もなお、スピロノラクトンの効果を調べる研究が行われているようですので、今後の製品の開発に期待されます

<紹介論文>
Wang C, Du Y, Bi L, Lin X, Zhao M, Fan W. The Efficacy and Safety of Oral and Topical Spironolactone in Androgenetic Alopecia Treatment: A Systematic Review. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2023 Mar 9;16:603-612. doi: 10.2147/CCID.S398950. PMID: 36923692; PMCID: PMC10010138.

<要約>
背景:男性型脱毛症は、見た目と精神的なストレスという点において、男性と女性の両方に悪影響を及ぼす。スピロノラクトンは、頭髪の成長を促す合成アルドステロン受容体拮抗薬であり、男性型脱毛症の治療目的に、皮膚科医によって広く使用されている。

目的:システマチックレビューを行い、外用または内服スピロノラクトンの男性型脱毛症治療における効果と安全性を評価することである。

方法:PubMed、Embase、Cochrane Library、そしてWeb of Scienceといった文献データベースを利用して、2022年10月23日までに、ヒトを対象とした、男性型脱毛症治療におけるスピロノラクトンの効果を評価した研究を検索した。

結果:784の論文を検索したところ、最終的に7つの記事が我々の選択基準に合致し、618名の男性型脱毛症患者(男性65名、女性553名)が対象となった。そのうち、414名がスピロノラクトン治療を受けた。経口スピロノラクトンの用量は1日25mg~200mgで、大半が80mg~110mgの間だった。外用スピロノラクトンは1%ゲルまたは5%ソリューションを1日2回外用した。内服と外用スピロノラクトンはともに脱毛症の回復に有用であった。しかし、外用療法の方が有害事象は極めて少なく、男女いずれにも適切に使用できた。内服/外用ミノキシジルなど他の治療と併用すると単剤での治療に比べより効果が得られた。

結論:スピロノラクトンは効果的で安全な男性型脱毛症に対する治療法であり、ミノキシジルのような従来どおりの治療と併用することで、効果が増大する。スピロノラクトンの外用は内服に比べより安全で、男女ともに使用できる。そして、ミノキシジルで有効性を得られない患者に対する一般的な治療になることが望まれる。なお、より高品質な無作為化臨床研究の実施が必要である。

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